Telepathy Love

朱雀恵

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特別捜査室『0課』

立てこもり事件

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現場へは車2台で急行した。
現場の現場の警官に状況を確認する。


場所は銀行。
犯人は3人の強盗グループ。
現金目的の犯行で、現金を要求したところ銀行員が反発。
逆上した犯人が銀行員を傷つけ、立てこもったという。
人質として銀行の中に閉じ込められた人数は客も含めて約30人。



「犯人たちは凶器を持っている。まずは人質だ。人質の救出が第一だ。みんな気合入れろよ」

「「「はい!」」」







犯人の要求は金。
既に要求された3億円の準備がされているという。




「…開いてる」


ぽつりと美咲さんが小さい声で呟いた。

「裏のドア…鍵、開いてる」
「なに?」


(そういえば美咲さんはものすごい視力が良くて、なんでも透視してるみたいに見えるんだっけ)


「他に開いてるところはあるか?」
「…非常口は、外から南京錠がかかってるだけだから、壊せば入れる」
「地図もってこい!」

深山さんの声で警官が地図を持ってくる。

「非常口はここだな。裏ってのはどこだ」
「ここ」

ちょうど非常口と裏口から突入すれば、犯人たちが立てこもっていると思われる場所を挟み込むことが出来る。


「犯人は3人だ。突入するぞ。深山と美咲は非常口の方にいけ。あと、SATに指示出してこい」

「うす」
「…了解」

ふたりが駆け足でSATのリーダーのところへ行く。

「初日なのに悪いな。鈴原は俺と来い。0課に配属されたからには男女関係なく…なんて言うつもりはないから、とにかく俺から離れるなよ」
「…はい」

(桐沢さん、優しいな)





『こちら深山。非常口到着。いつでも行けます』
「こちら桐沢。美咲、中の様子は」
『…犯人3人が正面玄関から外の様子を見てる。人質から少し離れてる』
「よし、3つ数えたら突入だ。俺達3人で犯人を抑えて鈴原に人質の救出を任せる。行くぞ」


(3....2....1....!)



「突入!!」


非常口の方で南京錠を壊す銃声が響く。

なだれ込むように銀行の中に進んでいく。




「動くな!!!」

「警察だ!!!武器を捨てろ!!!!」


美咲さんの言ったとおり、正面玄関から外の様子を伺っていた犯人たち3人は意表つかれたような顔をして慌てふためいている。

「観念するんだな」
「鈴原!頼む!」
「はい!」

わたしは銃を閉まって1箇所に固まっていた人質たちを出口に誘導する。



その時だった。









「動くな」



はっと顔を上げると、そこには人質の中にいたはずの男が、一人の少女に刃物を向けて私の前に立っていた。






「なっ…!?」




「どういうことだ…!犯人は3人だって…」


「人質の中にひとり仲間を紛らせてたんだ」
「こういうことになった時の最終手段としてな」


刃物を向けられた少女を声も出せず暴れることもせず、ただ恐怖に怯えている。



「ほら、離れろ。銃も捨てろ」



みんなと顔を見合わせて、足元に銃を置く。



「そうだな。お前ら男は外に出ろ。邪魔だ。女刑事は残れ。お前も人質だ」

「ダメだ!」

「わかったわ」
「鈴原!」

「そのかわり一つだけ条件を聞いて」











「ごめんね。ちょっと窮屈だけど、すぐに助けるから我慢して」

わたしが出した条件は、人質の少女をわたしが後ろから抱きしめるような形にしてから拘束すること。
すこしでも彼女を守るために。

「あなた、高校生?」
「…はい」
「そう…怖いわよね。でも必ず助けるわ」
「…刑事さんは、怖くないんですか」
「…わたしも怖いわ。でも、こういうことに立ち向かうのがわたしの仕事だから。必ずあなたを守ってみせる」







そして、桐沢さんたちが正面玄関から立ち去ろうとした時。




地鳴りのような足音と共に、SATが突入してきた。

「まだ突入の合図はしてないぞ!」




「鈴原!」
「桐沢さん!」

駆け寄ってきた桐沢さんが手首のガムテープを剥がす。

「外に走れ!」



「行くよ!」


わたしは少女の手をしっかり握って、出口へ向かって走った。






「へへ…出口に向かったって助からねぇよ」

「どういうことだ」
「裏口開けといたのはわざとだって言ってんだよ!これがあるからな!!」



そう言って犯人のひとりが見せたのは、なにかのスイッチのようなものだったーーーーー。









「……刑事さん、出口…!」
「待って」


外の光がほんの少し見え始めたところで、私は足を止めた。

「刑事さん…?」
「なにか聞こえる」









「……は…!!!」





「ほんとだ…だれかの声…」







「す…は…!!!!」









「すずはらーーーーーーーー!!!!」




「桐沢さーーーーーーー」












そこでわたしは何かを察したのかもしれない。




私の真後ろ。
角を曲がった出口のところで、爆弾が爆発した。
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