116 / 138
最終章
110
しおりを挟む
薄暗い森の中を進む、サラ一行。だが、時折魔獣のものと思しき鳴き声が響き、その度馬が怯えて止まってしまう為に、その進む速度はあまり速くなかった。
「これ以上先はもう無理そうね」
ある程度森を進んだところで、ナターシャがそう判断を下す。
その理由は、森の奥は魔獣が数多く生息しており、馬に乗ったままでは突然現れた魔獣に咄嗟に対応できないからだ。
ナターシャの言葉を聞き、各々が馬から降りる準備を進める。
「ここからは歩きよ。荷物を持ちながらだから、この前とは勝手が違うわ。十分警戒なさい」
「「「「はい」」」」
ここから先は、馬に括っていた荷物を持って歩かなければならない。重い荷物を持ちながらでは、戦闘に支障が出ることは明白だ。だからこそ、出来る限り優位に立てるよう警戒をする必要があった。
このことを想定して荷物は必要最低限にしてある。だが、それでもかなりの量がある。何時までこの森に居なければならないか分からないからだ。
「馬は?」
「このまま離すわ。繋いでいたら、魔獣の餌よ」
どの道手放す予定だった訓練が済んでいない馬だ。
……あまり訓練されていなかったせいで、魔獣に怯えてしまった訳だが。
「それじゃあ行くわよ」
「行く宛ては?」
最もな意見だ。闇雲に森を歩けば、逆にこちらが危険に晒されかねない。
「まずは周辺の村に向かうわ。もしかしたらいる可能性があるし、いなかったなら誰か連絡要員として残ってもらうつもりよ」
ナターシャは森に入る前、つまり、準備段階で全員に魔導石版を渡していた。一般的な通信具では繋がらないからだ。
というのも、通信具は元々街中で使われるよう想定されて作られている。そのため森の中では通信が木々に邪魔され安定せず、オマケに魔力を持つ魔獣の存在で通信が掻き消されてしまうのだ。それ故にナターシャは全員に魔導石版を配っていた。
……ちなみに以前街の外にいるクーリアの通信が街中のサラに届いた理由は、付近に魔獣が何故かいなかったからであった。
(クーにも渡しておけば今頃…)
後悔先に立たず。だが、普通はこんな状況に陥るとは誰もが予想出来ないだろう。後悔する必要は無い。
「この魔導石版で村の様子は聞けないんですか?」
「現在村は結界を展開しているから、こちらからの通信は届かない。直接行くしかないわ」
中からならば問題はないのだが、外からは弾いてしまうのだ。
「急ぐわよ。付いてきて」
ナターシャが森の奥へと駆け出し、その後ろをサラ達がついて行く。無論警戒は怠らない。
「っ!《アイスアロー》!」
前方方向より近付く魔獣の気配を察知したリーフィアが、氷の矢を放つ。青白く輝く氷の矢は、近付いてきていた魔獣の眼球を正確に貫いた。
「いい判断よ!」
ナターシャが魔獣の横を通り抜けながらトドメを刺す。いちいち立ち止まってなど居られない。足を止めれば、待つのは死。それだけ敵の反応が膨大だった。
「出来る限り戦闘は避けて!」
戦闘の音に釣られ、更なる魔獣を呼び寄せかねないからだ。
ナターシャ達は危険と判断した迫り来る魔獣達のみを眼前、もしくはすれ違いざまに倒しながら、村への道を急いだ。
「これ以上先はもう無理そうね」
ある程度森を進んだところで、ナターシャがそう判断を下す。
その理由は、森の奥は魔獣が数多く生息しており、馬に乗ったままでは突然現れた魔獣に咄嗟に対応できないからだ。
ナターシャの言葉を聞き、各々が馬から降りる準備を進める。
「ここからは歩きよ。荷物を持ちながらだから、この前とは勝手が違うわ。十分警戒なさい」
「「「「はい」」」」
ここから先は、馬に括っていた荷物を持って歩かなければならない。重い荷物を持ちながらでは、戦闘に支障が出ることは明白だ。だからこそ、出来る限り優位に立てるよう警戒をする必要があった。
このことを想定して荷物は必要最低限にしてある。だが、それでもかなりの量がある。何時までこの森に居なければならないか分からないからだ。
「馬は?」
「このまま離すわ。繋いでいたら、魔獣の餌よ」
どの道手放す予定だった訓練が済んでいない馬だ。
……あまり訓練されていなかったせいで、魔獣に怯えてしまった訳だが。
「それじゃあ行くわよ」
「行く宛ては?」
最もな意見だ。闇雲に森を歩けば、逆にこちらが危険に晒されかねない。
「まずは周辺の村に向かうわ。もしかしたらいる可能性があるし、いなかったなら誰か連絡要員として残ってもらうつもりよ」
ナターシャは森に入る前、つまり、準備段階で全員に魔導石版を渡していた。一般的な通信具では繋がらないからだ。
というのも、通信具は元々街中で使われるよう想定されて作られている。そのため森の中では通信が木々に邪魔され安定せず、オマケに魔力を持つ魔獣の存在で通信が掻き消されてしまうのだ。それ故にナターシャは全員に魔導石版を配っていた。
……ちなみに以前街の外にいるクーリアの通信が街中のサラに届いた理由は、付近に魔獣が何故かいなかったからであった。
(クーにも渡しておけば今頃…)
後悔先に立たず。だが、普通はこんな状況に陥るとは誰もが予想出来ないだろう。後悔する必要は無い。
「この魔導石版で村の様子は聞けないんですか?」
「現在村は結界を展開しているから、こちらからの通信は届かない。直接行くしかないわ」
中からならば問題はないのだが、外からは弾いてしまうのだ。
「急ぐわよ。付いてきて」
ナターシャが森の奥へと駆け出し、その後ろをサラ達がついて行く。無論警戒は怠らない。
「っ!《アイスアロー》!」
前方方向より近付く魔獣の気配を察知したリーフィアが、氷の矢を放つ。青白く輝く氷の矢は、近付いてきていた魔獣の眼球を正確に貫いた。
「いい判断よ!」
