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第55話
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「ヴィジョン・マインディング……ですか」
「綿里未雪の存在を消した、なにかだ。知っていることはないか?」
「いえ……あたしが知る限り、あの空間での出来事でしか存在を確認できませんでした」
「そうか。じゃあ、話はそれるが、なんで綿里未雪が《第二の組織》に所属しているんだ?」
「彼女は彼女で伝播町周辺のことを調べていたみたいですよ。彼女が自ら動いて、この伝播高校に来たということですね。そういえば、神憑先輩と綿里さんって小学校の同級生だったそうですね。お気持ちをお察しします」
「どうして彼女を第一の刺客にしたんだよ」
「それは尼城さんに聞いてみるしかないですね……まさか強力な《影》……なのかはわかりませんが、そのヴィジョン・マインディングによって存在を消滅させられた、ということを予測するのは不可能ですよ」
「そう、だけど、そう、かも、しれないけど……」
「それに彼女は超能力者になった瞬間から覚悟はできていたと思いますよ」
「どうして、なにも《影》の気配がないN県から《影》のいるI県まで来なきゃいけなかったんだよ……どうして、どうして……」
自然と涙が出る。止まらない。
「泣いていたって、時間は止まってくれませんよ」
「好きだったんだよお……」
「恋が多い少年ですね」
彼女は……萌瑠は手を差し伸べる。
「ですが、泣くのは、ここまでにして……着いてきてください。協力しようじゃありませんか。なにより戦力が多いほど、こちらが有利になります。門を開きます」
「第二の刺客は、もう出さないでくれよ」
「それは尼城さんと和解したとき、ですね……」
「そうなるように説得してみせるよ。友代のことを受け入れてもらうために」
「わかりましたよ。――想形門!」
《第二の組織》へ転移するための門が目の前に開かれる。
「どうなるかはわかりませんが、覚悟を決めてください。そこにいる矢林先輩は、もう味方なんですよね?」
「は、はい」
「なら、ついてきてください」
「わ、わかりました」
「じゃあ、行こう」
門をくぐって、転移していく。
覚悟は、できているはずだから……話すしかない。
*
《第二の組織》の中枢部に転移した。
「ここが《機関》の……」
「そうですよ、矢林先輩。ここが本来の《機関》の中枢部……《第三の組織》との違いは感じますか?」
「いや、なんていうか、まったく同じだなって……」
「はあ、さては神憑先輩、丸パクリしましたね」
「同じような空間にしないとイメージしづらくてだね……」
「まあ、そんなことは、どうでもいいとして尼城さんの部屋に行きますよ。いいですね?」
「うん……友代、わかるか」
「はい…………なんとか」
「まあ、友代さんという存在が今日まで神憑先輩を含む周囲の人物に被害を出していないのは事実ですからね。尼城さんが、どういう判断を下すかはわかりませんが」
「とにかく、行って確かめるしかないな」
僕は、覚悟を決めて、尼城さんの部屋をノックする。
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