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Mission3 お祖母様を救え!
111.賢い馬たち
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カルティが慌てて手綱を引くが、センチュリーはそれを無視してずんずん進んでいく。
どうしても行きたい場所があるようだ。
ローマンの様子もなんだかおかしい。
ライース兄様は手綱を緩めると、センチュリーの扱いに困っているカルティに声をかける。
「カルティ手綱を緩めろ。ここはセンチュリーの好きにさせてみよう。ただし、警戒は怠るなよ」
「は……い」
自由になったセンチュリーは、さらに藪の中を突き進んでいく。乗り手のことを考えているのか、歩みはとてもゆっくりである。
ローマンもためらうことなくセンチュリーの後を追っている。
どれだけ藪の中を進んだだろうか。
そろそろポシェットの中のカッシミーヤ国産の布がなくなるという段階で、不意に景色が開けた。
「あ、この場所は……」
「わあ――っ! すごいですぅ!」
「着いたのか?」
藪が途切れ、ぽっかりとした空間があたしたちを出迎える。
目の前には小さな泉があり、その周囲には白い花がいっぱい咲き乱れている。
さらには、ふわふわと光るものが浮遊していた。
これぞファンタジー!
ファンタスティック!
とてもロマンチックで幻想的な光景だ。
ファンタジーゲームの背景としておススメ絶景の場所だ。さぞかしシナリオも盛り上がるだろう。
ちょっぴり花の甘い香りも漂っている。
カルティが馬を降り、ライース兄様が帯をほどく。
カルティとライース兄様に手伝ってもらって、あたしは地面に降り立った。
ちょっと、ちょっとだけ、お尻が痛くて、脚がガクガクする。
あたし頑張ったよ!
カルティがローマンとセンチュリーの世話をしている間、あたしとライース兄様は池の周囲を観察する。
この景色はゲームで見た景色だ。
この場所で間違いない。
さすがにここと同じ場所がもう一か所ありまして……とかいう意地悪展開はないだろう、と信じたい。
でも、咲いているのは青じゃなくて、白い花。
白い絨毯のように広がっている。
夜の闇の中で少し青白い色に見えなくもないが、青い花じゃない。
「野生のバーニラーヌの花だな」
ライース兄様が足元の花を観察する。
感情のこもっていない淡々とした声が、あたしの胸を深くえぐる。
「見事な光景だな」
確かに、びっしりと咲き誇る白い花は見ていて壮観だ。
前世でいうなら「映える」とかいって大騒ぎになりそうなスポットだ。
ローマンとセンチュリーがムシャムシャとバーニラーヌの花だけを食べ始める。
そういえば、植物図鑑に、野生のバーニラーヌの花は馬の好物だと書かれていた。
道に迷ったカルティがここにたどり着いたのは、バーニラーヌの花の匂いに馬が引き寄せられたのかもしれない。
これだけ咲いていたら食べ放題だね。
お腹を壊さない程度に、白い花なら食べてもいいからね。
「青い『バーニラーヌ』の花は……」
ライース兄様の言葉を振り切り、あたしは泉の方に向かって駆けだした。
「レーシア! どこに行くのだ!」
いきなり走りだしたあたしに驚くライース兄様。
「ライース兄様! 青い『バーニラーヌ』の花をさがします。きっと、ココのドコカにさいているはずです!」
「レーシア! 青い『バーニラーヌ』の花は夏だけに咲く花だろう」
「ライース兄様! そんなこと、しょくぶつずかんには書かれていませんでした! きっと、まだ、どこかでさいています! ぜったいに、さいています!」
あたしはあきらめない。
最後まであきらめるもんか。
もしかしたら、遅咲き、狂い咲きの花があるかもしれない。
あたしは地面にしゃがみ込むと、青い花を捜し始める。
「…………わかった。夜明けまでだ。それまで、ここで捜してみよう」
「はい!」
大きな溜息を吐きながらも、ライース兄様はあたしの隣で同じように花を捜し始めた。
どうしても行きたい場所があるようだ。
ローマンの様子もなんだかおかしい。
ライース兄様は手綱を緩めると、センチュリーの扱いに困っているカルティに声をかける。
「カルティ手綱を緩めろ。ここはセンチュリーの好きにさせてみよう。ただし、警戒は怠るなよ」
「は……い」
自由になったセンチュリーは、さらに藪の中を突き進んでいく。乗り手のことを考えているのか、歩みはとてもゆっくりである。
ローマンもためらうことなくセンチュリーの後を追っている。
どれだけ藪の中を進んだだろうか。
そろそろポシェットの中のカッシミーヤ国産の布がなくなるという段階で、不意に景色が開けた。
「あ、この場所は……」
「わあ――っ! すごいですぅ!」
「着いたのか?」
藪が途切れ、ぽっかりとした空間があたしたちを出迎える。
目の前には小さな泉があり、その周囲には白い花がいっぱい咲き乱れている。
さらには、ふわふわと光るものが浮遊していた。
これぞファンタジー!
