【社会人BL】俺は雌イキしかできんのに彼氏が妊娠を恐れている…!?【トンデモR18】

春Q

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6.店長に詰められる

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「休みの日を変えたい?」

「はぁ……」

 閉店後の締め作業は基本的に一人でやっている。レジも一台しかないし。

 しっかり金を数えて金庫に預けたら、あとはざっと掃除するだけだ。

 本部への売上報告は、バックヤードでずっとパソコンを使っていた店長がやってくれた。

 小野は夕方の混む時間帯より先に帰らせて、バックヤードには俺と店長しかいない。

 店長は『帰る寸前になるまでタイムカードは切るな』というホワイト思想を『守れないヤツはシメる』と、薙刀みたいに振りかざす素敵な人柄をしているので、今この瞬間にも俺の時給はまだ発生している。

 いや、いい話風に聞こえるが定時で上がれなければそれはそれでシメられる。

 要領よくがんばる以外には逃げ場のない、過酷な職場なのだ。

「卯月の休みっていつだっけ」

 店長が棚に置かれたシフト表を手に取る。

「金曜午後休と土曜全休は固定でもらってて、あと店長にお任せしてます」

「あー、そうだそうだ」

 ほぼ倉庫と化しているバックヤードは狭い。

 パソコン机のほかに、四人くらい座れそうな休憩用のテーブルもあるのだが、商品在庫の入った段ボールで埋まっている。後はドアのある壁以外、すべて棚。

 その窮屈なスペースで、店長はパイプ椅子、俺は丸椅子に座って話をしている。

 正面から向き合うと、戦国武将じみた圧がすごい。

「何。彼氏と別れた?」

 仕事に関係ないことは何も聞いてこないが、仕事に関係あると思えばなんでも聞いてくる人でもあった。

 が、事情を知られているのを意識すると、恥ずかしいは恥ずかしい。

 毎週金曜の夜に恋人がお泊りに来るから、休み調整してくださいって話をずっと通している、いい年の男ってイタくないか。

「……いや、別れてはないです」

 事実だ。ちょっと頭が落ち着くまで、会う頻度を減らした方がいいと思っただけで。

 彰永には仕事が忙しくてシフト変更があると伝えてある。既読はまだついていない。

 別に待つ必要もないだろう。どうせ嘘だし。

 目を伏せて答えた俺に、店長は「ふうん」とどうでもよさそうに言った。

 実際、仕事で聞いているだけだ。特に興味もないのだろう。

「まあ、シフト的には宮古次第って感じだな」

「ですよね……」

 宮古は俺の同期だ。

 年齢こそ俺より一つ下だが、イギリス本店に出張したこともある有能な女。

 俺はなぜか同期ってだけで同じくらい仕事ができることになっているので、人員バランス的に、まずシフトは被らない。

 つまり俺が休みを変えたいと言えば自動的に宮古の休みも変わってしまうわけだ。

「やっぱ無理ですかね」

「宮古次第」

 店長は同じことを二度言わせるなとばかりに短く答えた。メモ帳にペンを構える。

「で? いつ休みたいの」

「……いや、いつっていうか、週末に出たいかなってだけです」

「ふうん。日曜も出たいの?」

「そうですね、可能だったらぜひ……」

 あれ。これは彼氏と何かあったって吐いてるようなもんでは、と俺は気づいた。

 店長は俺の彼氏クンが土日休みって知ってるし。

 目の泳いだ俺の注意を引き戻すかのように、店長はカチッと音を立ててボールペンの芯をしまった。

 単に目つきが悪いだけなのかもしれないが、黙って睨みあげられると、急に飛び掛かって来られそうな気がする。

 俺は体をかばうように両手を前に出した。

「いや、あの、休みたいってより、もっと働きたいというか」

「なるほどね」

「は、はい」

「いつまでに、いくら稼ぎたい?」

「……すみません。そういうことでもなくて」

「何?」

「その……あまり家に一人でいたくないので」

 これはマジで本音だが、言い方を間違えた気がする。

 店長は椅子を軋ませて、パソコンデスクに頬杖をついた。

 特に何も言わないが、その人食い沼じみた目で観察されているのはわかる。

 言い当てた。

「彼氏と揉めたわけだ」

「いや、あの」

「原因は向こうだろ」

「ちょっと、え、勘弁してくださいよ……」

「卯月はすぐ人の機嫌をとろうとするからね」

 揉めるとしたら彼氏が頑固なせい、などと敏腕占い師さながらに言い当てられ、俺は顔から火が出そうだった。

 質問を重ねながら客の事情を引き出す。

 接客と同じだとわかるから嫌だ。

 もう何聞かれても答えねえぞ、という思いを込めて俺は両手で口を押さえる。
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