公爵夫人は国王陛下の愛妾を目指す

友鳥ことり

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第五章 新婚旅行

6 夜半

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 噛み付くように口づけをしながら、オリヴィエールはベルティーユを寝台の上にゆっくりと押し倒した。
 就寝のため三つ編みにしていた亜麻色の髪を結んでいた天鵞絨ビロードのリボンをほどき、髪をくように指を差し込む。
 シーの上に癖のあるベルティーユの髪が散らばると同時に、髪につけた椿油の匂いが辺りに広がった。

「ん……っ」

 角度を変えながら繰り返し唇は重なり、舌が絡み合う。
 浅い呼吸を繰り返しているためか、肺に空気が届いていないらしく、ベルティーユは息苦しさのあまり頭がくらくらしてきた。
 オリヴィエールは右手の指にベルティーユの髪を巻き付け、左手は寝間着の裾をたくし上げて彼女の右足首から膝へと焦らすように撫で上げる。さらに太ももに手を這わせ、下穿きの中に指を入れた。
 熱を帯びた荒い息遣いだけが響く。
 音を立てて妻の唇を吸い上げたオリヴィエールは、耳朶を舌先で舐め始めた。

「あ……」

 耳朶に軽く歯が当たると、ベルティーユは全身が震えるのを感じた。
 股の間に入り込んできた指先がそっと秘裂を撫で上げ、さらに刺激が加わった。

「もう、濡れ始めているね。口づけが良かったのかな。それとも、ここを触られるのが気持ち良い?」

 低い声で訊ねながら、オリヴィエールはさらに耳を甘噛みする。

「気に入ったところを教えてくれないかい? どうすれば、貴女は気持ち良いと感じる?」

 気持ち良いかと聞かれても、ベルティーユには返事のしようがなかった。
 オリヴィエールは妻の耳をもてあそぶのを止め、首筋に舌を這わせ始めたのだ。それが新たな刺激となり、ベルティーユは喘ぎ声を漏らす。
 秘裂を撫でていた指先が、するりと一本が中に入り込んだのだ。
 思わずベルティーユが腰を上げると、オリヴィエールはじらすように指を抜く。

「このままだと貴女の新しい夜着と下着を派手に汚してしまいそうだね」

 くすっと軽く笑い声を上げたが、ベルティーユの耳には淫靡に響いた。

「ゆっくりと貴女の身体を慣らしていきたいところだけど、僕の方が爆発しそうだ」
「え?」

 ベルティーユが目を丸くした瞬間、オリヴィエールは自分の夜着を脱ぎ捨てて床に放り出すと裸になった。
 蝋燭の灯りに照らされた身体に思わず視線を向けたベルティーユは、下半身の大きく膨張している部分に息を呑む。

(え? あんなに大きいものだったの?)

 先日の初夜は室内の灯りがない暗がりだったので、彼の下半身までは見えなかった。
 思わずベルティーユが凝視している間に、オリヴィエールは彼女の寝間着と下着を手早く脱がせてしまった。
 肌が夜気に触れて肌寒さを感じる暇もなく、ベルティーユはオリヴィエールに組み敷かれた。

「もうちょっと我慢ができるものだと思っていたけれど、なかなか難しいな――」
「え? なにが……」

 ベルティーユが訊ねかけるが、オリヴィエールの指がふたたび秘裂に割って入った瞬間、そこがじわりと濡れ始めるのを感じた。
 オリヴィエールはベルティーユの片方の乳房を手で揉みながら、もう片方の乳首を口に含み舌先で弄ぶ。
 その刺激でさらに下腹部が熱くなり、足先まで痺れるような刺激が全身に走る。
 秘所をまさぐっていた指がもう一本中に差し込まれ、内側から広げるように刺激を加えられると、ベルティーユはその恐ろしい刺激を抑え込もうと足を閉じかけた。

「駄目だよ、閉じちゃ」

 ベルティーユの両足を広げさせるため、オリヴィエールは自分の下半身を押し付ける。
 オリヴィエールの股の熱を肌で感じ、どっと蜜が溢れ出すのがベルティーユにもわかった。
 恥ずかしさで顔を火照らすと、オリヴィエールは満足げに微笑む。

「もっと濡らしてくれていいんだよ。たくさん濡れていた方が、痛みは少ないらしいからね」

(どんなに濡れていても、あんな大きなものが入ったら痛いにきまってるわ……)

 鋼のように熱くて固そうだ、とベルティーユが身を震わせる。

「恐がらないで。あぁ、そうだ。お酒でも飲んでみる?」

 いったん指を秘裂から抜くと、指を濡らす蜜を舐めながらオリヴィエールが提案する。

「お酒?」

 オリヴィエールの提案に、ベルティーユは首を傾げた。

「結婚祝いだと言ってブランデーを贈ってくれた人がいてね。珍しい地域の物だったから、旅の途中に飲むのもいいかもしれないと思って持ってきたんだ」

 オリヴィエールは寝台から一度下りると、寝室の隅の戸棚の上に置いてあった瓶を手に取った。
 戸棚から足つきグラスを二つ取り出すと、瓶から琥珀色の液体を注ぐ。
 蝋燭の灯りに照らされたブランデーからは、濃厚な酒精の薫りが漂ってきた。

「はい、どうぞ」

 オリヴィエールが差し出すグラスを、ベルティーユは素直に受け取った。
 グラスに口を付け、舌先で舐めるように味わうと、よく熟成された濃厚な味が口の中に広がった。
 ただ、美味しいかどうかと訊かれると、よくわからないとしか答えられない。
 なにしろベルティーユはこれまでブランデーを飲んだことがなく、味の良し悪しがわからなかったのだ。

「どう?」

 オリヴィエールもブランデーを口に含みながら訊ねる。

「美味しい、のだと、思うわ」

 曖昧に答えながら、ベルティーユはゆっくりと口の中にひとくちブランデーを流し込んだ。
 喉に酒精が触れた途端、強い刺激が口いっぱいに広がった。
 続いて胃の中にブランデーが入った途端、腹からじわりと身体が温まるのを感じた。
 旅の疲れと緊張で切羽詰まっていた意識がすこしだけ解放され、視界がぼんやりとぼやける。
 さきほどまで胸を締め付けていた羞恥心と怯えも和らいだ。

「美味しいわ」

 もう少し飲んだらきっと気持ちよくなれそうな気がする、とベルティーユはさらにブランデーを飲んだ。

「あっ! そんなに一気に飲んだら――」

 あおるようにしてブランデーを飲み干したベルティーユに気付き、オリヴィエールは慌てて声をかける。
 が、すでに遅かった。
 焼け付くような刺激が喉を過ぎた途端、ベルティーユの意識は途絶えた。
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