サイコドール

みかそ

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熱情と冷静

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「あなたの事が、好きなんです」
 相手に突然告白され、レイフは動揺している自分をどこか醒めた視線で見ていた。こういった感情を相手が持っている事を薄々分かっていたのだろうか。一体いつから自分に対する気持ちが変化していったのか。
(お前のそれは行き過ぎた敬愛だ、恋愛感情じゃない)
 そう言おうとしていた口をローゼンの唇がふと塞いだ。瞬間的に電脳越しのチャットで文句を言おうとしたが、直接言った方がいいように思い結局やめた。
 寝台の上にお互い裸で居てもひやりとした外気をあまり感じない、2人とも交わっていても持て余した熱と感情が体内を巡り燻っている。ローションの使用で艶かしい水音が室内に響いていた。
 今自分は快楽という名の優しい煉獄に囚われているような気がした。少し苦しい、無意識に歯ぎしりしていた口から声が漏れ出た。目が合い、黒曜色と青灰色の瞳が一瞬交錯したが自分の方からどことなく視線を逸らした。

「…体、辛くないですか」
 愛おしそうに頭や顔をそっと撫でられ、汗が滴っている胸板にローゼンがもたれかかる。胸元に飛び散った精液の残滓が舌で掬いとられた。
 なぜ、自分はこの男に体を許すのか?機械が混ざった半端な肉体に欲情する意味が分からない。己の中にも明確な理由を見つけられず、レイフは目を閉じた。生身とほぼ見分けが付かない精巧な義手の右手が気遣わしげに持ち上げられ、接吻の感触を手の甲、腕に感じた。相手の慈しみにどこか心地よさを覚える。
(確か手の甲のキスは尊敬や敬愛を表すのだったな‥)
 そんな事を頭の隅で思い出し、しばらくは彼の愛撫にされるがままになっていた。そして、閉じた目蓋にもふっと柔らかく接吻された。

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