79 / 105
3章 隣国へ
3-7 イザークを迎えに
しおりを挟む
「アナベル。これからのアルデリアにおいて、魔物は脅威ではなくなる。魔王は倒れ、真の聖女も見つかったからな。その代わり、別のものが脅威となるだろう」
何だと思う?と父が目で問いかけてくる。
「うーん、アルデリアは災害が少ないし……外国でしょうか?」
「そうだ。次の脅威は、他国からの侵略行為。襲撃を受ければ、アルデリアは潰されるやもしれん」
「でも、これまでは何事もなく──あ、そうか」
私はポンと手を叩いた。
「今後はファルガランが守ってくれるか、わからないってことですね」
「ああ。魔王が現れるまで、アルデリアはファルガランを盾にしてきた。それは、ファルガラン王家にかろうじて忠誠心が残っていたからだ」
「そっか……今は、臣下の一人に乗っ取られたんですよね?」
「カスティル公爵のことか?あいつとは手を組みにくい。アルデリアに見捨てられたと思っているだろうからな」
見捨てたというのは、アルデリアのあんな貴族やこんな貴族が、ファルガランへ不良品を送った件だろう。
というか、カスティル公爵「とは」手を組みにくい、ということは……
「まさか……アルデリアに友好的なイザーク王子を、ファルガラン国王に据えるつもりですか?」
だからイザークを助ける、ということなのか。
父の発想に、思わず顔をしかめてしまった。
「でも、うちの前王様、イザークの家族に死刑宣告しちゃってますけど」
「実質、命令を出したのはマチルダだ。それに、イザーク王子は自責の念に駆られているからな。こちらに補償を求めることはあるまい」
「……人の弱みにつけ込むのはどうかと思います」
ジト目で父を見たものの、どこ吹く風、といった表情だ。
しかし、ふいにその顔が曇った。
「まあ、そもそもの問題があるが」
「問題?」
「イザーク王子がペンダントを盗んだことだ。もう、その事実はも揉み消せん」
そういえば、すでに一部の貴族に知られているんだ。
どこに耳があるか、わかったものじゃない。
「王子がファルガランへ逃げても、アルデリアの議員たちが引き渡しを要請したら、カスティル公は嬉々として王子を捕らえるだろうな」
ファルガランの現統治者にとって、元王子は不穏分子でしかない──父はそう続けた。
「じゃあ、まずは死刑を取り消さなくちゃ……」
「その点は、さほど悩むことはないだろう」
「え!?」
私は数秒、絶句した。
目を大きく開いて、父を見つめる。
「イザークの死刑、取り消せるんですか?」
「おそらくは。というか、お前も思いついていたんじゃないのか?」
「いえ、全然何も」
正直に答えたのに、父は「信じられない」と言いたげな顔で私を凝視してきた。
「……まあいい。とにかく、今夜が一番脱獄しやすいはずだ。明日になれば、貴族どもがご機嫌伺いの私兵をよこしてくるだろうからな」
「そうなると面倒ですね……ところで、本当に大丈夫なんですよね?」
「何がだ?」
「さっき、『サムエルさんが身代わりになる』って……」
「イザークと服を交換し、代わりに牢へ入る手筈だ。本人も了承している」
「そうじゃなくて、うっかり処刑しないでってことですよ!」
必死に訴えたのに、父は馬鹿にするようにフンと笑った。
「心配しすぎだ。元王子とはいえ、他国の王族を処刑したがる人間がいると思うか?」
「……いないかも」
貴族本人が手を下すわけではないが、処刑命令は出さなくてはならない。
後々責任問題に発展すると面倒だから、積極的に「やれ!」と言う貴族はいないだろう。
「しかも、陛下にも連絡を取ったのだが……親衛隊やリリィ様と、魔物討伐に同行なさるそうだ。国王、司会ともに不在なら、議会そのものが先送りだな」
「それはありがたいですけど……今回も結構危ないですよ。反対しないんですか?」
「『アルデリア国王が、ファルガランの魔物討伐に協力したと示せたら、ファルガランに対して強気に出られる』との仰せだ。お連れしろ」
「……わかりました」
レオナルドも、すっかり計算高くなっちゃって。
国王として成長したとも言えるけど。
「とにかく……夜になったらイザークを連れ出して、レオナルドたちと合流すればいいんですね」
「ああ。ただ、事情を知る者は少ない方がいい。牢番には、『アナベルとサムエルが処刑人と話したがっている、席を外せ』と伝えておく。長居すると怪しまれるぞ」
