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第44話
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妄想の波が、おかしい具合に激しく変化している。
波という感覚は脳に流れる感覚として気分の高揚だったり、気分の消沈だったり、とにかく、まとまりのない感情が脳にあるニューロンだったり、シナプスだったりを、ひとつひとつを悪いほうへ導いていく感覚だ。
行き場のない感情をどう吐き出したらいいのか、わからない。
今、薬を飲んでいないことが原因なのだとしたら、それは早く薬を飲むべきだ、と僕の家族は言うだろう。
両親と、たったひとりの妹にさえ薬を飲んでいないことを言っていない。
だが、《影》と戦うためには、薬を抜く必要があると《第二の組織》の人たちは言っていた。
《妄想具現症》こそが世界の真実を映し出す、なんて言っている声も《第二の組織》中枢部で言っている人の声が聞こえた。
しかし、これから《第二の組織》の刺客が来るというのだから、いつでも能力を発動できるように準備しておかなくてはならない。
そのための準備を《第三の組織》で考えなくてはいけない。
《第三の組織》のメンバーは僕と友代のふたりだけ……人数を増やす当てなんてない。
僕にできることは《習合》という能力をうまく活用することだ。
《習合》――様々な宗教の神々や教義などの一部が混同ないしは同一視される現象のこと――という能力らしいが、それをどう解釈するかは能力者である僕次第なのかもしれない。
つまり、願えば、神にだって、仏にだって、なれる……?
そう解釈してしまっていいのだろうか?
――《第三の組織》中枢部より《影》の気配を探知しました。
……という音声が脳内に流れる。
「想形門!」
瞬時に転移する。
目の前に熊のような獣の《影》が現れる。
「この大きさなら、試してもいいんじゃないか?」
《習合》能力発動。
「ヒルコ」
その名を叫んでみると熊の《影》を吸収していく。
ヒルコは神格を吸収できる神である。
『古事記』や『日本書紀』では、あまり名の知れた神として書かれていなかった。
だが、そのあとの話としてエビスと習合し、ひとつの神になったと言われている。
そういう意味で神格吸収はヒルコの能力であると言える。
熊の《影》を吸収し、ひとつの存在となるが、熊としての情報が頭のなかに入るだけで、人間の情報として咀嚼ができない。
「結局、倒したとしても獣レベルじゃ、なにもわかりはしないか……」
ほかの《影》にも試してみたが、めぼしい情報は吸収できなかった。
だから、もう夜になったので、とりあえず今日の活動は、やめておこう……。
そんな感じで一日を終えた。
*
月子と一緒に登校するようになって、そんなに時間は経っていないのだが、未だに慣れないことは確かだ。
だけど、そんな日々は、もうすぐ終わろうとしていた。
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