カメリア・シネンシス・オブ・キョート

龍騎士団茶舗

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テラ・ドス・ヴェルメロス(10)

地図にない王国(11)

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「まあいいや。さて、改めて納得できる同意が得られたトコロで……どうする?」

アルマージュが皆に問いかける。
オクルスが溜め息を吐いて言った。

「一人で突っかかって一人で納得してやがる……まあ、ソレこそまあいいや。
とりあえず、ハイアーマウントさん。オレたちじゃあ、この森の中を進撃するモノの正体はわかりそうもないよ。申し訳ない」

「コチラこそ、不躾に皆さんをお呼びして申し訳ありません。そう言えば、皆さんは何故この森の上空を飛んでおられたのですか?」

「あーっと、旅の途中なんだ」

オクルスがララの方をチラリと見る。
ハイアーマウントが言った。

「もしかして、“6度目の旅”ですか?」

「アレ? 知ってんの?」

「ええ。我々は基本的には関与しない問題ですが……影響規模の大きい問題でもありますからね。
しかし、であれば尚更申し訳ない。先を急がれるでしょうから」

ハイアーマウントが立ち上がろうとする。
ソレをレインスが止めた。

「あ、ハイアーマウントさん。ちょっと待ってください。
いいわよね? オクルス」

「知的好奇心か? まあオレもそうしようと思ってたし、別にココまできて先を急ぐ必要もないだろ」

「どうしました?」

「いや、ココはぶっちゃけ『幻の国』ですから、聞きたいコトが一杯あるんです」

「なるほど。では、皆さんへのお詫びと手土産として、ソレにお答えできればと思います。お茶はいかがですか?」


◇◇◇


「この国、『トガノオ』は失われたはずです。今や廃都である『キャピタル』の崩壊と共に。少なくとも、私たちはそう聞いています。本当のトコロはどうだったんですか?」

「『キャピタル』の消滅に巻き込まれたというのはカバーストーリーです。そもそも、皆さんは『キャピタル』の崩壊の事情も知らないでしょう?」

レインスがオクルスと顔を見合わせる。
オクルスが言った。

「ええ。ただ、『キャピタル』の“驕り”がその原因としか……」

「ふむ。まあ、ソレが原因の一つであるコトも否定しませんが、最も大きな原因は皆さんが今行っているコトと同じです」

アルマージュがソレを聞いて、問いかけた。

「どういう意味です?」

「“旅”ですよ。『キャピタル』の崩壊は“1度目の旅”が原因です。
“旅”は行われる度に、この世界“キョート”のパワーバランスを一変します。ソレは皆さんが思っている以上なのです。
我々は、“旅”の影響から切り離されるために、この地全体を異世界の狭間に移しました。ちょうど、“ララさん”ですか。貴方が元いた世界と“キョート”の世界の狭間にね」

ララはドキリとした。何せ、その“元いた世界”について何も思いだせないのだ。
だが、ソレを悟られまいと、ハイアーマウントと目を合わせた。ハイアーマウントが微かに頷く。

「“旅”という言葉で、脱落すれば自らの茶園に戻るだけの、各国の威厳と利益はかけていてもある種、スポーツのようなモノとして思われている部分もあるかもしれませんが……その実際は“戦争”なのです。
尤も、その影響下にある五ヶ国にとっては、その結果としてコレまで起こった事実さえも、もはや記憶されていませんが」
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