「イザークたちが服を交換するだけでしょう?三分もかからないですよ」
「……どうだろうな。事がうまく運べばいいが」
父は額に手を当て、厳しい表情でうつむいた。
警備を手薄にするのに、何を危惧しているんだろう。
私は首を傾げつつ、夜が深まるのを待った。
夕食後、時間潰しに本を読んでいると、ドアがノックされた。
「どうぞ」
はやる気持ちを抑えて、なるべく淡々と返事をする。
「失礼いたします」
サムエルさんの声がして、ドアが開いた。
彼はベージュのマントを着て、フードをかぶっていた。
下を向くと、目元が隠れて誰だかわからない。
おまけに、サムエルさんは金髪の長身。
一瞬イザークと間違えそうだ。
「アナベル様。お誘いいただいたのに、遅くなりまして申し訳ありません。仕事が立て込んでおりまして」
なるほど、そういう設定なのか。
「こちらこそ、お忙しいところすみません。でも、夜の方が落ち着いて話せますから、ちょうどよかったです」
「ありがとうございます。それでは参りましょう」
私たちは焦りを押し殺して、階下へ向かった。
地下へ足を踏み入れると、急に空気がひんやりとする。
私たちに気付いた牢番が、一礼して階段を上がっていった。
その姿が見えなくなり、ほかの牢に誰もいないことを確認してから、
「……イザーク」
と、施錠された牢に声をかける。
薄暗がりの中、ベッドに腰掛けるイザークが立ち上がった。
彼は、いつもの黒いフード付きマントを着ていた。
私の父が渡したのだろうか。
イザークは音もなくこちらへ近づいて、出入り口の前で止まった。
「イザーク、お父様から作戦は聞いてる?」
「はい」
「じゃあ、早くサムエルさんと交代して」
私は父に渡された鍵で、牢の扉を開けた。
一歩下がって、イザークが出てくるのを待つ。
しかし、イザークはその場から動かない。
「早く来て。牢番が戻ってきちゃう」
「アナベル様……私は、行きません」
「え……?」
予想外の返答に、とっさに言葉が出なかった。
「な、何を言ってるの?ファルガランの魔物を倒しに行こうよ」
「アナベル様がおられるのなら、私がいなくとも目的は果たせるでしょう」
「そうかもしれないけど……ここにいたら処刑されるんだよ。嫌でしょ?」
嫌だと言って。
そう祈ったけれど、返ってきたのは無言だった。
「イザークさん。何を考えているのですか?」
ふと、サムエルさんが口を開いた。
静かな問いに、イザークは小さな声で答え始める。
「アナベル様がおそばにいると……心が安らぎます。安らいで、しまうのです。兄と母を殺した、この私が」
「……そんな自分が許せないのですね?だから、このまま法に従いたいと?」
サムエルさんの問いに、イザークは黙って頷いた。
法に従いたい。それはつまり、死刑を望んでいるということだ。
イザークは死を願っている──それを頭が理解した瞬間、私の膝から力が抜けた。
「アナベル様……!」
イザークがかすれた声で私を呼ぶ。
膝をついた私を、サムエルさんが慌てて支えてくれる。
イザークはまだ出てこないが、さらに焦った様子でまくし立てる。
「アナベル様、私を置いて地上へお戻りください。牢番が様子を見に来てしまいます」
そう言われても、頭がクラクラしてどうにもならない。
「サムエル殿、アナベル様を外へお連れしてください……!」
イザークに頼まれたサムエルさんは、「はい」と言いかけて、やめた。
その代わり、含みのある声で答えた。
「私はヘイルフォード公爵に、『処刑人の身代わりをせよ』と言いつかっています。イザークさんが外へ出てください」
「なっ……!」
イザークは小さく舌打ちをした。
それから素早くひざまずき、私に声をかけてきた。
「アナベル様、お逃げください。牢番に見られれば、いずれ話が広がります」
そうだろうな、と私はぼんやり思った。
人の口に戸は立てられない。
イザークの件だってそうだ。
密かに行動したつもりなのに、宮廷貴族に知られてしまった。
「死刑囚の牢を開けたとあれば、サムエル殿がどんな罰を受けるか。アナベル様も糾弾されます。立ってください、アナベル様」
「無理……というか、嫌だ」
「嫌?」
「イザークをここに置いていくのは、嫌……」
そう呟くと、イザークは呆れたようにため息をついた。
「本当に困った人だな……どうすれば立ってくださるのですか」
どうすれば….
