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1章 なんで月に町が? なにそれ魔法??

心温令嬢化作戦!!①

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 ストン音を立て、心温たちは着地する。
着地音が軽すぎることに、心温は困惑した。
「さあ着いたわよ。ここがわたし達の家。これからは家族としてよろしくね」
 微笑んで言うジュリエット。
(いや、あたしは何が何だかわからないんですけど……)
と思いつつ、心温は彼女の言う『家』を眺めた。
――ものすごく大きい豪邸、というか城のような家である。
 庭にはたくさんの子犬やウサギが走り回っている。花壇もあり、心温が見たこともないような――というか地球にはないかもしれない――花がたくさん咲いていた。
 プールもあった。プール内で飲食ができるようになっており、酒樽もいくつか見受けられる。ウォータースライダーもあった。
(ウォータースライダーなんて、一回しかやったことない。ウォータースライダーってそんなに身近な物なの?)
心温は、豪邸(城)に圧倒されるばかりだった。
「あ、えっと、なんで家族にしてくれるんですか?」
豪邸(城)に圧倒されて、しどろもどろになってしまったことを心温は悔やんだ。
「なんでって、あなた令嬢になったら絶対に可愛いもの!!」
(は?)
「捨てられていてかわいそうだから」という理由を予想していた心温は、ただただ驚いて、何も答える事ができなかった。
「さあ、dress upドレスアップよ! 私はジュリエット・ルフェーブルよ」
そこ英語じゃなくてよくない? と思ったが、拾われた理由を知れてよかったからか、ツッコミはしなかった。
そしてそのまま心温はジュリエットに腕を引っ張られ、家の中へと強制連行された。


 着いたのは、棚と大きな鏡に椅子のある部屋だった。
「さあ、まずは髪をキレイにしましょう! 捨てられていたからか、髪がボサボサですわよ!」
 (いや、これ地毛なんですけど。捨てられてもいません……)
呆然とする心温を差し置いて、ジュリエットは宝石などの飾りがついたくしを心温の髪にいれようとする。
 もちろん、一度もとかしたことが無い髪にあっさりくしが入るわけもない。
「ギャー!! ヤメテー!!」
髪が絡まりまくって、心温の頭皮に激痛が走る。
無論、この叫びにも女子力のかけらもない。
 「あ、あたしぃ髪とかしたことないんですぅ!!」
それは、髪をとかされる直前に言うべきである。
「まあ、そうなの? ならしっかりやらないとね!」
しかしその言葉は逆効果であった。
さらにジュリエットをやる気にさせてしまったのである。
「さあ、どんどんいくわよ!!!!」
「ギャー!!!」
女子力のかけらもない心温の叫びが、豪邸内にこだました。
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