黒髪狼少女は、白髪の青年に何を思う？

氷の国アイシス編

クウのお買い物

　「ふふふふ～ん♪」

　クウは鼻歌混じりにアイシスの宿屋の階段を降りていき店長に挨拶する。

「おじさん！おはよう！」

　元気よく挨拶された店長は笑顔で挨拶を返す。

「おはよう！クウの嬢ちゃん！、今日はどこか出かけるのかい？」

「うん、狩夜の為に何か買ってあげるんだ～」

「ほう、そいつは偉いね～」

　狩夜はまだ眠っているが、最近頑張ってもらっているということで、今日は休みをもらっていたのだ。
　だけど、クウのやりたいことは決まっていた。
　狩夜が早く良くなるように、自分で稼いだお金でなにかを買ってあげたいということだった。

「行ってきまーす！」

　私は片手を振りながらおじさんに手を振って外に駆け出す。

　～アイシス(朝)～

　クウが外に出てみると、あたり一面に銀世界だった。

「雪だ～♪」

　なんだか楽しくなってきた私は、スキップしながらお目当ての店を探し始めた。
　雪の町にちなんだ物を探しているが、なかなか見つからない。

「なにがいいかな～、アイスは寝てるから食べられないしな～」

　るんるん気分で町を歩いていると「あの子が、幸せの青い鳥だ」と声をかけられる。
　宣伝効果がてきめんすぎるため、声をかけられまくり時間を消費する。

(う～ん、もっと色んなお店回りたいんだけどな～...)

　困りながらも対応を重ねてしまったため、気がつくと夕方になってしまった。

「お腹すいた～...」

　昼ごはんも食べられずに時間が過ぎたので、腹の虫がググッ～っとなる。

「よければ食べてくかい！幸せの青い鳥さん！」

　向こうの店から声をかけられ、串焼きを手渡される。

「えっ...いいの！？」

「でもその代わりに...、青い羽一つくれないかい？」

「いいよ～」

　私は羽を一つ差し出して、代わりに串焼きをもらう。
　出来立てなのでアツアツで美味しい♪。

「美味しい～♪」

「ありがとうよ、これでうちも青い鳥が来た店ってことになり、商売繁盛ってもんよ！」

　串焼きのおじさんは笑顔で羽を店の前に垂らし着けている。

「ところで、この国の名物品とかってある？」

「そうさな、アイスクリスタルでできた花とかどうだ？、透き通る様な水色のそれなら、きっと嬢ちゃんに似合うはずだぜ、お値段も意外とリーズナブルだしな！」

「お花か～、それいいね！どこに売っているの？」

「向かいの店に売ってるぜ、そんなにでかいの買わなければ1000ガルってところだな、造形の出来は保証するぜ」

「ありがとうおじちゃん！、また串焼き食べに来るね～」

　私は手を振りながら、向かいの店に入ってみる。
　すると、お目当てのアイスクリスタルの花が展示されていた。
　おじちゃんの言っていた通り1000ガルという手頃な値段の割にかなり綺麗な細工がされている。
　これを購入した私は、狩夜と花夜の反応が楽しみになってしまい。
　ウキウキ気分で宿屋に戻る。

(2人とも、私が買い物して来たって知ったらどんな反応するかな～、楽しみ！)