どうすれば、イザークは生きてくれる?
彼には生きたいという気持ちがない。
でも、私を大切にしてくれている。
私との約束を、覚えていてくれた。
破ることになって申し訳ない、と謝ってくれた。
彼は律儀で真面目だから。
だから、次に交わす約束は、きっと破れなくなる。
「……イザーク、新しい約束をして」
「約束?」
「『死なない』じゃなくて、『一緒に生きる』って約束して。そうしたら、ここを出る」
何だと思う?と父が目で問いかけてくる。
「うーん、アルデリアは災害が少ないし……外国でしょうか?」
「そうだ。次の脅威は、他国からの侵略行為。襲撃を受ければ、アルデリアは潰されるやもしれん」
「でも、これまでは何事もなく──あ、そうか」
私はポンと手を叩いた。
「今後はファルガランが守ってくれるか、わからないってことですね」
「ああ。魔王が現れるまで、アルデリアはファルガランを盾にしてきた。それは、ファルガラン王家にかろうじて忠誠心が残っていたからだ」
「そっか……今は、臣下の一人に乗っ取られたんですよね?」
「カスティル公爵のことか?あいつとは手を組みにくい。アルデリアに見捨てられたと思っているだろうからな」
見捨てたというのは、アルデリアのあんな貴族やこんな貴族が、ファルガランへ不良品を送った件だろう。
というか、カスティル公爵「とは」手を組みにくい、ということは……
「まさか……アルデリアに友好的なイザーク王子を、ファルガラン国王に据えるつもりですか?」
だからイザークを助ける、ということなのか。
父の発想に、思わず顔をしかめてしまった。
「でも、うちの前王様、イザークの家族に死刑宣告しちゃってますけど」
「実質、命令を出したのはマチルダだ。それに、イザーク王子は自責の念に駆られているからな。こちらに補償を求めることはあるまい」
「……人の弱みにつけ込むのはどうかと思います」
ジト目で父を見たものの、どこ吹く風、といった表情だ。
しかし、ふいにその顔が曇った。
「まあ、そもそもの問題があるが」
「問題?」
「イザーク王子がペンダントを盗んだことだ。もう、その事実はも揉み消せん」
そういえば、すでに一部の貴族に知られているんだ。
どこに耳があるか、わかったものじゃない。
「王子がファルガランへ逃げても、アルデリアの議員たちが引き渡しを要請したら、カスティル公は嬉々として王子を捕らえるだろうな」
ファルガランの現統治者にとって、元王子は不穏分子でしかない──父はそう続けた。
「じゃあ、まずは死刑を取り消さなくちゃ……」
「その点は、さほど悩むことはないだろう」
「え!?」
私は数秒、絶句した。
目を大きく開いて、父を見つめる。
「イザークの死刑、取り消せるんですか?」
「おそらくは。というか、お前も思いついていたんじゃないのか?」
「いえ、全然何も」
正直に答えたのに、父は「信じられない」と言いたげな顔で私を凝視してきた。
「……まあいい。とにかく、今夜が一番脱獄しやすいはずだ。明日になれば、貴族どもがご機嫌伺いの私兵をよこしてくるだろうからな」
「そうなると面倒ですね……ところで、本当に大丈夫なんですよね?」
「何がだ?」
「さっき、『サムエルさんが身代わりになる』って……」
「イザークと服を交換し、代わりに牢へ入る手筈だ。本人も了承している」
「そうじゃなくて、うっかり処刑しないでってことですよ!」
必死に訴えたのに、父は馬鹿にするようにフンと笑った。
「心配しすぎだ。元王子とはいえ、他国の王族を処刑したがる人間がいると思うか?」
「……いないかも」
貴族本人が手を下すわけではないが、処刑命令は出さなくてはならない。
後々責任問題に発展すると面倒だから、積極的に「やれ!」と言う貴族はいないだろう。
「しかも、陛下にも連絡を取ったのだが……親衛隊やリリィ様と、魔物討伐に同行なさるそうだ。国王、司会ともに不在なら、議会そのものが先送りだな」
「それはありがたいですけど……今回も結構危ないですよ。反対しないんですか?」
「『アルデリア国王が、ファルガランの魔物討伐に協力したと示せたら、ファルガランに対して強気に出られる』との仰せだ。お連れしろ」
「……わかりました」
