竜使いの伯爵令嬢は婚約破棄して冒険者として暮らしたい

紗砂

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そして、ようやくボス部屋の前に辿り着いた。

その頃には私の魔力も少し不安になり、先輩達の体力もギリギリの状態であった。
かと言って、ここに居続ける訳にもいかず何度目かになる休憩を取る。


「まだ動けそうなのは…俺とアメリア、レオニードは……厳しいか?」

「いや…行ける」


そう口にしたレオの表情は隠しているように見えても披露の色が見える。
それ程までに消耗していた。
途中から、戦闘は全て私とルガートさんが受け持っていたのだがそれでもかなりの時間この迷宮内にいたので疲れはかなり溜まっているはずだった。


「レオニードも前衛、サニアは後衛で頼む。
レンファ、ダリウスはサニア達を頼む。
トール、お前は…」

「僕は指示と罠の設置に徹します。
ラナス先輩は後衛、ラン先輩とロイには待機をしてもらいます」

「おう、それでいいぜ。
行くぞ」


全員の行動が決まったところで私達はボス部屋に足を踏み入れた。



ボス部屋の中は霧に覆われ前が見えない状態となっていた。
水関係の能力かとも思ったがどうやら違う様だ。
部屋の中だけ異様に気温が高いのだ。
つまり、これは火属性の能力という事になる。

部屋の中央にそれは居た。
圧倒的なまでの存在感、鱗に覆われた体。
それは、この頃よく見かける竜であった。
火竜だった。


『立ち去れ』


その声は否という答えを認めぬとそう言われているように感じる程に力がこもっていた。


「イフト、貴様…何故ここに居る?」

『そういう貴様はエデンか…。
イオもいるようだな』

「我の問に答えろ、イフト」

『…死場を探しているだけだ。
あいつのいない世界になど居たくもない』


……また私の先祖の事だろうか。
だとしても本当に面倒なことをしてくれた。


「エデン、また…ですの?」

「あやつと契約を結んでいたのは10はいるぞ?」

「……そう、ですの」


なんて面倒な……。
せめて後処理までして欲しかった。


「お初にお目にかかりますわ。
私は、アメリア・ヴェノムと申します」


礼儀正しく、というのを注意し私は頭を下げる。
私の先祖がお世話になったのだからこの位は当然の事であった。 


『ヴェノム……?
あやつの子孫か……。
エデン、あいつの子孫は……』

「中々に面白いぞ」

『ふむ……我が名はイフリート。
火竜を統べる絶対の王にして、ディールとの契約を結びし者なり。
汝、アメリア・ヴェノムとの契約を結びし事をここに誓おう』
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