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逢瀬
「模擬戦闘5ラウンド目、10分経過。直ちに武器を収め、攻撃を止めてください」
機械的な声が模擬戦シミュレーションの全終了を告げた。装甲服が破れ擦り傷が全身に残るレイフは、地面に仰向けに倒れたローゼンの喉元に突きつけた棍を下ろした。一見シンプルな金属の棍に見えるがCBN、立方晶窒化ホウ素で大半が構成されている、特殊能力増幅機を組み込んだ武器である。
ローゼンは立ち上がり、コートの服の埃を払ってレイフと相対して、互いに軽く礼をした。コンクリートで覆われたシミュレーションの景色が解けていき、がらんどうの空間が剥き出しになる。
BRAKERS格闘技術局研究員と2人の手合わせを見学していた戦闘要員達からパチパチと拍手が起きた。銃火器使用、徒手空拳のみとそれぞれ縛りの条件を付けたラウンド制の模擬戦だったが、5ラウンド目は近距離武器所持と特殊能力無制限使用の設定だったため、野次馬達も興奮したようだった。
普段は前線の指揮や統括、後方支援をグローバル規模で行なっているレイフが、反対に戦闘能力にトップクラスに優れたローゼンを出し抜いた結果になったからか痛快ですらあった。
「総司令官、先程の立ち回り素晴らしかったです。ヒット&アウェイ方式でいったんですね」
「鍔迫り合いは不利になると分かっていたからな。ただそれはあくまで、ローゼンの能力を私が事前に知っていたからできた戦い方にすぎないな」
レイフの周りを瞬く間に人が取り囲んだ。ローゼンはちらりと横目で見て、自分の得物であるクレセントアックスを研究員達に渡した。この武器もレイフの棍と同様に、CBN製で能力増幅機の機能がある。非常に重い武器のため、研究員は2人がかりで大切そうに運んだ。
スポーツドリンクやタオルが手渡され、女性研究員はローゼンの労をねぎらった。
《時間です、レイフ様。この後ネットワーク上で長官達との定例会の予定が午後3時に入っています》
電脳内のAIがスケジュールを告げる。
「盛り上がっているところすまないが、この後予定が入っている。質問なら後日、格闘技術局研究スレッドで返すから見てほしい。全員分はできないが容赦してくれ」
「お疲れ様です、また楽しみにしています」
《…後で夜、あなたの部屋に行ってもいいですか?》
ローゼンは専用のチャットで電脳越しに伝言を伝えた。
「別に、わざわざ贈り物を毎回用意しなくてもいいのだが」
夜も更けた頃、レイフの寝室で2人は今日の模擬戦の反省会をしていた。レイフはまとめていた髪を下ろして、くつろいだ状態で会話をした。親代わりのレイフに子供の頃から模擬戦で「私が仮に敵になったとしても手を緩めず、全力でかかってこい」と言われていたローゼンにとっては、今日の結果は少しばかり悔しさが残った。
向かい合ってのテーブルには、ミニチュアサイズの小さな鉢植えが置いてあり、花を咲かしている。
「任務関係の出張でたまたま珍しいものを見つけたから、お土産として買ってきたんですよ。喜ぶかなと思って」
「‥お前がそうする時は、何か下心込みでの場合だろう?だが礼は言っておく。ありがとう」
「どういたしまして」
ローゼンは身を乗り出し、手を顔に添えてレイフに優しくキスをした。
「その、久しぶりに本気で戦ったらちょっと昂っちゃって。あなたが嫌だと言うのならしませんけど」
顔を赤くして目線を横にずらしながらローゼンは言った。男同士の肛交をなんとなくレイフは苦手にしているのではないか?と考えた上での言葉だった。何度かそういう行為をしているとは言え、相手に無理強いはしたくなかった。
「セックスで勝ち負けなど存在しないからな。俺を朝まで寝かせないつもりだと言うのならはっ倒す」
「え~…、この前の事根に持ってます?」
まぁ、確かにベッドの上だと主従とか上下関係も何も無いもんな。
