竜使いの伯爵令嬢は婚約破棄して冒険者として暮らしたい

紗砂

文字の大きさ
61 / 69

60

しおりを挟む


「案外大丈夫そうだったな。
これでいくか?」

「はい!
僕もいいと思います!」

「それなのですが……私も前衛にまわりますわ。
その上で援護いたします」


先程決めたことを告げるとレオはあぁ……と納得したような表情になる。
対してカナンさんはえっ、と驚いたような顔をした。


「リアはそのくらいのことなら簡単にこなすからな……」

「そうなんですか!
凄いですね……僕なんて……」


卑屈になるのはカナンさんの悪いところだと思う。
だが、レオとはいいコンビの気がする。


「何を言っている。
使えないと思ったのなら、私は誘いはしない」

「レオはレオなりに、私は私なりにカナンさんのことは認めておりますわ」

「えっ……」


だって、そうでなければあの特別メニューを受けられるわけがない。
アレを受けられるということはそれなりの基礎は出来上がっているということだ。
ならば、あとは技や体の使い方のみだ。


「そうですわね……私で良ければ、徹底的に仕込んで差し上げますわ」


基礎が出来ているのなら、少し仕込むだけで問題ないだろう。
あとは、その人のセンスと癖だ。
悪い癖ならば徹底的に直してやろう。
そう、私がかつて、お母様にやられたようにじっくりと、徹底的に……ね。


「アメリアさんが、ですか……?
ぜひ、お願いします!!」


やると言ったからには思い切りやってあげよう。
本人がそう決めたのだ。
何も問題はない。

などと思っている私とは裏腹に、レオは何故か苦々しい表情を浮かべた。


「……カナン、気を付けろよ。
リアは訓練に関しては人より断然厳しいからな?」

「あら、そんなことありませんわ。
私よりもお母様の方が余程、厳しいと思いますわよ?」


失礼なことを口にするレオに私は反論をする。
本当のことなので問題はない。


「確かにそうだが……リアもリアでかなり、な……」

「うっ……少し心配になってきました……」

「問題ありませんわ。
そんな、潰すようなことは致しませんもの。
それと、来週ギルドランクの昇格試験がありますので休みの間は不在だと思いますわ」

「……そうか、分かった。
応援している」

「頑張ってください!」


ついに昇格試験を受けられるのだ。
そう思うと楽しみではあるが、怖くもあった。
昇格試験はAに上がるときにあるのみだ。
だが、私はAもSも試験を受けては来なかった。
Aに上がる時はAランクの魔物倒して免除になったのだ。
Sの時は眠りに着く前のことがあったからだ。

そう考えるとちゃんと試験を受けるのは初めてなのだ。


「リアならやれるさ」

「アメリアさんなら確実に上がると思います!」

「ふふっ、当然ですわ。
そのために、頑張ってきたんですもの」


お母様の隣に並ぶために。
お母様のように誰かを守れる人になりたかったから。
そのための権力を、実力を私は望んだ。

欲しかったものがもうすぐ手に入る。
そう思えば、嬉しくもあり、怖くもあった。

はたして、お母様にランクが並んだ時、私は本当にお母様に並んだといえるのか、と。
お母様のようになれるのか、と。


その日、結局答えは出なかった。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~

サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――

【完結】嫌われ公女が継母になった結果

三矢さくら
恋愛
王国で権勢を誇る大公家の次女アデールは、母である女大公から嫌われて育った。いつか温かい家族を持つことを夢見るアデールに母が命じたのは、悪名高い辺地の子爵家への政略結婚。 わずかな希望を胸に、華やかな王都を後に北の辺境へと向かうアデールを待っていたのは、戦乱と過去の愛憎に囚われ、すれ違いを重ねる冷徹な夫と心を閉ざした継子だった。

夫に捨てられた私は冷酷公爵と再婚しました

香木陽灯
恋愛
 伯爵夫人のマリアーヌは「夜を共に過ごす気にならない」と突然夫に告げられ、わずか五ヶ月で離縁することとなる。  これまで女癖の悪い夫に何度も不倫されても、役立たずと貶されても、文句ひとつ言わず彼を支えてきた。だがその苦労は報われることはなかった。  実家に帰っても父から不当な扱いを受けるマリアーヌ。気分転換に繰り出した街で倒れていた貴族の男性と出会い、彼を助ける。 「離縁したばかり? それは相手の見る目がなかっただけだ。良かったじゃないか。君はもう自由だ」 「自由……」  もう自由なのだとマリアーヌが気づいた矢先、両親と元夫の策略によって再婚を強いられる。相手は婚約者が逃げ出すことで有名な冷酷公爵だった。  ところが冷酷公爵と会ってみると、以前助けた男性だったのだ。  再婚を受け入れたマリアーヌは、公爵と少しずつ仲良くなっていく。  ところが公爵は王命を受け内密に仕事をしているようで……。  一方の元夫は、財政難に陥っていた。 「頼む、助けてくれ! お前は俺に恩があるだろう?」  元夫の悲痛な叫びに、マリアーヌはにっこりと微笑んだ。 「なぜかしら? 貴方を助ける気になりませんの」 ※ふんわり設定です

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

母が病気で亡くなり父と継母と義姉に虐げられる。幼馴染の王子に溺愛され結婚相手に選ばれたら家族の態度が変わった。

佐藤 美奈
恋愛
最愛の母モニカかが病気で生涯を終える。娘の公爵令嬢アイシャは母との約束を守り、あたたかい思いやりの心を持つ子に育った。 そんな中、父ジェラールが再婚する。継母のバーバラは美しい顔をしていますが性格は悪く、娘のルージュも見た目は可愛いですが性格はひどいものでした。 バーバラと義姉は意地のわるそうな薄笑いを浮かべて、アイシャを虐げるようになる。肉親の父も助けてくれなくて実子のアイシャに冷たい視線を向け始める。 逆に継母の連れ子には甘い顔を見せて溺愛ぶりは常軌を逸していた。

姉の婚約者と結婚しました。

黒蜜きな粉
恋愛
花嫁が結婚式の当日に逃亡した。 式場には両家の関係者だけではなく、すでに来賓がやってきている。 今さら式を中止にするとは言えない。 そうだ、花嫁の姉の代わりに妹を結婚させてしまえばいいじゃないか! 姉の代わりに辺境伯家に嫁がされることになったソフィア。 これも貴族として生まれてきた者の務めと割り切って嫁いだが、辺境伯はソフィアに興味を示さない。 それどころか指一本触れてこない。 「嫁いだ以上はなんとしても後継ぎを生まなければ!」 ソフィアは辺境伯に振りむいて貰おうと奮闘する。 2022/4/8 番外編完結

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

処理中です...