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番外編
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しおりを挟む「て、テオドール様あれっ、あれっ!」
「あの父親からなんとなくわかってた」
「いや、にしても! めちゃくちゃ子供っぽくない恐ろしい顔してたんだけど!?」
慌てるライトにげんなりとするテオドール。そんな二人を無視して、シュトレン殿下がツーツェイとイリナに近づく。、
「よかったなぁ、イリナ。お姉様が帰ってきてくれて」
「はい、父上っ! お姉様はずっとこの国にいてくれるんですよね?」
「あぁ、もちろんだ」
「えっ!? ま、待って、私は……」
「お姉様、嬉しいっ!! たくさん遊びましょうね」
「ははは、私も付き合おう」
「えっ!? ちょっと、二人とも私はテオドール様とっ……んぐっ!?」
ぎゅーっと強く抱きしめてくる二人にツーツェイの声が塞がれる。顔を抱きくるめていることに、わざと喋れなくしているのだろう。
(ど、どうしよう!?)
慌てるツーツェイにみかねたテオドールが近づいてくる。
「両殿下、お言葉ですがツェイは僕の婚約者で帝国に残るとお伝えしているはずですが」
――――ギッ!!
テオドールの言葉に二人して恐ろしい視線で勢いよく睨みつけたのに、後ろにいる魔術師や使用人たちが『ひぃっ!』と恐怖の叫び声を上げる。
「ツェイが苦しそうです。そろそろ離してあげては?」
ギリギリと睨みつける二人ににっこりと笑みを返したテオドール。三人が睨み合っている間に、腕から抜けて逃げ出したツーツェイにライトがこっそり話しかけてくる。
「ねぇねぇ、ツェイちゃん。テオドール様って前よりめちゃくちゃメンタル強くなったよね?」
「ははー……そうならよかったのかも?」
「あぁ、じゃないとやっていけないか」
「そ、そうですね……」
その後、エミール女王が場を収めたことによってなんとかそれ以上の喧嘩にならずにすんだのだった。
◇◇◇
「ごめんなさい!!」
「え?」
夕食後、割り当てられた部屋でツーツェイがテオドールに思いっきり頭を下げる。そんなツーツェイに荷物を片付けていたテオドールが不思議そうに顔を上げる。
「なんだか、父と弟が失礼なことばかりを……」
「あぁ……」
あの二人を思い出したのかテオドールが顔を顰めたのにツーツェイがまた顔を青ざめさせる。そんなツーツェイに安心させるように表情を戻して、ふっと笑う。
「大丈夫だよ。大変だけど、あの二人の気持ちはわからなくもないから」
「え?」
「だって、僕が可愛い娘と姉を奪っちゃったわけだから」
「っ!!」
かぁっと顔を赤らめさせたのにまた可笑しそうに笑う。恥ずかしさを隠すためにも、テオドールに背中を向けていそいそと鞄の荷物をまとめていく。
「ツェイ? どこにいくの?」
「あっ、はい。イリナに一緒にお風呂に入りたいって言われまして……」
「は?」
夕食後、ワンピースの裾を引っ張ってなにかを言いたげなイリナに話を聞けば『もっとお姉様とお話がしたい』と可愛らしい上目遣いをしてお願いされたのだった。もちろんツーツェイは断ることなく頷けば、それを提案された。
『なぜお風呂?』と疑問が頭に浮かんだけれど、可愛い弟の願いに断れるはずもなく、また頷いて頭を撫でてやった。
(ふふ、ゆっくり湯船につかってお話したいのかな?)
『僕の部屋で待ってますね!』と嬉しそうにはしゃぐイリナに、そう単純にツーツェイは結論付けた。
「少し出てきますね。寝る前までには戻ってきます」
それを思い出しながら笑顔を浮かべつつ、タオルと着替えを持って立ち上がったとき手をテオドールに掴まれて止められる。
「だめ」
「え?」
「絶対だめ」
じっと見つめるテオドールに首を傾げる。若干、というよりかなり怒っている雰囲気も感じられて、ますます理由がわからない。
「お風呂なら僕と一緒に入ろう?」
「え? っわぁ!?」
そのまま軽々と抱えられて部屋に隣接する浴室に連れていかれる。
「え!? ま、まって、な、ななんで……」
「嫌?」
「へ? い、いや?」
「ツェイは僕と一緒には嫌なの?」
(うぐっ!?)
悲しそうに上目遣いで見上げてくるのに胸に衝撃が走る。いまさらだけれど、ツーツェイにとってテオドールの顔はどストライクの好みなのだ。そんなテオドールからの願いに断れるはずもない。
「でもイリナに……」
「大丈夫。僕から伝えておくから」
「は、はぁ」
にっこりと笑ったテオドールになんだか嫌な予感がするのは何故だろうと思うけれど、すぐに口付けを頬に落とされて考える思考が微睡む。
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