首輪の契約

地下の尋問室に、時間はない。
窓のない灰色の部屋で、敵国の工作員が一人拘束されていた。

名も経歴も偽り。
ただ腕がいい、それだけは確かな男。

尋問に対し、彼は白状ではなく提案を持ち出す。

「白状はしない。だが、契約ならする」

敵国のスパイと、帝国の長官。
交渉は奇妙な形で成立する。

「名前は」

「リュシアン」

その日、移り気な猟犬と飼い主の関係が始まった。

やがて、契約は裏切りへ。
裏切りは、追跡へ。
追跡は――執着へと変わっていく。


登場人物

フェリクス・ハルトマン
帝国軍情報部の長官。
感情を見せない軍人。静かな視線で相手を見定める。

リュシアン・モロー
敵国の諜報員。
捕虜の立場でありながら、白状ではなく契約を持ち出す男。
軽口と皮肉を武器にする。
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