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しおりを挟むツーツェイは綺麗に結われた髪を崩さないように頭を抱えた。まさかと思うが、モーガンとセリニアは自身を息子の妻にというのは本気だったということに間違いがないのだろう。
(私、本気で息子様の奥様にされる!?)
『デブで気持ちの悪いおじさんの奥様、頑張って』
ふと頭に浮かぶミーシャの呟き。その呟きにツーツェイは絶句する。デブで気持ちが悪いと決まったわけではないが、歳がかなり上なことは間違いはない。
ツーツェイは自分が男性を選べる立場ではないことは重々承知だ。だけれどあまりにいきなり過ぎて、さすがに混乱している。
本気にしていなかったから、そこまで深くは考えなかった。だが、ここまで確定しているならさすがに考えなければならない
(こんな声も出せない他国の平民の使用人をわざわざ帝国に連れてきて自分の息子の嫁にだなんて……)
――――絶対に訳あり。
しか考えられないとツーツェイは頭をさらに抱える。帝国内にもはやお相手がいないのだと。こんなにたくさん人がいる帝国なのにお相手が見つからないのだと。
結論を導き出したとき額から大粒の汗が吹き出てくる。せっかく綺麗に化粧をしてもらったのにと両手で風を必死に送るけれど冷や汗が止まらない。
(いや、にしてもこんなことを思うのは失礼だわ!! あんな素敵なご夫妻にここまでして頂いたのに!)
二人の優しい微笑みを思い出して、影を潜めていたポジティブを無理やり引っ張り出す。それに侯爵夫人だ。こんなシンデレラストーリーは他にない。
そうしてポジティブを引っ張り出していれば扉がノックされてビクゥ!とツーツェイの身体が跳ねあがる。
「……返事がないけど?」
「申し訳ありません。声を出せないと旦那様と奥様からお伺いしております。」
「あぁ、そうだったね。失礼するよ」
(来た!!)
扉の外から聞こえる男性の声。直感でわかる。ご夫妻の令息だと。
『デブで気持ちの悪いおじさん』
そのミーシャの呪いのような言葉がよぎったが、頭を振って消し去る。ツーツェイはメモ帳を握りしめて立ち上がった。
(どんな方でも立派な奥様を務めさせて頂きます!!)
荒い鼻息を漏らして顔を上げた。
――――バサッ……。
だがその瞬間、目の前に立つ男性に持っていたメモ帳を落としてしまう。なぜなら……。
「こんにちは、君がツーツェイ?」
そこには目を疑うくらいの美しい男性がいたからだ。
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