サイコドール

みかそ

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冬寂

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 電脳内のAIが慎ましく朝を告げ現在地の天気予報がそっと、まどろんだ意識の中に入ってきた。
  午前7時3分、自分と褥を共にした相手が一緒に寝ているベッドルームないしセカンドハウスの外は雪の予報だった。しんと降り積もる雪が白一色に景色を染めている。まるで全ての音を雪が吸収しているかのようだった。
 徐々に寒さが忍び込み、包み込むように自分に触れた腕や手が何となく離れた感触があった。
   ベッドルームは質素で、概ね部屋の家具と寝具は白と同系統の色でまとめられていた。自分の趣味で、器から少し離れて空中を浮く苔玉や小さな盆栽がインテリアとして置いてある。

   事後の朝だった。当然のように、自分も裸で寝ていた。
   まだベッドの中でまどろみながら、AIに20度の気温で暖房を入れるよう簡易モードで命令し、レイフはぼんやりと夕べの事を思い出した。
 相手の男とは任務や仕事関連の話でとりとめのない事をお互い言い合っていた。ふとした瞬間に相手の男、ローゼンはぎこちなく頬にキスをし、自分をそっと抱きしめた。目を合わせ頬を少し赤くし、照れたように「いいですか?」と問いかけられた。感情を秘めたローゼンの青灰色の目の色が印象に残っていた。

   人の気配がし、サイドテーブルに湯気がたつマグカップが2つ置かれた。そちらを見ようとして、目をうっすらと開ける。褐色の肌の頬をそっと撫でられ、編み上げられた漆黒の長い髪を指先で少し弄ぶ。やはり朝は寒いのか、ローゼンは薄手の服を着ている。
「キッチン探したんだけど、紅茶と緑茶のティーバッグしか無くて。飲みます?」
   頬の手の体温が心地いい。そういえば、2人で現実リアルに会うのも久しぶりだった。いつもは連絡の手段として電脳のチャットが主だった。まだローゼンが小さい頃は暖炉の暖かい炎を見ながら、一緒にソファで雑談をしていた。
 今は遠い過去を思い出しながら、自分がどんな気持ちでいようと雪は降るし、冬は人寂しい季節である事を何となしに想った。
「…のどが乾いたから飲む」
 昨夜は普段と比べて、優しくかき抱かれたような気がした。
 心配げな顔をしたローゼンと目を合わせ、少し肌寒さを覚えながらレイフは髪をかきあげて起き上がった。
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