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特別捜査室『0課』
気が強い女
しおりを挟む扉にはワープロで打ち出されただけの文字で、
『刑事課特別捜査室』の紙が貼られている。
急に言い渡された異動命令。
少数精鋭の特別捜査室で、特に凶悪・危険で難関な事件を手がけると聞いたけど、まだ3年目のわたしがこんな凄いところにきて良かったのかな。
手袋をはめた左手を見て、不安が募る。
恐る恐るノックして扉を開けた。
「失礼します。本日付でこちらに配属になります鈴原ことです…」
ふっと顔を上げるとそこには、3人の男の人がいた。
「おお、やっと来たな。待ってたぞ」
「遅い。お前が来なきゃ始まらないだろ」
「……」
(え、もしかして…女って私1人!?)
「お前の席はここだ。ほら、こっちこい」
最年長っぽい人が私を席まで促す。
その人以外は同年代っぽい。
「俺は桐沢飛鳥。一応ここを任されてるから、困ったことがあったら何でも言ってくれ」
優しい雰囲気で溢れた彼は、穏やかに微笑んだ。
「……深山恭介」
(深山…?深山って…)
「…ふっ」
「え?」
「お前思ったこと顔に出すぎ。分かりやすい女はモテねぇぞ」
「なっ…!?」
深山、と名乗った彼も、顔には自分に自信があります。って書いてあるようだ。
しかも彼は多分、警視総監の息子さんだ。
「美咲新……よろしく」
「こ、こちらこそ」
「君…」
「え?」
「緊張とかしないんだね」
「え…え?」
「昨日もよく寝れたみたいだし…脈の乱れも血液の流れも正常…たくましい」
「たくましっ…!?」
(違う違う。この人なんてそんなことわかんの…)
「鈴原。ここがどんなところか聞いてきたか?」
「え?ええ…まぁ」
「なんて聞いてきた?」
「えっと…特別な能力を持つ刑事たちがいる少数精鋭の特別捜査室…って聞いてきました」
「よかった。なんら相違なく伝わってたみたいだな。そのとおりだよ。俺はお前らをまとめて、お前らがヘマしたときに責任取るためにいるから、そういう能力はないんだが…ほかの2人には信じられないような)『能力』がある」
(信じられない能力…?)
無意識に左手を握った。
「恭介は一度見たものを写真のように頭のなかにインプットし、引き出したい時に引き出し、要らなくなったら削除できる」
「はぁ…」
「新は超人的な視力をもっている。こいつが狙撃で的を外すことは有り得ない。こいつの目は人の体内やコンピュータの内部まで見えるんだ」
各自特別な能力を持った2人。
それを聞いて私がここへ異動になった理由がはっきりとわかった。
手袋を外すことの出来ない左手。
この力に何度も苦しめられてきた。
けどここでなら、この力を活かせる。
「で、お前は何が出来るんだ?」
「…え?」
そう聞かれて顔を上げると、全員が同じ顔をして私を見ていた。
「聞いてない…んですか?」
「ああ、聞いてないな」
「仲間が1人増える…それだけ」
私は思わず桐沢さんの顔を見た。
「いや、俺も詳しくは聞いてないんだが…確か…」
その時。
『○○区3丁目にて立てこもり事件発生。捜査員は直ちに現場に急行。繰り返すーー』
「お前ら行くぞ」
「はい!」
配属初日。
個性的すぎる仲間と、危険な事件の香りがしたーーーー。
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