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しおりを挟む「アメリア、今日のうちに依頼を終わらせるぞ」
「はい、お母様!」
そんな会話をしながら私達は門に向かう。
そんな時、いきなり声をかけられた。
「アメリア!」
「はい?
…失礼ですが何方でしょうか?」
青髪に青の瞳……レオニード様に似ている気もするが……あの方は私に声をかけることは無いだろう。
つまりは……誰だ?
「なっ……わ、私だ!
レオニードだ!」
「…有り得ませんわ。
レオニード様はあなた程背が高くはありませんもの」
私はその人物の言葉をバッサリと切り捨てた。
確かに雰囲気は似ているが私と同じくらいの背だったのだ。
それなのに私よりも少し背が高くなっている。
「……アメリア、残念だがそれは本当にレオニードだぞ」
「……え…?
あの、失礼な?」
私はあまりの事実に思わず呟いてしまった。
そんな私にお母様はフッと笑って肯定する。
「あぁ、その失礼なレオニード、本人だ」
「あの時はっ……!!
…いえ、何でもありません」
レオニード様は必死に言い訳をしようとしたがすぐに取り下げた。
「…スカーレット様、私もご一緒してもよろしいでしょうか?」
「……………分かった。
ただし、足でまといにはなるな」
「はい、ありがとうございます」
レオニード様はニコリと微笑むと私の隣に立った。
「……レオニード様、婚約については破棄をなされたのですか?」
「何故破棄しなければいけない。
1年、寝ていただけだろう。
それに…お前は領民を守ったんだろう?
貴族としての責を全うしたんだ。
…そんな奴を婚約者にもて、誇る事はしても婚約を破棄する事などあるはずがないだろう」
その考えは、きっと多くの人から反対され、非難もされただろう。
なのにこの1年間、レオニード様はその考えを曲げずにいた……。
その事実がとても嬉しく、なのにどこか苦しく感じた。
「……レオニード様1つ質問をしても?」
「っ…あ、あぁ…」
許可が貰えたため、私は今までずっと気になっていた事について質問をした。
「SSランクの冒険者は1年の間に増えましたか?」
「……は?
あ、いや…増えてはいないが……」
その答えに私はホッとする。
お母様と同じSSランクは私が誰よりも最初に名乗れるようになりたいのだ。
お母様から直接教わっている私がお母様と同じSSランクの冒険者に……。
だからこそ、増えていないと聞きホッとしていたのだ。
「ア、アメリア……。
俺も冒険者に登録したんだ」
「そうなのですか」
意外だった。
レオニード様ならば貴族がそんな事を……なんて言いそうだったからだ。
なのに……。
「あぁ…。
あともう少しでAランクに昇格するんだ」
と、嬉しそうにはにかんでいた。
そんなレオニード様の表情に私も負けじと宣言した。
「ならば私はレオニード様よりも先に昇格しますわ」
「そう簡単に昇格されても困るんだが……」
苦笑混じりだったがそんな表情も他の令嬢達が騒ぐだけあってかカッコイイと思う。
そして勿論、両者の間にある勘違いは解消される事はない。
「アメリア、レオニード、少し急ぐぞ」
「はい、お母様」
「了解した」
お母様とレオニード様が走り出そうとするが私には1つ、心配な事があった。
レオニード様の事だ。
「お母様、レオニード様…追いつけるでしょうか?」
「おい、アメリ…」
「……ついてこい、とは言えないな……。
仕方ない。
少し落とすとしよう」
レオニード様は不満そうだが…私も私で心配なのだ。
昨日起きてからずっと体が重くて仕方ない。
昨日よりは楽になったものの…それでもまだ重いと感じるのだ。
私達は門を出てからすぐに走り出した。
ルピーシア山、そう言われる山の麓へ2体のドラゴン退治のために。
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