食人勇者と吸血魔王に愛された騎士は本気の逃亡中

東間

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魔族の子供

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「だれかお母さんをたすけてーーーー!!!」

 子供の叫び声に咄嗟に体が動いていた。

「あとから追いかけるね」

 勇者はなぜか俺を追いかけない。あんなに追いかけていたのに、なぜ?

「そんなことより」

 まずは子供だ。













「たしかこの辺で…」

 森の奥。魔素が更に濃くなった場所まで来てしまった。
魔素は人体に良くない…早く見つけなければ。

「だれかっ…お母さんを…だれかっ…」

「!?大丈夫か!?」

 木に隠れるように倒れている子供を見つけ、俺は近寄る。

「…魔族、か?」

「たすけて…お母さんを…兄ちゃん…おねがい…お母さんを…」

 弱々しく俺の足を掴む子供に俺は悲しい気持ちになった。

(魔族を助けるわけにはいかない)

 魔王の駒である魔族は、子供でも大きな戦力となる。
その為見つけ次第する事が国の法律であり、人間族の決定事項。

だが…

『れおなっ!!おかあさま!!』  

 俺は妹と母を思い出して口を噛み締める。

(子供が泣いているのに、助けないのか?本当にそれが正しいのだろうか…?)

「待ってろ」

 俺は治癒魔法を練り込まれた魔石を使い、子供を治す。

「うぅ…お母さん。ごめんなさいお母さん」

「君のお母さんを助けるから、案内してくれ」

「…お母さんごめんなさい…お母さん」

 子供はただ泣いていた。
母親の生存を諦めているのだろう。

「おい」

「ごめんなさいごめんなさい」

「おい!」

「うっ!!」

 俺は子供の肩を掴んで揺さぶる。
本当は頬を叩きたいが、子供に手を上げるわけにはいかない。

「君のお母さんを助けるから早く場所を案内してくれ!」

「助けて…くれるの?」

「絶対助けるから、早く!!」

「っうん!!」

 俺は子供に案内されて更に奥の、魔素の濃い場所へ入る。

「腹減った」 

 そこに居たのは大量の死体の上で寝そべる、黒髪の魔族だった。

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