恋人だと思っていたのは私だけだったようです~転移先で女神から後付けでスキルを貰えたので、気分を切り替え何とかやっていきます

ゆうぎり

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街の外

4 林での見廻り

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 昼食が終わり、クルトさんが林の見廻りをするという。

「カーリは俺と組む。一人は洞に残って待機。他もいつもの様に林の見廻りを頼む」

 今回は狩りではなく、周りに異常がないかの見廻り。
 クルトさんは普段は一人で動く所、私を連れて行ってくれるらしい。
 お世話になります。

 皆と離れた林の中、クルトさんの説教が始まった、えっなんで?

「カーリ、お前は危機感が足りなすぎる。無防備過ぎる。なんだあの話は……皆国から逃げて来ているが、元々どんな立場の者が分からないんだぞ」
「……ごめんなさい、でも他に情報を知る事なんて出来なくて」
「そうかもしれんが、神殿の話は色々とタブーも多い。カーリは神殿の宗派なんて知らないだろう?」

 そういえば、元の世界でもあった。
 同じ宗教でも宗派によって違ったし、全てが仲が良かった訳では無い。
 そう気づいた私の顔色は変わったのだろう。
 クルトさんの声が少し優しくなった。

「カーリはこの国を出ていくのか?」
「そのつもりで今情報を集めていたんだけどね。神像師を探し出して、壊れてしまった像の修復を頼みたいの」
「そうか……だが、それは必ず必要なのか?少しでも必要がないと思うなら、諦めた方がいい」
「クルトさん何か知っているの?知っているならなんでもいいの、少しでもいいから教えて!」

 苦い顔をしたクルトさんの沈黙は、突然の他の音で破られた。

「おお、凄いなこの林は。これ王都に持っていけないか?こんな所にあるなんて勿体ない」
「王都近くの林では、いい木材は切り倒されてないですからね。これなんか弓の素材に良さそうですよ」

 クルトさんが急いで私を引っ張り、藪の中に隠れた。

「先遣隊だ。王族が近くまで来ているようだな」

 小声でクルトさんが教えてくれた。
 服装は街中の騎士よりも煌びやかで目立っていた。
 数人の先遣隊はざっとこの辺りを見た後、去っていった。

「あんなに目立った服装なんてして、王都ってここから近いんですか?」
「違うぞカーリ。王都は遠い。だがな、移動の際も王族の権威を表す為あえて派手なのさ」
「そんなものなんですか?」
「ああ、そうだ。しかし、この辺りまで見廻るなんてかなり高位な王族が出張ってきているのかもしれんな」

 クルトさんが考え込んでいるが、何かあるのだろうか。

「くそ、情報が足りん。考えても仕方ないか」

 そう呟くと、私との先程の会話も忘れてさっさと移動を始めた。

「カーリ、場合によっては明日以降籠る事になる。今のうちに食える実を取っておくぞ」

 遅れる私に一声かけたクルトさんは、先遣隊と逆方向へ向かい、私は小走りについて行く。

「カーリこれを持って。ほら落とすなよ」

 次々と投げられる木の実を抱えた。
 収納を使おうと思ったら全く使えなかった。

「クルトさん、こんなに持てない」
「俺も持つに決まってるだろう。一旦その木の下にでも置いておけ。後で袋を渡してやる」
「最初に渡してよ」

 焦った声は、増えていく木の実の事だと思っただろう。
 早朝、自分のカバンは取り出せた。
 さっきもカバンに入っていた、別の小分けの塩は念の為収納した。

 こっそり一つだけ手のひらに乗せ「収納」と集中して唱えると使えた。
 何か条件があるの?

 私のこけしもどきへの不信感は募るばかりだった。



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