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しおりを挟むこうして迎えた強化合宿の最終日。
私はいつもと同じ夜明け前には起き、軽い準備運動と食料調達のためにテントの外に出た。
夜明け前のヒンヤリとした空気を胸いっぱいに吸い込むと、私は一気に駆け抜ける。
木々の間を抜け、時には障害物を切り伏せ、飛び越えながら開けた場所へ向かって走り抜ける。
目的の場所へと到着すると、白夜と白空を抜き、型の練習を始めた。
風の動きを読み、そこに乗るように剣を滑らせる。
滑らかに、それでいて早く、魅了するような、そんな動き。
誰よりも早く、誰よりも強く。
そんな想いでただひたすらに剣を振り続ける。
周囲が少しずつ明るくなってくると、私はピタリと剣を止め、鞘に収めると食料の調達へと移った。
その息は先程まで剣を振っていたのが嘘のように思えるほど穏やかで、先程のものが本気ではない証だった。
「イフの分まで用意しなければなりませんし…奥へ行った方が良さそうですわね」
人と竜では食べる量が異なる。
勿論、竜の方が人の何倍も食べるのだが。
そのため、かなりの食料が必要になってくるのだ。
いざという時のために昼食分も一応狩っておきたいので他の班よりも何倍も狩らなければならない。
時空魔法の1つである収納を覚えておいて本当に良かったと思う。
まぁ、とにかくだ。
浅瀬で狩りをしていては魔物も少ないので中々食材が集まらないのだ。
そのため、奥まで行った方が良いだろうという判断だった。
「さて……少々急いだ方が良さそうですわね」
静かな森の中、私は太陽の登り始めた空を見上げるとそう呟き、先程よりも速度を上げた。
ギリギリではあるものの、食料調達を終えた私はイオの捕まえた魚の下拵えをしながらメニューを考えた。
山菜とジャイアントボアのスープ、ワイルドボアのハーブ焼きに、持ってきたパン魚は……シンプルに塩焼きで。
あとは山菜とキノコの天ぷらにしよう。
ボアやウルフも余るからそれは蒸し焼きに。
と、簡単にメニューを決めた私は効率良く作っていく。
エデンやイフも手伝ってくれている。
イフには魚の塩焼きを頼み、エデンには簡単な下拵えを頼んでいる。
イオにはリーシャを見てもらっている。
意外と面倒見が良いので安心して任せられる。
……ツンデレだけど。
「主よ、出来たぞ」
「ありがとうございます、エデン。
では、鍋の方に入れていただけますか?」
「承知した」
エデンに頼んでいた山菜や肉などのカットが終わったようなので肉からスープに入れていくように告げると、エデンは快く引き受けてくれた。
「おはよう、リア」
「おはようございます、レオ」
テントから出てきたレオは、私を見ると微笑を浮かべ、近付いてきた。
「 レオ、先輩方は?」
「まだ寝ている。
リア、手伝うことは無いか?」
「大丈夫ですわ。
お気遣い、ありがとうございます」
「そうか」
私とレオの間に沈黙が流れ、少しばかり居心地の悪さを感じながらも手を止めることなくせっせと動く。
「主、このくらいでいいか?」
「……えぇ、ありがとうございます」
イフは火竜達の王というだけあって日の扱いに長けているのだろう。
丁度いい火加減で焼かれた魚に食欲をそそられる。
先輩達とルガートさん達が起きてくる頃には朝食も出来ていた。
昨日までと同じように、土と氷で席と器を作り上げると適当な席につき、食べ始める。
「美味いな……アメリア、この肉はなんの肉だ?」
さすがラン先輩。
ウルフやオークの肉ではないことに気付いたらしい。
「ボアですわ」
「……いつ狩った」
「今朝ですが」
「……そうか」
呆れの混じった視線を受け、少しばかりの不満を感じながらも美味しいと言ってもらえることに充実感を覚えた。
そして、強化合宿最終日のメニューを頑張ろうと力を入れるのだった。
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