キミが存在しないラブコメ 〜病弱な僕が世界を変える唯一の方法〜

三浦るぴん

文字の大きさ
44 / 75

第44話

しおりを挟む

  *

 妄想の波が、おかしい具合に激しく変化している。

 波という感覚は脳に流れる感覚として気分の高揚だったり、気分の消沈だったり、とにかく、まとまりのない感情が脳にあるニューロンだったり、シナプスだったりを、ひとつひとつを悪いほうへ導いていく感覚だ。

 行き場のない感情をどう吐き出したらいいのか、わからない。

 今、薬を飲んでいないことが原因なのだとしたら、それは早く薬を飲むべきだ、と僕の家族は言うだろう。

 両親と、たったひとりの妹にさえ薬を飲んでいないことを言っていない。

 だが、《影》と戦うためには、薬を抜く必要があると《第二の組織》の人たちは言っていた。

《妄想具現症》こそが世界の真実を映し出す、なんて言っている声も《第二の組織》中枢部で言っている人の声が聞こえた。

 しかし、これから《第二の組織》の刺客が来るというのだから、いつでも能力を発動できるように準備しておかなくてはならない。

 そのための準備を《第三の組織》で考えなくてはいけない。

《第三の組織》のメンバーは僕と友代のふたりだけ……人数を増やす当てなんてない。

 僕にできることは《習合》という能力をうまく活用することだ。

習合しゅうごう》――様々な宗教の神々や教義などの一部が混同ないしは同一視される現象のこと――という能力らしいが、それをどう解釈するかは能力者である僕次第なのかもしれない。

 つまり、願えば、神にだって、仏にだって、なれる……?

 そう解釈してしまっていいのだろうか?

 ――《第三の組織》中枢部より《影》の気配を探知しました。

 ……という音声が脳内に流れる。

想形門イマジナリーゲート!」

 瞬時に転移する。

 目の前に熊のような獣の《影》が現れる。

「この大きさなら、試してもいいんじゃないか?」

《習合》能力発動。

「ヒルコ」

 その名を叫んでみると熊の《影》を吸収していく。

 ヒルコは神格を吸収できる神である。

『古事記』や『日本書紀』では、あまり名の知れた神として書かれていなかった。

 だが、そのあとの話としてエビスと習合し、ひとつの神になったと言われている。

 そういう意味で神格吸収はヒルコの能力であると言える。

 熊の《影》を吸収し、ひとつの存在となるが、熊としての情報が頭のなかに入るだけで、人間の情報として咀嚼ができない。

「結局、倒したとしても獣レベルじゃ、なにもわかりはしないか……」

 ほかの《影》にも試してみたが、めぼしい情報は吸収できなかった。

 だから、もう夜になったので、とりあえず今日の活動は、やめておこう……。

 そんな感じで一日を終えた。

  *

 月子と一緒に登校するようになって、そんなに時間は経っていないのだが、いまだに慣れないことは確かだ。

 だけど、そんな日々は、もうすぐ終わろうとしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません

竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──

クラスで1番の美少女のことが好きなのに、なぜかクラスで3番目に可愛い子に絡まれる

グミ食べたい
青春
高校一年生の高居宙は、クラスで一番の美少女・一ノ瀬雫に一目惚れし、片想い中。 彼女と仲良くなりたい一心で高校生活を送っていた……はずだった。 だが、なぜか隣の席の女子、三間坂雪が頻繁に絡んでくる。 容姿は良いが、距離感が近く、からかってくる厄介な存在――のはずだった。 「一ノ瀬さんのこと、好きなんでしょ? 手伝ってあげる」 そう言って始まったのは、恋の応援か、それとも別の何かか。 これは、一ノ瀬雫への恋をきっかけに始まる、 高居宙と三間坂雪の、少し騒がしくて少し甘い学園ラブコメディ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...