【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり

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 父が王都にやって来た。
 カルドラシオ辺境伯家の屋敷では、久々の当主の訪問で慌ただしい。

「父上、なんでしょうか?」

 父は俺に用があるらしく、寛いでいた所を話しかけられた。

「バート、お前の婚約者を決めようと思う」
「俺が王太子の側近を続ける際、自由に決めてもいいとなったはずですが……」

 俺は昔から女性にそれ程興味がわかず、剣を振っていた方が有意義だと思っていた。
 王太子の側近をする際も、王都は何かと煩わしいので嫌がったが、将来の領地の為と言われ従った。
 その際、山と来ていた婚約話を蹴る事と今後自由にする権利を手に入れていた。

「事情が変わった」

 父はヘインズ領一帯と当領地周辺での編制具合などが、今回の事で一変したのだと告げた。

「当家から鉱山へ入れている者達や当領から出稼ぎに行った者達が総じて『当家とクラーラ様双方の利益になりますなら』『あの人の不利益になりませんよね』『お嬢様のお役に立つのなら』と言う。内気な娘ではなかったのか」

 今までクラーラ嬢は、色々と親身になってやってきていたからな。
 ヘインズ領の鉱山に変化があれば、我が領も影響は甚大。
 何人かの間諜を入れているのだろう。
 貴族ではよくある事だ。

 もしかしたら俺に言わなかっただけで、ロンバード男爵の不正の情報位は手に入れていたのかもしれない。

「今度の事実上の鉱山責任者はやり手だ。何処から見つけてきたんだか、我が領に欲しい逸材だ。事実上乗っ取る事も出来ん。そこで婚約を申し出る」
「年齢に開きがありませんか?」

 クラーラ嬢は十四歳で俺とは八歳差がある。
 貴族の年齢差結婚はよくある事だが、申し出が多い場合歳が近い方が有利だ。

「年齢的に難しくともお前しか余っていない。下の息子達は婚約者と仲がいい。それらを破棄してとも考えたが、それはそれで不利になるからな」

 それは、弟達が可哀想だな。

「とにかくだ、あの地を他の貴族に奪われる訳にはいかんのだ。もう様々な所が動いている。出遅れている位だ」

 出遅れているという言葉は何故か俺を苛立たせた。
 婚約破棄したばかりのクラーラ嬢に無神経な。

「それで辺境の地を預かるものとして申し出る。なに、将来は辺境伯夫人だ。王都育ちというのが不安材料だが、ヘインズ領での評判もいい。それなりにやってくれるだろう」

 一応父親の話は聞いたが、俺の返事は最初から決まっている。

「父上の話はわかりましたが、お断りします」
「何?」

「私は政略結婚に興味がありませんので」

 それからは、一悶着あったが父の「勝手にしろ」と言う言葉をもぎ取った。



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