ローゼンは電脳内のサポートAIを強制的にスリープモードにし、自分の少し残っている独占欲と支配欲をたしなめた。
2人は見つめ合った刹那、深く口付けをした。
機械的な声が模擬戦シミュレーションの全終了を告げた。装甲服が破れ擦り傷が全身に残るレイフは、地面に仰向けに倒れたローゼンの喉元に突きつけた棍を下ろした。一見シンプルな金属の棍に見えるがCBN、立方晶窒化ホウ素で大半が構成されている、特殊能力増幅機を組み込んだ武器である。
ローゼンは立ち上がり、コートの服の埃を払ってレイフと相対して、互いに軽く礼をした。コンクリートで覆われたシミュレーションの景色が解けていき、がらんどうの空間が剥き出しになる。
BRAKERS格闘技術局研究員と2人の手合わせを見学していた戦闘要員達からパチパチと拍手が起きた。銃火器使用、徒手空拳のみとそれぞれ縛りの条件を付けたラウンド制の模擬戦だったが、5ラウンド目は近距離武器所持と特殊能力無制限使用の設定だったため、野次馬達も興奮したようだった。
普段は前線の指揮や統括、後方支援をグローバル規模で行なっているレイフが、反対に戦闘能力にトップクラスに優れたローゼンを出し抜いた結果になったからか痛快ですらあった。
「総司令官、先程の立ち回り素晴らしかったです。ヒット&アウェイ方式でいったんですね」
「鍔迫り合いは不利になると分かっていたからな。ただそれはあくまで、ローゼンの能力を私が事前に知っていたからできた戦い方にすぎないな」
レイフの周りを瞬く間に人が取り囲んだ。ローゼンはちらりと横目で見て、自分の得物であるクレセントアックスを研究員達に渡した。この武器もレイフの棍と同様に、CBN製で能力増幅機の機能がある。非常に重い武器のため、研究員は2人がかりで大切そうに運んだ。
スポーツドリンクやタオルが手渡され、女性研究員はローゼンの労をねぎらった。
《時間です、レイフ様。この後ネットワーク上で長官達との定例会の予定が午後3時に入っています》
電脳内のAIがスケジュールを告げる。
「盛り上がっているところすまないが、この後予定が入っている。質問なら後日、格闘技術局研究スレッドで返すから見てほしい。全員分はできないが容赦してくれ」
「お疲れ様です、また楽しみにしています」
《…後で夜、あなたの部屋に行ってもいいですか?》
ローゼンは専用のチャットで電脳越しに伝言を伝えた。
「別に、わざわざ贈り物を毎回用意しなくてもいいのだが」
夜も更けた頃、レイフの寝室で2人は今日の模擬戦の反省会をしていた。レイフはまとめていた髪を下ろして、くつろいだ状態で会話をした。親代わりのレイフに子供の頃から模擬戦で「私が仮に敵になったとしても手を緩めず、全力でかかってこい」と言われていたローゼンにとっては、今日の結果は少しばかり悔しさが残った。
向かい合ってのテーブルには、ミニチュアサイズの小さな鉢植えが置いてあり、花を咲かしている。
「任務関係の出張でたまたま珍しいものを見つけたから、お土産として買ってきたんですよ。喜ぶかなと思って」
「‥お前がそうする時は、何か下心込みでの場合だろう?だが礼は言っておく。ありがとう」
「どういたしまして」
ローゼンは身を乗り出し、手を顔に添えてレイフに優しくキスをした。
「その、久しぶりに本気で戦ったらちょっと昂っちゃって。あなたが嫌だと言うのならしませんけど」
顔を赤くして目線を横にずらしながらローゼンは言った。男同士の肛交をなんとなくレイフは苦手にしているのではないか?と考えた上での言葉だった。何度かそういう行為をしているとは言え、相手に無理強いはしたくなかった。
「セックスで勝ち負けなど存在しないからな。俺を朝まで寝かせないつもりだと言うのならはっ倒す」
「え~…、この前の事根に持ってます?」
まぁ、確かにベッドの上だと主従とか上下関係も何も無いもんな。
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