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突然の来訪者に、レオル・ガイリューズ公爵はため息をつく。
現れたのは、赤毛の軍人令嬢――エルヴィナ・アネット。
戦場で数々の異名を背負った彼女は、礼儀も前置きもなく告げる。
「私と結婚しろ」
二年前、命を救われた“借り”を理由に、あまりに唐突な求婚。
家格も性格も正反対の二人の会話は、噛み合っているようでどこかずれている。
これは、無遠慮な令嬢と冷静な公爵が織りなす、
借りと義理から始まる奇妙な結婚交渉の物語。
■エルヴィナ・アネット
赤毛の軍人令嬢。戦場での活躍から数々の異名を持つ。
態度は豪胆、口調は粗雑、貴族らしさは皆無。
レオルの命を救った過去があり、その“借り”を返してもらうために突然求婚に現れる。
■レオル・ガイリューズ
冷静沈着で誠実な公爵。
突然の求婚にも動じず、淡々と状況を見極めようとする。
エルヴィナの無遠慮さに呆れながらも、どこか放っておけない。
文字数 12,450
最終更新日 2026.03.26
登録日 2026.03.21
地下の尋問室に、時間はない。
窓のない灰色の部屋で、敵国の工作員が一人拘束されていた。
名も経歴も偽り。
ただ腕がいい、それだけは確かな男。
尋問に対し、彼は白状ではなく提案を持ち出す。
「白状はしない。だが、契約ならする」
敵国のスパイと、帝国の長官。
交渉は奇妙な形で成立する。
「名前は」
「リュシアン」
その日、移り気な猟犬と飼い主の関係が始まった。
やがて、契約は裏切りへ。
裏切りは、追跡へ。
追跡は――執着へと変わっていく。
登場人物
フェリクス・ハルトマン
帝国軍情報部の長官。
感情を見せない軍人。静かな視線で相手を見定める。
リュシアン・モロー
敵国の諜報員。
捕虜の立場でありながら、白状ではなく契約を持ち出す男。
軽口と皮肉を武器にする。
文字数 16,520
最終更新日 2026.03.18
登録日 2026.03.18
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