【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて

ゆうぎり

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59 バートの初恋

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 俺は剣を振るうのが好きだ。
 その際キャーキャー喚く女など邪魔でしかない。

 俺の立場上寄ってくる鬱陶しい女は後を絶たず、適当にあしらっていたら『すげなくあしらう遊び人』と言われる様になった。

 社交辞令的に無難に令嬢の相手をしていただけで遊んでなどいないが、何故そう言われるようになったかは不明だ。

 身近にいた女など従妹のマーナくらいだろう。
 頻繁にカルドラシオ辺境伯領の情報を持って王都に来る。

 後は、ハンスの妹のクラーラ嬢くらいか。

「クラーラ嬢との政略結婚……」

 彼女には笑っていて欲しい。

 クラーラ嬢が産まれた時は、あまりの小ささに驚いた。
 弟はいるが歳が近い為、赤子の頃を覚えてなかったから尚更だった。

 ハンスの屋敷に行く度に、大きくなっていく。
 その内「クーはねあそぶの、クーはねっ」と言いながら、小さな体で一生懸命に俺達の後ろをついて回った。
 キラキラとした笑顔が可愛くて、ハンスと一緒に髪を揉みくちゃにしたら凄く怒ったが、そんな顔も可愛かった。

 その内俺達が王太子に振り回され忙しくなり、会う回数は極端に減った。
 クラーラ嬢は、会う度に表情が曇っていき俯きがちになっていった。
 遊学前には、笑った顔を見なくなった。

「笑えばいいのに」

 そう言ったら、困った顔をした。

 この前久しぶりにクラーラ嬢といたが、手触りのいい焦げ茶の髪は触っていると気持ちが安らぐのは変わらなかった。

 やはり昔の様に笑えばいいのに、俺なら……

 そんな風に考えていると、マーナが乱入してきた。

「聞いたわよ、クラーラとの事断ったんですって」
「当然だろう?クラーラ嬢は妹の様なものだ」

 相変わらず耳が早い。

「妹ねぇ、気づいていないの?」
「何がだ?」
「バート、貴方がクラーラにプレゼントしたイヤリングよ」
「それがどうした」

 小さくて可愛かったじゃないか。
 控えめに笑うクラーラ嬢も一段と可愛くなった。

「まったくもう……自分の瞳の色をプレゼントしておいて無意識?」
「え?」
「ねぇ、バート想像してみて。貴方が笑って欲しいと思うのは誰?泣いて欲しくないのは誰?貴方このままだと、クラーラが他の男の前で笑っているのを見続けるのよ」

 少し考え何故か血の気が引いた。

「別に政略なんて考えないで、普通に告白すれば?」
「……そうか、勝手に決められるのが嫌だったのか」

 ストンと、胸に何かが落ちた。

「鈍い男……」

 後ろでマーナが悪態をついていたが、急ぎ父と話しをする為部屋を出た。


 クラーラは枯れた花がナディオとの関係だと言った。
 それなら俺は綺麗に咲かせてみせよう。
 彼女の笑顔はとても魅力的なのだから。








―――
お読みいただきありがとうございました


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感想 29

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みんなの感想(29件)

hiyo
2025.03.10 hiyo

もう少し先まで読んでみたかったかな~と思いました。
素敵な物語を有難うございました。

解除
にゃおん
2022.01.10 にゃおん
ネタバレ含む
解除
Nina
2021.09.14 Nina
ネタバレ含む
2021.09.14 ゆうぎり

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

完結です。
力不足で申し訳ない(;^_^A

解除

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