キミが存在しないラブコメ 〜病弱な僕が世界を変える唯一の方法〜

三浦るぴん

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第41話

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  *

「あれ、ここは……?」

「気がついた?」

「神憑先輩……と、いうことは……」

「萌瑠……キミの負けだよ」

「負け……?」

「そう、負け」

 僕は萌瑠に質問する。

「どうして友代が《影》だと思ったの?」

「《影》でしょうに……その女の子は現実世界の存在じゃない。あたしたちの目で見えるから、つまり……《影》なのです」

「でも、彼女に敵意は感じられない……だから僕は彼女の味方になろうと思った」

「たとえ、その子が《影》だとしても、ですか?」

「うん、敵意が感じられない《影》は僕たちの敵ではないと思いたいね」

「尼城さんが、それを知ったら、どう思いますかね……もはや《第二の組織》にすら、いれなくなりますよ」

「なら、僕は《第三の組織》を作るね」

「そんな、簡単にできるものじゃないのに!」

「でも、僕は、やる。この《想形空間イマジナリースペース》だっけ? これは、もう僕にも作れるから」

「もう作れるのですか!?」

「だって、能力者になったんだから」

「……それで、どうするつもりなのですか?」

「僕には《第二の組織》と敵対する意志がない。つまり、僕は僕で行動させてもらう」

「《第二の組織》から刺客が送られてきますよ。もう、もとのような日常に戻ることはできませんよ」

「それでも彼女を、心野友代を守りたいと思ったんだ。それに彼女からは真海奈を感じるんだ。あの海岸で出会ったのが運命だったんだ」

「その子が真海奈さんの仇であるという可能性はあると思いますがね……」

「いや、だったら僕を襲っていてもおかしくないだろ? まだ彼女は《影》であると断言できないはず……」

「いえ、《影》は人を殺したとき、その人の情報をコピーする。もしかしたら神憑先輩が、その子に真海奈さんを感じてしまうのは、おそらく……」

「なにが言いたい?」

「なんでもないです。あたしたちと敵対するのであれば、もう、あたしとも恋人になることもないのですが、それでいいのですか?」

「それでいいもなにも、その気なんて、もともとなかっただろうに」

「どうでしょうかね……残念です」

 彼女は目に涙を浮かべながら。

「さよなら」

 ……と、言って屋上から消えた。

「…………これで、よかった、の、ですか?」

「うん、これで、よかったんだ」

「あたしをかばうことなんて、しなくても、よかったのに…………」

「キミを守りたいって思った。それだけだ」

「あたしは幽霊…………なので、すでに、この世にいない存在。無に近い状態から、無になるだけだったのに…………」

「これからキミを守るための試練が待ち構えているだろう……だけど、絶対に守ってみせるさ」

 まだ、この世界での物語は始まったばかりだから、とにかく、やっていくしかないんだ。
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