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しおりを挟む皆から少し外れたところへと移動した私たちは互いに剣を構えた。
『身体強化-火-発動』
火の身体強化は瞬発力、威力を上げる。
魔法の威力だけでなく、筋力なども上げることで一撃の重さまでも変わる。
レオはそれを使用した。
ならば、と私が使ったのは私の得意とする強化魔法だった。
「レオに敬意を表して、これを使わさせていただきますわ」
『銀魔法-身体強化-発動』
銀を纏い、身体強化をしたことで体が軽く感じられる。
「行くぞ、リア!!」
「えぇ、どうぞ」
私は悠々と剣を構えると、レオの速度に反応出来るよう、ジッと観察をする。
油断禁物、それは最初にお母様から教わったこと。
だからこそ、気付いた。
レオが『なにか』と契約を結んだことに。
精霊と呼ばれる類いのものか、魔獣か、はたまた悪魔か……その辺は分からないが、レオが得た能力は幻術のようだ。
とにかく、私の目の前にいるのはレオではない。
とすれば、本物はどこにいるのか……。
「っ……!!」
カンっと甲高い、剣のぶつかり合う音が響く。
危なかった。
私があともう少し、気付くのが遅れていればきっとこの一撃で負けていただろう。
「レオ、何と契約致しましたの?」
「さあなっ!!
だが、まさかこの一瞬でバレるとは思っていなかった。
もう少し時間を稼げると思っていたのだが」
「ふふっ、そんな見掛け倒しに騙される程、私は優しくはありませんわ」
一度レオから距離をとると、今度は見失わないように魔力でマーキングする。
うん、これでわかりやすくなった。
「の、ようだな」
私の言葉に、レオは苦笑をもらしながら頷いた。
「だが、これだけでは終わらないぞ?」
「えぇ、ですが……お話の最中、コソコソと人の背後に回り込むのはどうかと思いますわ」
マーキングしていたレオが背後へと移動していたことはすでに分かっていたため、程々に話を切り上げ、跳躍した。
「あぁ、リアにはもう通じないことは承知している!!」
その言葉で、自身の甘さに気づく。
1度見られたことは通じないと判断し、それを利用し策を練る。
それは、お母様とは異なる考え方。
お母様は1度見られたのならば、その1度目を上回るようにすればいいだけ。
そう考える人物だ。
それ故に、私は失念していたのだ。
レオは身体能力で劣る部分を策だけで渡りあってきた人物だったと。
それを思い出した瞬間、私は咄嗟に回避行動を取っていた。
『銀魔法-融解-固定-範囲指定-最小-発動』
細かい命令や指定が入る分、魔力を多く使うことになってしまうが仕方ない。
範囲の指定と大きさを最初にしたことで魔力の消費は減らせたのだ。
それだけでも良しとしよう。
「これも避けるか……」
レオは設置型の炎柱を発動させると苦々しく呟いた。
「ふふっ、この程度ですの?」
余裕を見せるためにそんなセリフを吐いてみるが、これではまるで悪役のようだ。
「リア……そのセリフはもう少しなんとかならなかったのか……」
「……私も今、そう思ったところですわ」
レオに言われるのは心外ではあったものの、仕方ない。
取り敢えず、そろそろ終わらせなければならないだろう、と気を取り直して攻撃態勢に入る。
「では、そろそろ私も攻撃させていただきますわ。
防御魔法を使う事をオススメ致します」
勿論、威力は落とすつもりではいるが。
私は、レオが防御魔法を展開したことを確認してから魔法を使う。
威力と範囲を最小限に抑えてだが。
『銀魔法-範囲指定-威力指定-最小』
これだけでかなりの精神力を使う。
範囲と威力を最小限に抑えるのはかなり気力がいるのだ。
『固定-変質-複製』
変質させることで摩擦に弱い、雷銀となる。
更に、それを複製することで威力の弱いものを作り出していく。
……まぁ、ちゃんと防御魔法使わせているし、威力も抑えるようにしてるし。
『発射』
変質した銀は5ミリ程度の球となり、私の周りに浮遊していた。
それを一つ、手に取るとそのままレオに向けて放つ。
すると、雷銀は地に落ちると爆発し、レオの防御を打ち破ろうとする。
そして、その防御にヒビが入ったところで、レオが降参の声をあげた。
「……降参だ」
「懸命ですわね」
『銀魔法-固定-圧縮』
残りの雷銀を固定し、爆発をしないように保護すると圧縮して懐にしまい込む。レオが微かに顔を引き攣らせたが知らないふりを突き通した。
それらの光景を見ていたカナンさんが目を輝かせていたことも、知らないフリをしておこうと思う。
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