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Ⅳ
3.LOVE HO
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田舎は娯楽がないので、パチンコ屋とラブホが至る所にある。家まで来ればタダで済むと言ったら、運転席で彰永はプンプン怒った。
「俺が、お金を出すのを渋って、卯月んちに毎週毎週行ってたと思うの」
いや、そりゃそうだろ。毎週毎週ラブホに行ってたら破産するじゃないか。
あんなオンボロで、立地が最悪な家でヤる理由なんて、人がいなくて汚し放題だからだ。
と少なくとも俺は思うのだが、通ってくる側である彰永の意見は違ったらしい。
「そこに卯月がいるからだよ」
いや登山家か。ちょっと面白くてついついふざけてしまう。
「じゃ、その辺の草むらでヤる?」
「しないっ」
珍しく気が立っている。珍しいといえば、片手ハンドルしているところも初めて見た。いつも教習マニュアルのお手本みたいに両手を二時と十時の角度から離さないヤツなのだ。
左手を俺の手の甲に重ねていた。
「……どこでもいいなら仏間でもいいだろ」
「じゃあ、ここから近いし、俺の家にトンボ返りしたっていいよね。家族もねこちゃんズもいるから何があったって助けてくれるよ」
「お、おい、ふざけんな」
運転しているのは彰永だ。ぞっとして手を離すと、彰永はちゃんとハンドルを握った。
「ふざけてんのは卯月だよ」
それはそうだ。なんか緊張してしまって、変なことばかり言ってしまう。彰永も手汗をかいていた。変。散々セックスしてきたのに。
近くで、知り合いがいなさそうなところがいいと言って、川沿いに来た。
公園近くの土手道を走る。
脇には民家が軒を連ねているのが見下ろせた。洗濯物と野菜が同じものみたいに吊るして干されているのが、いかにも田舎だ。
外飼いの犬にとっては今日はちょっと暑いのかもしれん。土に腹這いになって口を大きく開いていた。
見てるだけであくびが出てくる。
ゴルフ練習場のグリーンネットと、従兄弟くらいの距離感で建っているのが、目当てのラブホテルだ。古いし、いかにも人気がなさそうに見える。地下の駐車場に入った。
「…………彰永ちゃん」
「うん……」
無人受付前のパネルで、部屋を選ぶまではえー何これ何これって感じで、テンションを保っていられた。
ただ、部屋に入ってみるとなんか、普通のビジネスホテルって感じで、風呂場はガラス張りだし、ローションもコンドームも置いてあるし、妙にもじもじしてしまう。
これが大人のヤり部屋なのだ。
卒業してからも学生ノリをひきずっている俺たちとしては照れざるを得ない。
「あ、泡風呂とか入れちまうか。う、うわー、なんか海外の富豪みたいだな、わー」
焦って風呂場に逃げ込もうとする俺の手を彰永は捕まえた。ベッドまで連行される。
カバーがやけにつるつるした、ベッド。
座ってみると広いのがわかった。
「よ、よかったね、彰永ちゃん。仏間の布団からおまえ、たまに落ちてたもんね」
「卯月」
わかってるよ、そう真面目な声を出すな。
「する、しない。どっち?」
「…………する」
目を閉じて声を上げると、なんかいかにも無理してる風になってしまう。
仕方ないだろ、なんかラブホのベッドとか、俺にはちょっと上等すぎるんだ。
いつものようにメシとか風呂とか用意したわけでもなし、彰永を満足させられるのか、まったく自信がない。金だって勿体ないだろ。抱いてくれとか抜かしといて、気持ちよくさせられらなかったらダサすぎる。
しゃちほこばっている俺の口を、彰永は、人差し指で上下に撫でた。
言わなくても、何をしたいかわかる。
俺は目を開けて、先に許した。
「……キスしていいよ、彰永」
「俺が、お金を出すのを渋って、卯月んちに毎週毎週行ってたと思うの」
いや、そりゃそうだろ。毎週毎週ラブホに行ってたら破産するじゃないか。
あんなオンボロで、立地が最悪な家でヤる理由なんて、人がいなくて汚し放題だからだ。
と少なくとも俺は思うのだが、通ってくる側である彰永の意見は違ったらしい。
「そこに卯月がいるからだよ」
いや登山家か。ちょっと面白くてついついふざけてしまう。
「じゃ、その辺の草むらでヤる?」
「しないっ」
珍しく気が立っている。珍しいといえば、片手ハンドルしているところも初めて見た。いつも教習マニュアルのお手本みたいに両手を二時と十時の角度から離さないヤツなのだ。
左手を俺の手の甲に重ねていた。
「……どこでもいいなら仏間でもいいだろ」
「じゃあ、ここから近いし、俺の家にトンボ返りしたっていいよね。家族もねこちゃんズもいるから何があったって助けてくれるよ」
「お、おい、ふざけんな」
運転しているのは彰永だ。ぞっとして手を離すと、彰永はちゃんとハンドルを握った。
「ふざけてんのは卯月だよ」
それはそうだ。なんか緊張してしまって、変なことばかり言ってしまう。彰永も手汗をかいていた。変。散々セックスしてきたのに。
近くで、知り合いがいなさそうなところがいいと言って、川沿いに来た。
公園近くの土手道を走る。
脇には民家が軒を連ねているのが見下ろせた。洗濯物と野菜が同じものみたいに吊るして干されているのが、いかにも田舎だ。
外飼いの犬にとっては今日はちょっと暑いのかもしれん。土に腹這いになって口を大きく開いていた。
見てるだけであくびが出てくる。
ゴルフ練習場のグリーンネットと、従兄弟くらいの距離感で建っているのが、目当てのラブホテルだ。古いし、いかにも人気がなさそうに見える。地下の駐車場に入った。
「…………彰永ちゃん」
「うん……」
無人受付前のパネルで、部屋を選ぶまではえー何これ何これって感じで、テンションを保っていられた。
ただ、部屋に入ってみるとなんか、普通のビジネスホテルって感じで、風呂場はガラス張りだし、ローションもコンドームも置いてあるし、妙にもじもじしてしまう。
これが大人のヤり部屋なのだ。
卒業してからも学生ノリをひきずっている俺たちとしては照れざるを得ない。
「あ、泡風呂とか入れちまうか。う、うわー、なんか海外の富豪みたいだな、わー」
焦って風呂場に逃げ込もうとする俺の手を彰永は捕まえた。ベッドまで連行される。
カバーがやけにつるつるした、ベッド。
座ってみると広いのがわかった。
「よ、よかったね、彰永ちゃん。仏間の布団からおまえ、たまに落ちてたもんね」
「卯月」
わかってるよ、そう真面目な声を出すな。
「する、しない。どっち?」
「…………する」
目を閉じて声を上げると、なんかいかにも無理してる風になってしまう。
仕方ないだろ、なんかラブホのベッドとか、俺にはちょっと上等すぎるんだ。
いつものようにメシとか風呂とか用意したわけでもなし、彰永を満足させられるのか、まったく自信がない。金だって勿体ないだろ。抱いてくれとか抜かしといて、気持ちよくさせられらなかったらダサすぎる。
しゃちほこばっている俺の口を、彰永は、人差し指で上下に撫でた。
言わなくても、何をしたいかわかる。
俺は目を開けて、先に許した。
「……キスしていいよ、彰永」
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