ナターシャが魔獣の横を通り抜けながらトドメを刺す。いちいち立ち止まってなど居られない。足を止めれば、待つのは死。それだけ敵の反応が膨大だった。
「出来る限り戦闘は避けて!」
戦闘の音に釣られ、更なる魔獣を呼び寄せかねないからだ。
ナターシャ達は危険と判断した迫り来る魔獣達のみを眼前、もしくはすれ違いざまに倒しながら、村への道を急いだ。
39
あなたにおすすめの小説
転生メイドは絆されない ~あの子は私が育てます!~
志波 連
ファンタジー
息子と一緒に事故に遭い、母子で異世界に転生してしまったさおり。
自分には前世の記憶があるのに、息子は全く覚えていなかった。
しかも、愛息子はヘブンズ王国の第二王子に転生しているのに、自分はその王子付きのメイドという格差。
身分差故に、自分の息子に敬語で話し、無理な要求にも笑顔で応える日々。
しかし、そのあまりの傍若無人さにお母ちゃんはブチ切れた!
第二王子に厳しい躾を始めた一介のメイドの噂は王家の人々の耳にも入る。
側近たちは不敬だと騒ぐが、国王と王妃、そして第一王子はその奮闘を見守る。
厳しくも愛情あふれるメイドの姿に、第一王子は恋をする。
後継者争いや、反王家貴族の暗躍などを乗り越え、元親子は国の在り方さえ変えていくのだった。
【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません
ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。
文化が違う? 慣れてます。
命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。
NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。
いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。
スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。
今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。
「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」
ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。
そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした
きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。
全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。
その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。
失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。
普段は地味子。でも本当は凄腕の聖女さん〜地味だから、という理由で聖女ギルドを追い出されてしまいました。私がいなくても大丈夫でしょうか?〜
神伊 咲児
ファンタジー
主人公、イルエマ・ジミィーナは16歳。
聖女ギルド【女神の光輝】に属している聖女だった。
イルエマは眼鏡をかけており、黒髪の冴えない見た目。
いわゆる地味子だ。
彼女の能力も地味だった。
使える魔法といえば、聖女なら誰でも使えるものばかり。回復と素材進化と解呪魔法の3つだけ。
唯一のユニークスキルは、ペンが無くても文字を書ける光魔字。
そんな能力も地味な彼女は、ギルド内では裏方作業の雑務をしていた。
ある日、ギルドマスターのキアーラより、地味だからという理由で解雇される。
しかし、彼女は目立たない実力者だった。
素材進化の魔法は独自で改良してパワーアップしており、通常の3倍の威力。
司祭でも見落とすような小さな呪いも見つけてしまう鋭い感覚。
難しい相談でも難なくこなす知識と教養。
全てにおいてハイクオリティ。最強の聖女だったのだ。
彼女は新しいギルドに参加して順風満帆。
彼女をクビにした聖女ギルドは落ちぶれていく。
地味な聖女が大活躍! 痛快ファンタジーストーリー。
全部で5万字。
カクヨムにも投稿しておりますが、アルファポリス用にタイトルも含めて改稿いたしました。
HOTランキング女性向け1位。
日間ファンタジーランキング1位。
日間完結ランキング1位。
応援してくれた、みなさんのおかげです。
ありがとうございます。とても嬉しいです!
アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~
eggy
ファンタジー
もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。
村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。
ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。
しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。
まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。
幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。
「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる