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...ごめんなさい
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私は自室の部屋に閉じこもり鍵をかけじっとしています。
(今は皆に合わせる顔がないよ...)
私が良かれと思ってやった事が裏目にでる事は良くある事なのですが、それでもこのミスは大き過ぎました。
母さんに喜んで貰おうとしただけなのに、母さんの嫌いな物すら分からず隠し味にそれを入れたのを見抜いた父さんは流石だと言わずにはいられません。
やっぱり凄いなぁ...、こんなに近くで母さんを見つめてきた私よりも父さんの方がよっぽど母さんについて知り尽くしているあたり、やはり彼は母さんの夫なのでしょう。
それに比べて私は...。
涙を頑張って堪えながら鏡を見て、人差し指を二回くるくるっと回しながらこう思うのです。
(おまじない...、やっておいた方が良かったかな...)
そんな後悔を今更しても遅いのですが、そう思うほどに私の心は疲弊していました。
「ダメだな...私...、こっちに来ても何も変わっていない...グズなまんまだ...」
せっかく神さまが冴えない私を“カリン”という優秀な少女に転生してくれたのにこれでは宝の持ち腐れです。
ただ一人すすり泣く私。
ベッドのシーツが涙で濡れ始めた瞬間...。
「カリンちゃん...」
誰かの声が聞こえてそちらの方を振り向くと...。
「母さん...?」
そこには見慣れた人影がありました。
こっちの世界に来て私が母さんと呼ぶ赤の他人...。
この人はカリンにとっては母さんでも、餅月林華にとってはただの他人なのだ。
きっと彼女は餅月林華であり私になんて全く興味がないでしょう。
それでも繋がりを期待してしまうのは、彼女が私にとって理想の親の形だからでしょうか?。
重苦しい雰囲気の中、彼女は口を開きました。
「カリンちゃん大丈夫?」
「母さん...この部屋には鍵を掛けていたはずなのになんで...」
「私はあなたの母親である前に賢聖よ、いくらこの家が王族御用達の魔法がかけられているとはいえ、それを解くのなんて造作もないわ」
母さんの言う事に説得力がありすぎるのは、一度彼女の魔法を見ているからでしょう。
あのクラスの魔法使いであるのならば、扉の開閉なんてきっと簡単に出来るのだと思います。
彼女は私の肩を持ち、こう呟きました。
「カリンちゃんどうしたの?、皆に聞いても黙っているし、直接カリンに聞いてと言われたのよ」
この言葉を聞いた時、皆はきっと私の為を思って黙ってくれていたのでしょう...。
母さんにそのを話されれば、私が母さんの事を何も見てなかったという事の証拠になるからです。
こんなに長い間一緒にいたのにも関わらず、嫌いな物一つ分からない私が本当の娘だと言えるでしょうか?。
私は勇気を出してアイスにレモンを入れた事を伝えようとして口を動かそうとしましたが...。
(怖くて...口が動かない...)
それを伝えることに恐怖したのか、私の口は動きません。
震える私に彼女はこう呟きました。
「...カリンちゃん...」
そう言いながら彼女は私をそっと抱き寄せました。
「えっ!?」
突然ぎゅっと抱きしめられたので何も言えないでいると、彼女はふふっと笑いました。
「大丈夫、母さん怒らないから話して頂戴」
その言葉を呟いてくれた彼女を見た私は本当の事を話す事を決心しました。
「母さん...実は...」
「...、レモンエッセンス...、確かに私は食べられないわね...」
何を言われるか分からなかったので目を瞑って罰を受けようとしていると...。
「大丈夫、そんな事で怒らないわよ」
「...えっ...?」
「だいたいその位で怒る訳ないじゃない!、流石にカリンちゃんお母さんを甘く見過ぎよ」
ふふっと笑う彼女を見た私は、母さんの器の大きさを垣間見たような気がしました。
「...ごめんなさい」
私は涙を流しながら、彼女に甘えるように抱きついていました。
(今は皆に合わせる顔がないよ...)
