そうなんです!僕が化け物です!!

あいいろの布団

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独立国家郡ペラルゴン

第3話 化け物の日常

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こんな仕事をしていると当たり前だが恨みを買うのも事実
特に十万の軍勢を殺されたダンズビート帝国の方々からはありがたい書面やお・も・て・な・しを頂いている
開いたら爆発する手紙とかよくそんなもん作るよな
まさか他国を偽り交渉の席に着くとは思ってもみなかった
ペラルゴンに住み着く前の最後の仕事の交渉のときがそうだった


小競り合いを起こしている小国を名乗り、更には何故か本物の国の代表ということを示す書簡や証書を持っていた
席に着くなり腰に巻いたペラッペラの剣を一直線に僕の首に振るってきた
残念ながら僕の首に当たっているがそれによって傷がつくことはなかった
硬いわけじゃない
確かに刃は首の皮膚に当たりくい込んでいる
だが切れない
そんな謎の感覚に暗殺者は戸惑う


「残念、その程度じゃ僕の首は絶望的だよ
にしてもよくこんな揃えたもんだねぇ
えぇ……この印本物じゃん…
モノホンの金使ってるやん……」
こいつらが扮したクリスタ・ラロルド公国は小国だが金鉱山や銀鉱山を多数保有する豊国だ
金銀を含む鉱石が輸出の大半を占めている
そしてこの金をインクに混ぜた特別な印は公国の証なのだ
普通インクに金を混ぜただけではここまで煌めくインクを作れないためこれの製法は完全秘匿されている
それをどうやって手に入れたのやら


さてどうしようかと思っていたらみんな毒をあおって死んでしまった
死ぬのはいいが交渉場所は僕が借りてるんだからここで死ぬのはよして欲しい
完全に燃やすにしても水が八割の人間が簡単に燃えるはずもなく死体処理は結構苦労するのだ
温度のゴリ押しで文字通り消し炭にすることもできるがあれはかなり臭いが残る
それに先程も言った通りここは借りている場所
こんなところに死臭をばらまくことも臓物を撒き散らすこともよろしくない
しょうがないので今も賠償金や借金の返済に苦しむダンズビートまで赴いてそのまま捨ててきた




クリストフ家が統治するこのマニュエル地区の討伐ギルド
この国の討伐ギルドは少々他の討伐ギルドとは相違点がある
それはこの国にいる討伐ギルド員のランクの差が大きいことだ
その最たる理由はこの地区の迷宮に、そして都市の外部に現れる魔物のレベルがほかとは段違いなのだ
原因は分からないがかつてここに存在した六つの小国が国力が少ないがあまり他国に攻めいられなかったのはこの天然の要塞のおかげである
軍が通るにはあまりに狭い、しかし森を抜けるのは危険すぎる
統治者が変わってから高ランクの討伐ギルド員による安全を買うようになったため今では皆安心して街道を通過することができる
そのためこの地区で討伐ギルドで仕事を得るにはそれなりの実力が必要なのだ
しかもここに住むのは皆金持ち、金払いがいい
安全を買う価値をしっかり理解している連中だ
だがここは都市
ただ魔物を狩るだけの者だけで成り立つわけが無い
薬草採取や地下水、下水道の調査、貧民街の死体処理など高ランクがやりたがらない仕事も多い
だがやらなくてはならない
死体なんて放置していたらそれこそ感染症のリスクが高まる
いくら温暖湿潤でも当然冬はある程度寒い
そのため毎年死者は絶えない
故にS~A、D~Fランクの者が多くなるというわけだ
中堅ランクはこのような雑事から脱したくて必死にランクを上げてきた者たちだ
好んでこんなしごとをするはずもない
少々歪つだがこの構成が一番死亡率が低いのだ
高ランクの者たちもかつては下位ランクだったため、邪険にする者はいるが多くはない
ただ歳を重ねた低ランクはプライドのためかはたまた居心地が悪いからかここを出ていく者は多い
そのため低ランク層の平均年齢は低く、その多くが貧民街、スラムの出身だ
だが統治者の意向により一定以下の料金で運営をする宿や食堂には多少なりともクリストフ家から金が出る
そのためある程度稼げるようになるとスラムを抜け出し安宿生活になる
そうなると単純に治安改善につながるのだ
たまに高ランク冒険者が調査に来るためものすごく酷いことにはならないらしい


ある日このマニュエル地区の討伐ギルドに所属変更のため赴いたヴァルドという青年がいた
若くして才能溢れる偉丈夫は17歳という身体の全盛を迎える前にAランクに昇格し、このマニュエルの地に赴いた
故郷に病弱な母を持つ身としてこの地で大金を稼ぎ母に楽をしてもらいたいというただ一つの目的のためだ


討伐ギルドへ入りふと横に目をやるとギルド内の食堂で一人の少年がカウンター席のど真ん中で本を読んでいた
どこのギルドでもカウンター席の真ん中はその場で一番強い者が座るという暗黙の了解というか風習があった
簡素な服から覗かせる細い手足はどうみても十代前半から半ばにしか見えない


「シズキ君ですか?」
ずっと視線を向けていたためか受付嬢に話しかけられた


「ん?あぁ彼シズキっていうのか
今日ここに来たから知らないんだけど、彼って強いの?
俺にはどう見ても子供にしか見えないんだけど」


「みなさん最初はそう言うんです
しかも彼パーティーを組んでいませんもの」


「え?ソロでここで一番強いってこと?
パーティーを推奨してるここで?」


「強さにも様々な種類がありますが、そうですね
シズキ君を一言で言うなら
………
“暴力の化身”ですかね」





「は?」
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