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王妃様とお買い物

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王妃様に鍵を渡したらヘルさんが

「あの、宜しければ今から行きましょうか?これから住むにしても場所を知っておかなければ迷いますし、家具を買い揃えるのなら一回家を見てからの方が良いと思いますがいかがいたします?」

ヘルさんの言葉に今私はあっとした。
今から家具を買いに行っても家に会う物かどうか分からなくなる。
成る程。

「あの、此処から遠いんですよね?見ておきたいですけど遠いのならまた今度にしようかと思ったんですけど…」

ヘルさんに困り顔で言ったら
横から王妃様が

「あら、だったら転移を使えばいいじゃない?ヘル、貴方それくらい簡単に出来るでしょう?
大丈夫。この場にいる者は誰も口外しないわよ。私の名に誓ってね。」

ヘルは最初困り顔だったが、王妃様が名に誓ってと言ったら驚きながら

「分かりました。そこまで言うのでしたら使いましょう。
では、私についてきて下さい。
美久様に簡単に説明しますと、私は転移魔法が使える変わった者なのです。この事を知っているのは極僅かです。なので、この事はどうかご内密に。」

「分かりました。ここだけの秘密ですね。」

「では、私の手に自分の手のひらを重ねて下さい。決して離さないでくださいね。一緒に転移できなくなり、変な所に転移してしまうので。
では、これから家に転移します。」

ヘルさんはそう言うと、何か呪文を言った。その瞬間足元が光り始め、一瞬眩しく光り、直ぐに光は消えた。
そして、

「はい、皆さん、着きましたよ。もう、手を離して構いません。」

ヘルさんの言葉に手を離し、辺りを見渡したらさっき居た部屋ではなく、外に立っていた。
驚いて見渡していたら大きな建物が見えた。

「あの、あそこに見える建物が家ですか?」

私の質問に

「はい、そうですよ。では、近くに行きましょう。足元に気をつけてください。」

ヘルさんの後に続いて歩いていると、見えていた建物が目の前にあった。
その大きさにちょっとびっくりした。
だって想像していたよりも大きくて、口が開いたままになった。

「此方が今回美久様が購入した屋敷になります。此方の鍵穴に先程渡した鍵を刺し、開けてください。」

そう言われ、渡された鍵を取り出し、鍵穴に刺し、回した。
カチッと音がし、ドアノブを回したらギギギと音をさせながら開いた。
中を見たら

「わーーーーー!ひろーーーーーい!!!」
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