美形学園

雫@不定期更新

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第一章

始まりの音

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「ねぇ、宗谷(そうや)?私はずっとあなたのことを見守っているからね」
「うん、うん…」
涙ながらにうん、とだけ答えることができた。そして母親は息を引き取った。
「母さん…」
何で母さんが死ななきゃいけないんだ…。代わりに僕が死ねばよかったのに…その時だった。
「がらがらがら」
え?誰か入ってきた。僕は急いで涙を拭う。
「君が宗谷君で合ってるかな?」
「え?ああ、はい…」
「私は美形学園の理事長をしている星川だ」
「星川さん…?」
何だか懐かしいような、そんな気がする。
「君のお母さんとは昔から仲良くさせていただいていてね、私の息子帝のこと覚えているかな?」
「少しだけなら…」
そう、少しだけ思い出したのだがそれは忘れもしない10年ほど前の記憶。
「なぁ、宗谷。こ、これやるよ!」
「これって、たんぽぽ?僕にくれるの?」
「ああ、お前のお母さんびょうき?何だろ?これできっと元気になるって!」
「あ、ありがと…」
母親のことを気遣ってくれる優しい帝のことを思い出した。ちょっとぶっきらぼうだけどとってもいい人だなとその時思ったのだ。
「ならもう知っているかもしれないけれど、結婚式はいつにする?」
「はい?」
「ちょっと待ったぁ!」
意味の分からないことを言われたと思ったらいきなり美形の髪の長い男子が病室に入ってきた。
「うるさいぞ、帝。美香さんに迷惑がかかる」
「ああ、そうだな。って、そうじゃない!俺はこいつとなんか結婚したくない!昔はちょっと可愛げがあったから男だなんて思わなかったんだ!今のこいつは、へ、い、ぼ、ん!そのもの!俺には似合わねえ!」
「そんなことを言っては宗谷君に失礼だろう?」
「う…」
「あの、話が見えないんですが…。僕まずノンケですし…」
「いや、何お前俺がゲイだなんて決めつけてんだ、あ?俺もノンケだわ。元はと言えばな、お前が悪いんだぞ!女みたいな格好してたから!」
ぽろりっと音がしながら涙が零れた。
「だ、だって、母さんが女の子が欲しかったって言ってたから…。もうその時は病気で二人目は望めないからって僕…僕…うえぇええん…」
「泣かないでくれ、宗谷君。とりあえず結婚の話はいったん置いといて、美形学園に入学しないかい?」
美形学園って何だ?美形がいる学園か?
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