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そのにじゅうよん
しおりを挟むついに、亮が入学してきた。
物語がどう動き出すか、俺はドキドキしていた。
正直、ワクワクもしていた。
これまでは、攻略対象達と適切な距離で過ごし、一番危なかった王子とのフラグはすでにポッキリと折っている。
しかも、王子以外の攻略対象とも、うまく距離を取ったり、対処したり、友人になったりしているので今のところ、ひと安心なのだ。
問題は、亮がヒロインなので、さすがに本当に危ない目にあう前に助けないといけないから、ちゃんと物語を進めつつ、成り行きを見極めなくてはなと思っていた。
が・・・
亮を見て衝撃が走る。
あいつめ、やりやがったな。
亮を鑑定すると勇者になっている。
何回も見直す。
ヒロインのヒの字もない。
嘘だろ、どういうことだ、と極楽鳥に念を送るが返事がないので、直接文句いいにいってやる
極楽鳥と色々もめてたら、やみがすっ飛んできた。
ただ事じゃない様子でベルがやられたっていう。
何が起こった?おかしい。
仮にイベントなら亮が王子の前で転ぶぐらいだったはずだった。
どうやら亮が伝説の剣を出したらベルが倒れたらしい。
なんなんだ・・・
一刻も猶予がないのに、俺は立ちすくんでしまった。
でも、ゴールドがレオンに伝えたみたいで、レオンの侍女がベルのもとに向かったと言われた。
すると、極楽鳥も人型になると俺を持ち上げて、そのままベルのところに運んでくれた。
傍から見たら、ちゃらいイケメンが美少女イザベラをお姫様抱っこしている図だったらしく、ものすごい勢いで噂が流れたらしいが、あのときはそれどころじゃなかった。
お姫様抱っこされながら、ベルの部屋に飛び込むと、号泣している亮と、すごい形相でこっちを見ているレオンがいた。
まさか、とんでもないことになったのかと取り乱しそうになって覚悟したが、レオンの侍女がさっと間にはいって、素早い動きで俺を極楽鳥から受け取った。
そしてベルは、とりあえずは大丈夫だと説明してくれた。
レオンの形相が凄すぎて要らない心配しちゃったじゃないか。
でも、レオンの侍女にもお姫様抱っこされている俺って・・・
まあ、足もガクガクしているからうまく立っている自信がないかもと思ってたら、レオンが俺をお姫様抱っこしている。
いつの間にか、レオンの侍女がレオンと交代したらしい。
まあ、お年寄りにだっこされるのも気が引けるからな。
でも、さすがに、身体のガタブルが止まらない。
涙も溢れてきた。
「ごめん、レオン、俺、涙が止まらない」
レオンが優しく俺を抱き締めてくれた。
俺は子供みたいに、わんわん泣いた。
ちょっと落ち着いてきたら、急に恥ずかしくなったので、さすがに下ろしてもらった。
レオンの顔が恥ずかしくて見れなかったが、とりあえずお礼をいう。
ふと、亮をみると、極楽鳥に慰められている。
極楽鳥が俺を見て、ものすごい勢いでテレパスで謝ってきた。
とりあえず、俺はこんなことになった事情を聴くことにした。
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