ファンタスティック!
とてもロマンチックで幻想的な光景だ。
ファンタジーゲームの背景としておススメ絶景の場所だ。さぞかしシナリオも盛り上がるだろう。
ちょっぴり花の甘い香りも漂っている。
カルティが馬を降り、ライース兄様が帯をほどく。
カルティとライース兄様に手伝ってもらって、あたしは地面に降り立った。
ちょっと、ちょっとだけ、お尻が痛くて、脚がガクガクする。
あたし頑張ったよ!
カルティがローマンとセンチュリーの世話をしている間、あたしとライース兄様は池の周囲を観察する。
この景色はゲームで見た景色だ。
この場所で間違いない。
さすがにここと同じ場所がもう一か所ありまして……とかいう意地悪展開はないだろう、と信じたい。
でも、咲いているのは青じゃなくて、白い花。
白い絨毯のように広がっている。
夜の闇の中で少し青白い色に見えなくもないが、青い花じゃない。
「野生のバーニラーヌの花だな」
ライース兄様が足元の花を観察する。
感情のこもっていない淡々とした声が、あたしの胸を深くえぐる。
「見事な光景だな」
確かに、びっしりと咲き誇る白い花は見ていて壮観だ。
前世でいうなら「映える」とかいって大騒ぎになりそうなスポットだ。
ローマンとセンチュリーがムシャムシャとバーニラーヌの花だけを食べ始める。
そういえば、植物図鑑に、野生のバーニラーヌの花は馬の好物だと書かれていた。
道に迷ったカルティがここにたどり着いたのは、バーニラーヌの花の匂いに馬が引き寄せられたのかもしれない。
これだけ咲いていたら食べ放題だね。
お腹を壊さない程度に、白い花なら食べてもいいからね。
「青い『バーニラーヌ』の花は……」
ライース兄様の言葉を振り切り、あたしは泉の方に向かって駆けだした。
「レーシア! どこに行くのだ!」
いきなり走りだしたあたしに驚くライース兄様。
「ライース兄様! 青い『バーニラーヌ』の花をさがします。きっと、ココのドコカにさいているはずです!」
「レーシア! 青い『バーニラーヌ』の花は夏だけに咲く花だろう」
「ライース兄様! そんなこと、しょくぶつずかんには書かれていませんでした! きっと、まだ、どこかでさいています! ぜったいに、さいています!」
あたしはあきらめない。
最後まであきらめるもんか。
もしかしたら、遅咲き、狂い咲きの花があるかもしれない。
あたしは地面にしゃがみ込むと、青い花を捜し始める。
「…………わかった。夜明けまでだ。それまで、ここで捜してみよう」
「はい!」
大きな溜息を吐きながらも、ライース兄様はあたしの隣で同じように花を捜し始めた。
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