レオナルドも、すっかり計算高くなっちゃって。
国王として成長したとも言えるけど。
「とにかく……夜になったらイザークを連れ出して、レオナルドたちと合流すればいいんですね」
「ああ。ただ、事情を知る者は少ない方がいい。牢番には、『アナベルとサムエルが処刑人と話したがっている、席を外せ』と伝えておく。長居すると怪しまれるぞ」
「イザークたちが服を交換するだけでしょう?三分もかからないですよ」
「……どうだろうな。事がうまく運べばいいが」
父は額に手を当て、厳しい表情でうつむいた。
警備を手薄にするのに、何を危惧しているんだろう。
私は首を傾げつつ、夜が深まるのを待った。
夕食後、時間潰しに本を読んでいると、ドアがノックされた。
「どうぞ」
はやる気持ちを抑えて、なるべく淡々と返事をする。
「失礼いたします」
サムエルさんの声がして、ドアが開いた。
彼はベージュのマントを着て、フードをかぶっていた。
下を向くと、目元が隠れて誰だかわからない。
おまけに、サムエルさんは金髪の長身。
一瞬イザークと間違えそうだ。
「アナベル様。お誘いいただいたのに、遅くなりまして申し訳ありません。仕事が立て込んでおりまして」
なるほど、そういう設定なのか。
「こちらこそ、お忙しいところすみません。でも、夜の方が落ち着いて話せますから、ちょうどよかったです」
「ありがとうございます。それでは参りましょう」
私たちは焦りを押し殺して、階下へ向かった。
地下へ足を踏み入れると、急に空気がひんやりとする。
私たちに気付いた牢番が、一礼して階段を上がっていった。
その姿が見えなくなり、ほかの牢に誰もいないことを確認してから、
「……イザーク」
と、施錠された牢に声をかける。
薄暗がりの中、ベッドに腰掛けるイザークが立ち上がった。
彼は、いつもの黒いフード付きマントを着ていた。
私の父が渡したのだろうか。
イザークは音もなくこちらへ近づいて、出入り口の前で止まった。
「イザーク、お父様から作戦は聞いてる?」
「はい」
「じゃあ、早くサムエルさんと交代して」
私は父に渡された鍵で、牢の扉を開けた。
一歩下がって、イザークが出てくるのを待つ。
しかし、イザークはその場から動かない。
「早く来て。牢番が戻ってきちゃう」
「アナベル様……私は、行きません」
「え……?」
予想外の返答に、とっさに言葉が出なかった。
「な、何を言ってるの?ファルガランの魔物を倒しに行こうよ」
「アナベル様がおられるのなら、私がいなくとも目的は果たせるでしょう」
「そうかもしれないけど……ここにいたら処刑されるんだよ。嫌でしょ?」
嫌だと言って。
そう祈ったけれど、返ってきたのは無言だった。
「イザークさん。何を考えているのですか?」
ふと、サムエルさんが口を開いた。
静かな問いに、イザークは小さな声で答え始める。
「アナベル様がおそばにいると……心が安らぎます。安らいで、しまうのです。兄と母を殺した、この私が」
「……そんな自分が許せないのですね?だから、このまま法に従いたいと?」
サムエルさんの問いに、イザークは黙って頷いた。
法に従いたい。それはつまり、死刑を望んでいるということだ。
イザークは死を願っている──それを頭が理解した瞬間、私の膝から力が抜けた。
「アナベル様……!」
イザークがかすれた声で私を呼ぶ。
膝をついた私を、サムエルさんが慌てて支えてくれる。
イザークはまだ出てこないが、さらに焦った様子でまくし立てる。
「アナベル様、私を置いて地上へお戻りください。牢番が様子を見に来てしまいます」
そう言われても、頭がクラクラしてどうにもならない。
「サムエル殿、アナベル様を外へお連れしてください……!」
イザークに頼まれたサムエルさんは、「はい」と言いかけて、やめた。
その代わり、含みのある声で答えた。
「私はヘイルフォード公爵に、『処刑人の身代わりをせよ』と言いつかっています。イザークさんが外へ出てください」
「なっ……!」
イザークは小さく舌打ちをした。
それから素早くひざまずき、私に声をかけてきた。
「アナベル様、お逃げください。牢番に見られれば、いずれ話が広がります」
そうだろうな、と私はぼんやり思った。