私が良かれと思ってやった事が裏目にでる事は良くある事なのですが、それでもこのミスは大き過ぎました。
母さんに喜んで貰おうとしただけなのに、母さんの嫌いな物すら分からず隠し味にそれを入れたのを見抜いた父さんは流石だと言わずにはいられません。
やっぱり凄いなぁ...、こんなに近くで母さんを見つめてきた私よりも父さんの方がよっぽど母さんについて知り尽くしているあたり、やはり彼は母さんの夫なのでしょう。
それに比べて私は...。
涙を頑張って堪えながら鏡を見て、人差し指を二回くるくるっと回しながらこう思うのです。
(おまじない...、やっておいた方が良かったかな...)
そんな後悔を今更しても遅いのですが、そう思うほどに私の心は疲弊していました。
「ダメだな...私...、こっちに来ても何も変わっていない...グズなまんまだ...」
せっかく神さまが冴えない私を“カリン”という優秀な少女に転生してくれたのにこれでは宝の持ち腐れです。
ただ一人すすり泣く私。
ベッドのシーツが涙で濡れ始めた瞬間...。
「カリンちゃん...」
誰かの声が聞こえてそちらの方を振り向くと...。
「母さん...?」
そこには見慣れた人影がありました。
こっちの世界に来て私が母さんと呼ぶ赤の他人...。
この人はカリンにとっては母さんでも、餅月林華にとってはただの他人なのだ。
きっと彼女は餅月林華であり私になんて全く興味がないでしょう。
それでも繋がりを期待してしまうのは、彼女が私にとって理想の親の形だからでしょうか?。
重苦しい雰囲気の中、彼女は口を開きました。
「カリンちゃん大丈夫?」
「母さん...この部屋には鍵を掛けていたはずなのになんで...」
「私はあなたの母親である前に賢聖よ、いくらこの家が王族御用達の魔法がかけられているとはいえ、それを解くのなんて造作もないわ」
母さんの言う事に説得力がありすぎるのは、一度彼女の魔法を見ているからでしょう。
あのクラスの魔法使いであるのならば、扉の開閉なんてきっと簡単に出来るのだと思います。
彼女は私の肩を持ち、こう呟きました。
「カリンちゃんどうしたの?、皆に聞いても黙っているし、直接カリンに聞いてと言われたのよ」
この言葉を聞いた時、皆はきっと私の為を思って黙ってくれていたのでしょう...。
母さんにそのを話されれば、私が母さんの事を何も見てなかったという事の証拠になるからです。
こんなに長い間一緒にいたのにも関わらず、嫌いな物一つ分からない私が本当の娘だと言えるでしょうか?。
私は勇気を出してアイスにレモンを入れた事を伝えようとして口を動かそうとしましたが...。
(怖くて...口が動かない...)
それを伝えることに恐怖したのか、私の口は動きません。
震える私に彼女はこう呟きました。
「...カリンちゃん...」
そう言いながら彼女は私をそっと抱き寄せました。
「えっ!?」
突然ぎゅっと抱きしめられたので何も言えないでいると、彼女はふふっと笑いました。
「大丈夫、母さん怒らないから話して頂戴」
その言葉を呟いてくれた彼女を見た私は本当の事を話す事を決心しました。
「母さん...実は...」
「...、レモンエッセンス...、確かに私は食べられないわね...」
何を言われるか分からなかったので目を瞑って罰を受けようとしていると...。
「大丈夫、そんな事で怒らないわよ」
「...えっ...?」
「だいたいその位で怒る訳ないじゃない!、流石にカリンちゃんお母さんを甘く見過ぎよ」
ふふっと笑う彼女を見た私は、母さんの器の大きさを垣間見たような気がしました。
「...ごめんなさい」
私は涙を流しながら、彼女に甘えるように抱きついていました。
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