46 / 132
Mission2 げきまじゅおくちゅりを克服せよ!
46.デイラル先生の薬★
しおりを挟む
あたしは大きく息を吸い込むと、右手でコップをぐいとつかみとる。
そして、左手で鼻を強くつまむと……一気に、コップの中身を飲み干した。
(ママママ、マジューイっ!!!!)
覚悟はしていたが、六歳の少女にこの味は……厳しすぎる。
全身の毛穴から、嫌な汗が一気にどばーっと吹き出すような感覚だ。
この味をなんと表現したらいいのだろうか……。
言葉にならない不味さだ。
あたしは薬の不味さに身悶えながら、涙をだらだらと流した。
薬と一緒に、さっき食べたドロドロ朝ごはんまでが逆流してきそうだ。
「レーシア! 我慢しろ! 吐くな! 味わうな! 飲み込め! 飲み込め! がんばって飲み込むんだ!」
青い顔をして、ライース兄様があたしの背中を懸命にさする。
ライース兄様もデイラル先生の薬の不味さは……身をもって知っているようだ。
デイラル先生はアドルミデーラ家の主治医で、ライース兄様はアドルミデーラ家の長兄だもんね……。
あたしよりもお付き合いが長そうだ。
でも、残念なことにデイラル先生の調合したお薬はよく効くのだ。
不思議なくらいよく効く。
よく効く薬は前世でも今世でも、苦いという設定のようだ。
だから、こんなに苦しそうにしていても、容赦なく飲まされるのだ。
お父様も、お祖母様もデイラル先生の調合したお薬を飲んでいる。
どんな顔をして飲んでいるのか、全く想像できないけど……自分たちが飲めるからって、子どもたちも飲めるだろう、と考えるのはどうかと思う。
そして、恐ろしいことに、吐き出したりするなら『おかわり』もあるのだ……。
絶対に、吐き出すもんか!
目を白黒させながら苦労して薬を飲み込むと、あたしは口を大きくあける。
その中に、口直しの水飴が、ライース兄様の手によってつっこまれる。
口の中に水飴の甘い味がいっぱいに広がり、ようやく人心地がつく。
(あああああ……地獄のようだった)
あたしは、肩でゆっくりと呼吸を繰り返す。
地獄がどんなものかは知らないが、この薬よりもひどいところではないだろう。
生き延びたら生き延びたで、このような死ぬかと思うような苦しみを食後に味わうことになろうとは思いもしなかった。
「よくがんばったな」
ライース兄様があたまをナデナデしてくれる。
「はい。がんばりました」
あたしはコクコクと頷く。
うん。あたし、がんばった!
ものすごくがんばったよ。
六歳の子どもが、こんな不味い薬を飲むなんて……エライと思うよ。
ライース兄様、もっとしっかり気合を入れて褒めてほしい。
「昼食後も同じ薬を飲まないといけないから、がんばるんだぞ」
「…………」
ライース兄様の衝撃的な発言に、あたしの全身が凍りついたのは……いうまでもなかった。
そして、左手で鼻を強くつまむと……一気に、コップの中身を飲み干した。
(ママママ、マジューイっ!!!!)
覚悟はしていたが、六歳の少女にこの味は……厳しすぎる。
全身の毛穴から、嫌な汗が一気にどばーっと吹き出すような感覚だ。
この味をなんと表現したらいいのだろうか……。
言葉にならない不味さだ。
あたしは薬の不味さに身悶えながら、涙をだらだらと流した。
薬と一緒に、さっき食べたドロドロ朝ごはんまでが逆流してきそうだ。
「レーシア! 我慢しろ! 吐くな! 味わうな! 飲み込め! 飲み込め! がんばって飲み込むんだ!」
青い顔をして、ライース兄様があたしの背中を懸命にさする。
ライース兄様もデイラル先生の薬の不味さは……身をもって知っているようだ。
デイラル先生はアドルミデーラ家の主治医で、ライース兄様はアドルミデーラ家の長兄だもんね……。
あたしよりもお付き合いが長そうだ。
でも、残念なことにデイラル先生の調合したお薬はよく効くのだ。
不思議なくらいよく効く。
よく効く薬は前世でも今世でも、苦いという設定のようだ。
だから、こんなに苦しそうにしていても、容赦なく飲まされるのだ。
お父様も、お祖母様もデイラル先生の調合したお薬を飲んでいる。
どんな顔をして飲んでいるのか、全く想像できないけど……自分たちが飲めるからって、子どもたちも飲めるだろう、と考えるのはどうかと思う。
そして、恐ろしいことに、吐き出したりするなら『おかわり』もあるのだ……。
絶対に、吐き出すもんか!
目を白黒させながら苦労して薬を飲み込むと、あたしは口を大きくあける。
その中に、口直しの水飴が、ライース兄様の手によってつっこまれる。
口の中に水飴の甘い味がいっぱいに広がり、ようやく人心地がつく。
(あああああ……地獄のようだった)
あたしは、肩でゆっくりと呼吸を繰り返す。
地獄がどんなものかは知らないが、この薬よりもひどいところではないだろう。
生き延びたら生き延びたで、このような死ぬかと思うような苦しみを食後に味わうことになろうとは思いもしなかった。
「よくがんばったな」
ライース兄様があたまをナデナデしてくれる。
「はい。がんばりました」
あたしはコクコクと頷く。
うん。あたし、がんばった!
ものすごくがんばったよ。
六歳の子どもが、こんな不味い薬を飲むなんて……エライと思うよ。
ライース兄様、もっとしっかり気合を入れて褒めてほしい。
「昼食後も同じ薬を飲まないといけないから、がんばるんだぞ」
「…………」
ライース兄様の衝撃的な発言に、あたしの全身が凍りついたのは……いうまでもなかった。
5
あなたにおすすめの小説
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!
何やってんのヒロイン
ネコフク
恋愛
前世の記憶を持っている侯爵令嬢のマユリカは第二王子であるサリエルの婚約者。
自分が知ってる乙女ゲームの世界に転生しているときづいたのは幼少期。悪役令嬢だなーでもまあいっか、とのんきに過ごしつつヒロインを監視。
始めは何事もなかったのに学園に入る半年前から怪しくなってきて・・・
それに婚約者の王子がおかんにジョブチェンジ。めっちゃ甲斐甲斐しくお世話されてるんですけど。どうしてこうなった。
そんな中とうとうヒロインが入学する年に。
・・・え、ヒロイン何してくれてんの?
※本編・番外編完結。小話待ち。
公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。
三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*
公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。
どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。
※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。
※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
悪役令嬢、隠しキャラとこっそり婚約する
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢が隠しキャラに愛されるだけ。
ドゥニーズは違和感を感じていた。やがてその違和感から前世の記憶を取り戻す。思い出してからはフリーダムに生きるようになったドゥニーズ。彼女はその後、ある男の子と婚約をして…。
小説家になろう様でも投稿しています。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