人の口に戸は立てられない。
イザークの件だってそうだ。
密かに行動したつもりなのに、宮廷貴族に知られてしまった。
「死刑囚の牢を開けたとあれば、サムエル殿がどんな罰を受けるか。アナベル様も糾弾されます。立ってください、アナベル様」
「無理……というか、嫌だ」
「嫌?」
「イザークをここに置いていくのは、嫌……」
そう呟くと、イザークは呆れたようにため息をついた。
「本当に困った人だな……どうすれば立ってくださるのですか」
どうすれば….
どうすれば、イザークは生きてくれる?
彼には生きたいという気持ちがない。
でも、私を大切にしてくれている。
私との約束を、覚えていてくれた。
破ることになって申し訳ない、と謝ってくれた。
彼は律儀で真面目だから。
だから、次に交わす約束は、きっと破れなくなる。
「……イザーク、新しい約束をして」
「約束?」
「『死なない』じゃなくて、『一緒に生きる』って約束して。そうしたら、ここを出る」
38
あなたにおすすめの小説
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした
きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。
全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。
その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。
失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。
婚約破棄のその場で転生前の記憶が戻り、悪役令嬢として反撃開始いたします
タマ マコト
ファンタジー
革命前夜の王国で、公爵令嬢レティシアは盛大な舞踏会の場で王太子アルマンから一方的に婚約を破棄され、社交界の嘲笑の的になる。その瞬間、彼女は“日本の歴史オタク女子大生”だった前世の記憶を思い出し、この国が数年後に血塗れの革命で滅びる未来を知ってしまう。
悪役令嬢として嫌われ、切り捨てられた自分の立場と、公爵家の権力・財力を「運命改変の武器」にすると決めたレティシアは、貧民街への支援や貴族の不正調査をひそかに始める。その過程で、冷静で改革派の第二王子シャルルと出会い、互いに利害と興味を抱きながら、“歴史に逆らう悪役令嬢”として静かな反撃をスタートさせていく。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
前世ブラックOLの私が転生したら悪役令嬢でした
タマ マコト
ファンタジー
過労で倒れたブラック企業勤めのOLは、目を覚ますと公爵令嬢アーデルハイトとして転生していた。しかも立場は“断罪予定の悪役令嬢”。だが彼女は恋愛や王子の愛を選ばず、社交界を「市場」と見抜く。王家の財政が危ういことを察知し、家の莫大な資産と金融知識を武器に“期限付き融資”という刃を突きつける。理想主義の王太子と衝突しながらも、彼女は決意する――破滅を回避するためではない。国家の金脈を握り、国そのものを立て直すために。悪役令嬢の経済戦争が、静かに幕を開ける。
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。
潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。
悪役令嬢に転生したけど、破滅エンドは王子たちに押し付けました
タマ マコト
ファンタジー
27歳の社畜OL・藤咲真帆は、仕事でも恋でも“都合のいい人”として生きてきた。
ある夜、交通事故に遭った瞬間、心の底から叫んだーー「もう我慢なんてしたくない!」
目を覚ますと、乙女ゲームの“悪役令嬢レティシア”に転生していた。
破滅が約束された物語の中で、彼女は決意する。
今度こそ、泣くのは私じゃない。
破滅は“彼ら”に押し付けて、私の人生を取り戻してみせる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる