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「サフィラ、サフィラ、着いたよ。」
ぼんやりしていたのでしょう。馬車の中で座った私を覗き込むジルベール様のお顔が見えましたが、私はそのまま固まって動かずにおりました。
「かわいそうに、今日のことが本当にショックだったんだな。
それにしてもあの男…
失礼、君の婚約者の男性は、ひどく不愉快な人物だな。
なぜ君が彼と婚約しないといけなかったのか全くわからないよ。」
ジルベール様は、私の両親に、この件について話をしたい、君は今の状態ではうまく話などできないだろう、と言われました。
私は付き添いの二人と、ジルベール様も同行して我が家へ入りました。
帰宅が予定より早いと驚かれましたが、ジルベール様が来られたので、急遽、応接間で皆でお茶をすることとなりました。
「ドモス子爵令息は、サフィラ嬢の婚約者の相手としては、似つかわしくないのではないかと思います。」
ジルベール様は状況を説明した後にこうつけ加えました。
この場には私の弟である10才のルイスもおり、ぼかした表現にはなりましたが、少なくとも両親に話は伝わった感じです。
「…」お父様が眉間の皺を押さえて渋い顔をされています。
お母様は青い顔をして無言でおられました。
ジルベール様が口を開きました。
「私は親戚とは言っても遠縁で場に居合わせただけになるので、口出しするのは差し出がましいのですが、あまり良いご縁ではないように思います。」
「いや、差し出がましいなどということはありません。
有り難く思っております。」お父様が口を開きました。
「彼がそんな行動に出ているとあれば、当然考え直します。ただ…」
「ドモス子爵令息のご両親は、かえって婚約解消を拒むかもしれません。」お母様が青い顔のまま言いました。
「なぜですか?不貞で解消理由となりますよね?」
「…そもそもは、お互いの家柄の釣り合いが取れているので、妙な相手に引っかからないうちに、婚約者を定めておこうということで結ばれた婚約なのです。利害関係は特にありません。
しかし、ご子息の不貞で解消するとなると、ドモス子爵家に悪評が立つかもしれません。
結婚前の若い男の少々の浮気は多目に見ろとか言い出して、婚約解消を拒むように思います。」
お母様が口をつぐむと、ジルベール様が言いました。
「彼の相手をした女性が鍵になるかもしれません。
彼女がどういう態度に出るかによりますが…
自分はすぐ彼女の後を追ったのですが、逃げられてしまいました。どうやら使用人専用の通路を通ったようでした。
ただ、学園の使用人の服だったので、身元は調べられるはずです。
その女性が騒いだ場合、ドモス子爵家の醜聞は避けられなくなり、婚約解消がうまくできるかもしれないです。」
ぼんやりしていたのでしょう。馬車の中で座った私を覗き込むジルベール様のお顔が見えましたが、私はそのまま固まって動かずにおりました。
「かわいそうに、今日のことが本当にショックだったんだな。
それにしてもあの男…
失礼、君の婚約者の男性は、ひどく不愉快な人物だな。
なぜ君が彼と婚約しないといけなかったのか全くわからないよ。」
ジルベール様は、私の両親に、この件について話をしたい、君は今の状態ではうまく話などできないだろう、と言われました。
私は付き添いの二人と、ジルベール様も同行して我が家へ入りました。
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「ドモス子爵令息のご両親は、かえって婚約解消を拒むかもしれません。」お母様が青い顔のまま言いました。
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しかし、ご子息の不貞で解消するとなると、ドモス子爵家に悪評が立つかもしれません。
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