キミが存在しないラブコメ 〜病弱な僕が世界を変える唯一の方法〜

三浦るぴん

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第71話

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  *

 真の敵――それは、本当だったら存在しない仮想の敵であり、僕が見た未来の可能性によるライバルである。

 妄想の力を高めていく。

 このままだと桜舞は、この世界から消えてしまう。

 かつて妄想で出会ったキャラクターたちとも永遠の別れが訪れる可能性だってある。

 そうなってしまったら僕は今までより孤独な人生を歩むことになるかもしれない。

「桜舞、一緒に唱えよう」

「そうですね。そうしなければ、この現実の世界から脱出できないですもんね」

「そうだ。現実の世界から脱出しなければ、あの子たちと……あの人たちと一生、会えなくなってしまうから」

「はい、一緒に唱えましょう」

 息を合わせる。

『《想形門《イマジナリーゲート》》! 《想形空間《イマジナリースペース》》!』

 門が開き、その奥には空間がある。

「そこに敵はいる。行こう」

「はい」

「僕に吸収されたヴィジョンと友代も出てきてくれ」

「私の力を使うのですね」

「…………あたしにできることがあるのなら…………お手伝いいたします」

「じゃあ、改めて…………行こうか」

『了解!』

  *

想形空間イマジナリーゲート》を通ると、もう敵はいた。

「やあやあ、俺の名前は――」

夜行やこう喪樹もときだろ?」

「なんだ、知っているのか」

「そういうキャラクターが僕のなかにいることを僕は知っている」

 異空間で仮想の敵である夜行喪樹は灰色の髪をした僕よりスラッとした体型をしているイケメンの男子であった。

「キミの正体を僕は知っている」

「俺の正体か……言ってみろ。当たったら褒めてやる」

「僕のなかにあるアハシマという神だろ?」

「……なるほど。もう、そこまで妄想を掌握できるようになったか」

「そりゃそうだろ……だって僕の妄想なんだから」

「へえ、もしかしたら寛解が近いのかもな」

「そうだったら、いいんだけどな。だけど、こうやって妄想が具現化された世界にいると治らない可能性のほうが高いな」

「キミの言う《妄想具現症》は完治しない病気だからねえ」

 それで、と夜行喪樹は話を切り出す。

「俺の正体に気づいている名も無き太陽神の生まれ変わり……という設定の神憑武尊は、この世界で、なにをしたいんだ?」

「キミを倒す。アハシマであるキミを」

「キミも俺も不具の子だったからね。なにか倒さなきゃいけない思いでもあるのかい?」

「キミがつくる《影の世界》をなくすためには《影の王》であるアハシマのキミを倒さなきゃいけない。そうしなければ、《影》は邪悪なままだ」

「もともと妄想の世界でしかないのにね」

「でも、僕が《影の王》であるキミを倒さないと、僕のなかにある妄想は止まらない。だから、決着をつけに来た」

「わかったよ。キミが望む世界のために戦おうじゃないか」

「なら、やろうか……」

 僕たちは唱える。

現実顕現リアルリビール
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