異世界転移は定員オーバーらしいです

家具屋ふふみに

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第2章

いざ、市場へ!【1】

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 目を開けると、元いた教会に戻ってきていた。

「ふぅぅー…」

 なんかすごい話ばっかりで、疲れちゃった…

「私って【神龍】だったんだね…」

 人間ではないかもって思ってたけど、まさか龍だとは思わなかった。まぁ今は龍と呼べるかすら怪しいらしいけど。

「あ、早くいかないと」

 教会の外でギルさんたちを待たせてしまっている。そこまで時間は経っていないだろうけど、できる限り待たせたくないしね。

 私は4神の石像に一礼すると、教会の出口へと向かった。

「あ!おかえり。お祈りできた?」

「はい!ばっちりと」

 神さまと会ってきました!とはさすがに言えないよね。

「よし。んなら市場いくか」

「はい!」

 教会に来た時と同じように、ギルさんの後をついていく。

「市場で何を買いたいの?」

「まずは食材とかですかね。あと調味料とか…」

「マリーナちゃん、料理できるの?」

「はい。できますよ」

「そういえば洞窟でも作ってたわね…」

 洞窟で作ったのはただのスープだけどね。あれよりいいものを作りたい。実の所、料理はかなり嗜んでいた。美味しい食事を作って、それで家族が笑顔になるのが大好きだったから。

「あとはマリーナちゃんの服かしら?」

「あ、そうでした」

 服は下着を含め、今着ている1着しかないから、あと5着くらいは欲しい。

「服ってどれくらいします?」

「うーん…いい所に仕立ててもらうなら、5000リシアくらいかしら?」

 ほうほう。金貨5枚か…って、それってこっちの世界の月収全額じゃん!?

「仕立ててもらうと、そこまでかかるんですか?」

「そうね、大体そのくらいするわ」

「じゃあ仕立て済みの服はありますか?」

「あるわよ。そっちだったら500リシアくらいね。でもほとんどが中古だし、子供用は少ないわね」

「そうですか…」

 ジリル草を売って得たお金は金貨300枚。余裕で買えるけど、いざってときにお金は残しといた方がいいと思うし、無駄遣いは出来ないよね。

「ほれ、着いたぞ」

 下を向いて考え事をしていたので、まったく気が付かなかった。顔を上げると、教会までの道のりにあったお店よりも遥かに沢山のお店が、所狭しと並んでいた。

「おぉー!」

「食材が欲しいんだったか?」

「あ、はい」

 危ない危ない。危うく目的を忘れるとこだった。

「ならこっちだな」

 そう言ってギルさんが案内したのは、見たことの無い野菜が並ぶ八百屋さんみたいなお店。商店街によく居そうなおじいさんが店主をしているらしい。

「いらっしゃい!お、ギルじゃねぇか。久しぶりだな」

「ああ」

「冒険の為の食材を買いに来たのか?」

「買いに来たのは俺たちじゃねぇがな」

「ん?じゃあ誰が買うんだ?」

 ギルさんが私のことを店主の人の前に突き出した。もうちょっと丁寧にしてもらいたいものだ…

「まさか、その嬢ちゃんかい?」

「ああ。ぼったくるなよ?」

「こっちは安さと安全を第一にしてるからな。そんなことはしねぇよ。さて、嬢ちゃんはなにが欲しいんだ?」

 そう言われてもこの世界の野菜とかほぼ知らないし。

「ひとまず見てみてもいいですか?」

「もちろんだ。じっくり見てってくれ。自慢の野菜たちだ」

 店の中に足を踏み入れる。そこには棚に所狭しと陳列された野菜があった。

「多いですね」

「おう。なんでも揃うぜ」

 片っ端から野菜を見ていく。まず手に取ったのはセロリのような野菜。じーっと見ると、説明文が表れた。これは私が持っている神眼というスキルの効果だ。鑑定とかとあまり変わらないけど、より詳しく見れるスグレモノ。セロリっぽい野菜の鑑定結果はこんな感じだった。

 名前:セリーヌ草
 よく取れる野菜。シャキシャキとした歯ごたえと、独特の匂いが特徴。その匂いを利用して防虫剤を作ることもある。匂いは好みが分かれる。

 〈補足〉
 地球のセロリとほぼ同じ野菜。こちらの方が大きめで、匂いがキツい。


 うん。見た目通りセロリでした。でも地球のセロリよりも断然デカい。今の私が小さいってのもあるだろうけど、それでもデカい。

「お、そいつは今が旬だが…食べれるか?」

 店主の人が心配するのも無理はない。匂いが地球のものよりもかなり強力なのだ。それに私はもともとセロリは好きではない。なのでこれは買わない。

「食べれないことないですけど…今回はいいです」

「そうかい。ゆっくりみてくれや」

 人参…こっちではキャロと呼ばれてるけど、売ってたので、これは買い。

「あ、これナスっぽい」

 名前:ナス

 まんまじゃん!!でも色が黄緑色だから、まだ青いナスにしか見えない。しっかりと育ってるらしいけど。これも買い。

「これは…トマト?」

 名前:トーメ
 野菜なのか果物なのかの線引きがハッキリしていない野菜。味は甘く、皮ごと食べられる。

 〈補足〉
 地球のトマトより酸っぱめです。

 …うん、地球でもそんな論争あったね…こっちもなんだ。色はオレンジっぽい。

「お、これはとうもろこし?」

 名前:キュパリーズ

 どうしたその名前?!

 表面の葉を剥くと実が現れる。トーメのように甘いが、こちらの方が甘い。野菜か果物かは分からない。キュパリーズとは、昔の国の言葉で、つぶつぶという意味。

 あー、なるほど。だからこんな名前なのね。色も形もまんまとうもろこしだった。

「お、バジルまである」

 八百屋さんってバジル売ってたっけ?まぁいっか。これも買い。マルゲリータピッツァでも焼いてみようかな?あ、チーズとかないわ。後で探してみよっと。

「おじさん、これら、あるだけ全部下さい」

「あ、あるだけ!?」

「だめですか?」

「だめじゃねぇが…払えるのか?それに持てるか?」

「大丈夫です。お金はありますし、収納魔法も使えるので」

「そ、そうか…なら全部で4360リシアだが、4000にまけてやるよ」

「ありがとうございます!カードで払えますか?」

「ああ。じゃあこれにカードを当ててくれ」

 そう言っておじさんが出てきたのは握りこぶしくらいの平べったい水晶だった。
 それにカードを当てると、すこし水晶が光った。カードに魔力を流すと【146000】と出たので、これで支払いができたらしい。

「うし。これで支払いは完了だ。商品はこれだが…入るのか?」

「大丈夫です」

 私は買った野菜類を、全て無限収納庫インベントリに収納した。

「すげぇな…また来てくれや」

「はい!ありがとうございました!」

 そう言って私は店を後にした。







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