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終章 正しい黒魔術の使い方

ルドルフ・ヴェンガーッシュ

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 「――雨を降らせたのは君かな? ちょっと話を聞いてみたいのだけれど、どうかな?」
っ!? この声はっ……。
 短めの綺麗な銀髪に、銀色のローブを着ているのは――
「お話……ですか? 私でよろしければ」
ルドルフ・ヴェンガーッシュ国王陛下。
 かつてニースファン王国立学園のすべての部門で首席を獲得し、「天才」と呼ばれたとか。
その持前の頭脳で、何度も国難を解決してきた――今回の件以外は。
 いくら天才でも、天候を操れなどしないから。
 相当困っていたでしょうし、目の前で雨を降らす少女がいたら――そりゃ声をかけるでしょうね。
 話しかけられた理由を推測していると気付いたのか、陛下は少し微笑んだ。
そして、話し始める。
「今君が雨を降らせたのは、どういう事かな?」
……これは国の存続にもかかわるし、話さないといけないわね。
「これは雨を降らせる魔法――黒魔術の一種です」
「なっ!? 黒魔術!? 黒魔術とは、人に害を与える魔術ではないのか!?」
……陛下も黒魔術の勉強不足ですか。まあいいです。
一から説明しますわ。


「……なので、害を与える魔術、というわけではないのです」
「……なるほど。我々は間違った解釈をしていたのだな」
話を終え、陛下は納得してくれた。
「そんなわけ、なかろう!」とか「戯言を言うな‼」なんて言われなくて良かったわ。
すると陛下は、あごに手を当て何かを考え出した。
そして、くるっとこちらを向いた。
「雨を降らせる、か。実に興味深いな。そうだな、二日後、王宮に来てくれないか」
……えっ?
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