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しおりを挟む私はあの後寮へと戻り3回程エデンと依頼について同じ説明をした後、私は自室でぐったりとベットに倒れこんだ。
そして先程来たレオニード様のことを思い出す。
私が戻り先生と先輩に説明してからエデンと自室でゆっくりしていた時、レオニード様が凄い形相で私の部屋に来たのだ。
「アメリア!
私という婚約者がいながら男を連れ込むなど…」
などと言ってきたのだ。
それからレオニード様を宥め説明するのに随分時間と労力を使った。
だが…
「……あんなレオニード様は初めて見ましたわ」
あそこまで怒ったレオニード様を見るのは初めてで凄く戸惑い、怖いと感じた。
そんな感情は試合や戦いの中でしか感じないと思ってきたため恐怖を感じた私自身に戸惑った。
「……私との婚約が嫌ならばあんなにも怒らなくていいはずですのに」
そう。
私と婚約を解消したければあんなに怒る必要はないはずなのだ。
逆に、破棄する理由が出来たと喜んでもいいくらいなのだ。
なのに、何故……。
そう考えれば考える程泥沼にハマっていくように感じた。
「…私は、婚約を破棄しなければなりませんわ。
冒険者となって自由に国をまわるためにも……」
私は1人、そう呟くがやはり、レオニード様の様子が浮かんできてしまいまた思考に陥ってしまう。
そんな考えを振り払うかのように私は剣を片手に中庭へと向かったのであった。
中庭では何人かが剣や槍を振っていてそれぞれ武器に対して様々な思い入れがあるのだと感じさせる。
私も負けてはいられないとばかりに庭の片隅で剣を振り始めた。
私はお母様に言われているメニューを黙々とこなしていく。
最初は素振り200回から強化魔法を継続させながらの素振りを100、そして教えて貰った型をそれぞれ50ずつやっていく。
そして準備運動が終了したところでお母様の動きを元に剣を構えた。
剣も槍も私の体の1部だと思わせるように滑らかで無駄の無い動きを。
そして、剣筋は一筋の線のように…。
踏み込みは深く、相手の死角へと入り込むように体を屈めて。
そして何より、早く。
誰よりも早く、複雑に動く。
そんなお母様の教えを刻みこみ忠実に再現しつつもフェイントを入れていく。
その姿はまさしく『舞姫』であり、『騎士』でもあった。
その剣筋は何よりも美しく、軽やかで……見たもの全てを魅了する程に精錬されていた。
だが、それでも尚、彼女は自分の理想を追い求める。
次の瞬間、誰もが息を飲み、言葉を失った。
「……これでは、遅すぎますわ。
こんなにも体が動かないだなんて……」
その言葉に。
あんなにも綺麗で、精錬された剣を見せておきながらまだ上があるのか、と。
才能の有無でこんなにも変わるものなのか、と。
「おっ、アメリア?
1年でまだ慣れてないだろうけど練習か?」
「あ…ラン先輩。
中々理想に追いつけないので……」
「理想、なぁ……。
壁にぶち当たってんだったら、1度模擬戦でもしてみたらどうだ?」
模擬戦、その言葉に私は目を輝かせた。
それもそのはず。
試合などはマスターとやったものが最後なのだ。
他に相手もいないため仕方ないのではあるが……。
そのため久しぶりとも言える模擬戦に私は目を輝かせた。
そんな私を見てかラン先輩は私に対して提案をした。
「よし!
んじゃ、俺とやるか?」
「よ、よろしいのですか?」
つい顔が緩むのを抑えながらそう尋ねるとラン先輩はあぁ、と笑って肯定した。
「ありがとうございます!」
そして、私とラン先輩は模擬戦専用の広場へと向かうのだが……。
その時、寮内では何人かの者が走り回っていた。
内容は勿論、ラン・クリークとアメリア・ヴェノムの模擬戦についてだ。
そして、それを知った者達は一目見ようと慌てて広場へと向かっていき、結果、二人が広場についた頃には既に観客席がいっぱいになっていたのであった。
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