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3 生徒会室で
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わたくし達が、一通り愚痴という名の意見交換を終え、溜まっている書類に着手した頃でした。
「お姉様、探しましたわ!」
乱暴に生徒会室の扉が開き、開口一番の異母妹ベティーナの言葉が響きます。
ノックも、挨拶もなしです。
わたくし一人ならまだしも、アデルナ様もいらっしゃるのに挨拶も出来ないなんて……とても恥ずかしいですわ。
ズカズカと当然の様に生徒会室に入ってくるベティーナ。
上品にそっと扉を閉める前へ行き、廊下を見て殿下が引っ付いて来ていないか確認されるアデルナ様。
対照的ですわね。
容姿も対照的ですわよ。
ふわふわ可愛い系と凛とした美人系。
「お姉様、どうしていつも隠れてしまうのですか?はい!」
ベティーナは無造作に手を差し出します。
しかし、この手は何でしょうね?
「もう~、お姉様のお持ちの書類は、私の為のレポートですわよね。早く渡して下さいませ!」
「これは、次回行事の生徒会資料ですわよ」
「うそ、ここに『1年生発表会』と書いてあるではありませんか!」
「そうですわ。発表会は授業ですけれど、進行は生徒会がするのですもの。その資料ですわね」
チッ使えない。
とても小さいですが、舌打ちと一緒に聞こえてますわよベティーナ。
「お姉様は生徒会役員ではないですよね?それよりも身内を優先するべきですわ!」
力強く言っているけれど、ベティーナの為に動けとわたくしに言っているのよね。
ベティーナは、可愛く庇護欲をそそる顔をしております。
強請れば何でも願いを聞いてもらえる、と思っている節がありますの。
「わたくしは手伝いませんわよ。1年生の課題なのですから、ご自分で調べて考えなさい」
「そんな……間に合いませんわ。どうしてそんなに意地悪をされるのですか?二人きりの姉妹ですのに……」
「何度も言っているでしょう?母親が違うのです。お互い立場が違うのです。わたくしが発表した物は使えません。貴女の母親が発表した物を利用した方が有意義ですわよ」
ベティーナが学園に入学する際、お父様に呼び出されました。
その時、わたくしはベティーナの課題は一切手伝わない、と言ったのです。
父と継母とベティーナの前で、はっきりすっぱりと宣言いたしました。
しかし、いざとなったらわたくしが手伝わざるを得ないと考えていたのかもしれません。
学園伝統の恒例行事ですもの。
それにまぁ、殿下という悪しき前例がありますからね。
「酷い!お母様を侮辱するなんて……だからお姉様は一緒に暮らせなかったのよ!」
わたくしが王都に住んでいたのは、お母様がご存命の時までです。
幼すぎて、その頃の記憶は朧げですわね。
母が亡くなり、お父様は待っていたようにすぐに後妻を連れてきたそうです。
お腹も目立っていた為、焦っていたのでしょう。
継母とは生さぬ仲なのですから、無理に一緒に住む必要がない。
と、祖母がわたくしを領地に連れて帰ったのです。
だから、ベティーナとは一緒には住んだ事はありません。
しかし、わたくしはベルンハルト殿下の婚約者でしたから、年間それなりの回数王都に来ていましたもの。
ベティーナの振る舞いは良く知っておりますわ。
「お姉様、探しましたわ!」
乱暴に生徒会室の扉が開き、開口一番の異母妹ベティーナの言葉が響きます。
ノックも、挨拶もなしです。
わたくし一人ならまだしも、アデルナ様もいらっしゃるのに挨拶も出来ないなんて……とても恥ずかしいですわ。
ズカズカと当然の様に生徒会室に入ってくるベティーナ。
上品にそっと扉を閉める前へ行き、廊下を見て殿下が引っ付いて来ていないか確認されるアデルナ様。
対照的ですわね。
容姿も対照的ですわよ。
ふわふわ可愛い系と凛とした美人系。
「お姉様、どうしていつも隠れてしまうのですか?はい!」
ベティーナは無造作に手を差し出します。
しかし、この手は何でしょうね?
「もう~、お姉様のお持ちの書類は、私の為のレポートですわよね。早く渡して下さいませ!」
「これは、次回行事の生徒会資料ですわよ」
「うそ、ここに『1年生発表会』と書いてあるではありませんか!」
「そうですわ。発表会は授業ですけれど、進行は生徒会がするのですもの。その資料ですわね」
チッ使えない。
とても小さいですが、舌打ちと一緒に聞こえてますわよベティーナ。
「お姉様は生徒会役員ではないですよね?それよりも身内を優先するべきですわ!」
力強く言っているけれど、ベティーナの為に動けとわたくしに言っているのよね。
ベティーナは、可愛く庇護欲をそそる顔をしております。
強請れば何でも願いを聞いてもらえる、と思っている節がありますの。
「わたくしは手伝いませんわよ。1年生の課題なのですから、ご自分で調べて考えなさい」
「そんな……間に合いませんわ。どうしてそんなに意地悪をされるのですか?二人きりの姉妹ですのに……」
「何度も言っているでしょう?母親が違うのです。お互い立場が違うのです。わたくしが発表した物は使えません。貴女の母親が発表した物を利用した方が有意義ですわよ」
ベティーナが学園に入学する際、お父様に呼び出されました。
その時、わたくしはベティーナの課題は一切手伝わない、と言ったのです。
父と継母とベティーナの前で、はっきりすっぱりと宣言いたしました。
しかし、いざとなったらわたくしが手伝わざるを得ないと考えていたのかもしれません。
学園伝統の恒例行事ですもの。
それにまぁ、殿下という悪しき前例がありますからね。
「酷い!お母様を侮辱するなんて……だからお姉様は一緒に暮らせなかったのよ!」
わたくしが王都に住んでいたのは、お母様がご存命の時までです。
幼すぎて、その頃の記憶は朧げですわね。
母が亡くなり、お父様は待っていたようにすぐに後妻を連れてきたそうです。
お腹も目立っていた為、焦っていたのでしょう。
継母とは生さぬ仲なのですから、無理に一緒に住む必要がない。
と、祖母がわたくしを領地に連れて帰ったのです。
だから、ベティーナとは一緒には住んだ事はありません。
しかし、わたくしはベルンハルト殿下の婚約者でしたから、年間それなりの回数王都に来ていましたもの。
ベティーナの振る舞いは良く知っておりますわ。
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