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ラスト・コンテクスト Part3
越境(11)
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「皆の者! “ゼルテーネ”には危害を加えてはならぬ! ソレ以外は……好きにしてよい」
ヴァーシュが宣言する。
童仙、ジュディ、カトリーヌの武器を制止している黒い半透明の線の先に杖茶杓と、黒いフードを被った三人が現れた。
旅団の皆は新しく現れた敵にも武器を向けようとしたが、その全員の武器も既に動かなかった。
それぞれに黒い半透明の線が繋がれ、その先にも同じような恰好をした“オートラグ”の面々が現れる。
「おい!」
ツヅキが叫んだ。
皆の視線が彼に注がれる。
「オートラグ、12人しかいないぜ。ヴァーシュ、アンタも含めてだ」
「……確かに」
「メイのお父さんはアンタにお遣いにだされたもんなあ」
「何が言いたいのだ?」
「縛れてないってコトだよ、メイとオレだけな!」
ツヅキは素早く童仙、ジュディ、カトリーヌの眉間を撃ち抜いた。
オートラグの面々は杖茶杓を持っていない方の手から、ツヅキに向け魔術を放つ。
メイは杖茶杓を地面に叩きつけると、自らとツヅキを包むドームを構成した。
オートラグから放たれた魔術が受け流される。
その間も、ツヅキはメイ、ウィー、カップ、そしてフランシス、ムサシ、ブレーズ、ノワール、遠藤、龍之介と、全員を撃ち抜いた。
「いかん!」
ヴァーシュが叫んだが、既に一手遅かった。
装填しながら、ツヅキが呟く。
「『50℃弾』だ」
全員を繋ぐ黒い線が、ピンと張り詰めた。
旅団の一行はソレを引き千切ろうと力を込める。
オートラグの面々も抵抗したが、ゼルテーネの弾丸を受けている者相手では限界があった。
線が弾ける。
繋がれていた者同士が、一斉にお互いを攻撃した。
ヴァーシュにはメイが攻撃を仕掛ける。
「ぐぅっ……!」
二人の杖茶杓はお互いの放つ魔力で結ばれ、メイの顔は歪んだ。
じりじりと魔力同士の衝突点が、メイの方へと近づいてくる。
メイの形作ったドームもそのリソースをすぐに失い、消滅した。
「『50℃弾』でも……国のトップは伊達じゃあないわね……っ!」
ヴァーシュは周囲の面々の戦闘などドコ吹く風で、メイとツヅキへ歩を進める。
何やら呟いているのがツヅキには見えた。
「でも、コレならっ!」
メイが杖を振り上げる。
繋がれたエネルギーが断ち切られたかと思うと、ヴァーシュの魔力はそのままメイらの頭上背後、“鍵”の起動装置へと向かった。
しかし、紙一重のトコロでそのエネルギーは装置を掠め、壁に破壊の線を残した。
メイが舌打ちする。
ツヅキが話しかけた。
「メイ、大変だとは思うんだが心象防壁を張れ。読まれてる」
「……あぁ、なるほど。呟いてるのに今気づいたわ。私と違って詠唱なしで読めないもんねアイツ」
ヴァーシュが宣言する。
童仙、ジュディ、カトリーヌの武器を制止している黒い半透明の線の先に杖茶杓と、黒いフードを被った三人が現れた。
旅団の皆は新しく現れた敵にも武器を向けようとしたが、その全員の武器も既に動かなかった。
それぞれに黒い半透明の線が繋がれ、その先にも同じような恰好をした“オートラグ”の面々が現れる。
「おい!」
ツヅキが叫んだ。
皆の視線が彼に注がれる。
「オートラグ、12人しかいないぜ。ヴァーシュ、アンタも含めてだ」
「……確かに」
「メイのお父さんはアンタにお遣いにだされたもんなあ」
「何が言いたいのだ?」
「縛れてないってコトだよ、メイとオレだけな!」
ツヅキは素早く童仙、ジュディ、カトリーヌの眉間を撃ち抜いた。
オートラグの面々は杖茶杓を持っていない方の手から、ツヅキに向け魔術を放つ。
メイは杖茶杓を地面に叩きつけると、自らとツヅキを包むドームを構成した。
オートラグから放たれた魔術が受け流される。
その間も、ツヅキはメイ、ウィー、カップ、そしてフランシス、ムサシ、ブレーズ、ノワール、遠藤、龍之介と、全員を撃ち抜いた。
「いかん!」
ヴァーシュが叫んだが、既に一手遅かった。
装填しながら、ツヅキが呟く。
「『50℃弾』だ」
全員を繋ぐ黒い線が、ピンと張り詰めた。
旅団の一行はソレを引き千切ろうと力を込める。
オートラグの面々も抵抗したが、ゼルテーネの弾丸を受けている者相手では限界があった。
線が弾ける。
繋がれていた者同士が、一斉にお互いを攻撃した。
ヴァーシュにはメイが攻撃を仕掛ける。
「ぐぅっ……!」
二人の杖茶杓はお互いの放つ魔力で結ばれ、メイの顔は歪んだ。
じりじりと魔力同士の衝突点が、メイの方へと近づいてくる。
メイの形作ったドームもそのリソースをすぐに失い、消滅した。
「『50℃弾』でも……国のトップは伊達じゃあないわね……っ!」
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何やら呟いているのがツヅキには見えた。
「でも、コレならっ!」
メイが杖を振り上げる。
繋がれたエネルギーが断ち切られたかと思うと、ヴァーシュの魔力はそのままメイらの頭上背後、“鍵”の起動装置へと向かった。
しかし、紙一重のトコロでそのエネルギーは装置を掠め、壁に破壊の線を残した。
メイが舌打ちする。
ツヅキが話しかけた。
「メイ、大変だとは思うんだが心象防壁を張れ。読まれてる」
「……あぁ、なるほど。呟いてるのに今気づいたわ。私と違って詠唱なしで読めないもんねアイツ」
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