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ギルドに入ると私は受付嬢に呼び止められた。
「アメリアさん!
マスターからアメリアさんが来たら通すようにと…」
「……強化合宿から戻り次第また来ますので今回は見逃していただけませんか?」
私は笑顔で受付嬢に頼みこむ。
だが、当の受付嬢は困ったように表情を歪めるだけであった。
「……聞こえてるんだけどな、アメリア?」
「…先輩、どの依頼を受けるのでしょうか?」
私は受付嬢から離れ、マスターの声も聞かなかった事にして先輩達の方へと戻る。
だが、ガシッとマスターに肩を掴まれてしまった。
「……アメリア?
ちょっと、個室に移動しようか?」
「丁重にお断りさせて頂きますわ。
マスターのお誘いはろくなことになりませんもの」
私は笑顔で断るがどんどんマスターの力が強くなっていく。
私もマスターも、それぞれ一歩も引かずに笑顔で応対する。
「…その制服、戦闘科の生徒だね?
君達もアメリアと一緒に来てくれるかい?」
「あ、あぁ……」
ラン先輩が頷いてしまった事で私を含め、全員が個室へと通される。
とてつもない敗北感を感じながらも渋々椅子へと座る。
「さて……アメリア。
いきなり本題に入るけど……もう一つ、赤い依頼を受けてくれないかな?」
「お断りさせて頂きます」
私の決断は早かった。
いつもならば内容にもよるというのだが今回は別だ。
マスターから直々になど…嫌な予感しかしない。
「……これともう1つ別の赤い依頼を受けてくれるなら私からも昇格試験の推薦をしよう。
今、ここにスカーレットからの推薦はある。
つまり、だ」
この依頼ともう1つの赤い依頼を受ければSSランクになれる……?
だが何故……。
SSランクになるにはもっと功績が必要なはずだ。
なのに何故、こうも簡単に……。
「一年前…。
その功績はそれほどまでに大きいという事だよ」
「……あれは、私だけではありませんわ。
お母様が殆ど倒していたからこそですもの。
それなのにこのような事は……」
「アメリア、これは君に対してのギルドからのお詫びでもあるんだ。
私からも謝罪させて欲しい。
……アメリア、君の大切な1年を奪ってしまう結果になったこと、申し訳なかった」
私はそんなマスターの謝罪に思わず顔を歪めた。
私は、謝罪なんてして欲しいなどと微塵も思っていなかったから。
ただ、守りたかったというだけだったのだから。
私の力不足のせいでお母様も傷つき、みすみす街を危険に晒してしまったのだから。
「あれは、マスターに謝罪されるような事ではありませんわ。
全ては私の力不足が招いた結果ですもの」
だからこそ私は、以前よりも強くなる事に対して執着が強くなったのだ。
私は、お母様の隣に立って戦いたい。
そうなれば…きっとお母様が傷つけずに済むから。
そうすればきっと、領民を守れるから。
それが私達貴族の役目でもあるのだから。
「兎に角…私は赤い依頼を受けるつもりはありませんわ。
今の私には力不足ですもの。
…マスター、申し訳ありませんわ。
まだ、ちゃんと感覚を取り戻せていないようですし」
「……うん?
え、待って。
え、え?
感覚取り戻してない君に負けたの、僕?」
私はそんなマスターの問いに視線を逸らした。
……マスターは私と同じSランクなのだ。
そんなマスターが私をありえないといったような視線で見つめてくる。
それに、グループの先輩からも同じ視線を投げかけられる。
「アメリアさん、何ランク……?」
「強いとは思っていたが……」
「………あれで、まだ上が?」
わたしが答えないでいるとマスターがおもむろに口を開いた。
「アメリアは僕と同じSランクさ。
それも、現時点で1番SSランクに近い、ね」
折角言わないでおいた事を言われてしまった。
レオニード様はやはり溜息をつくだけであったが他の先輩は絶句していた。
「あぁ、そうだ。
アメリア、来月辺りにスカーレットが王都に滞在するようだよ?
スカーレットにアメリアの事をついうっかり言っちゃうかもしれないな~。
赤い依頼を受けてくれないって口が滑って言っちゃうかもな~」
ニヤニヤしながら口にするマスターに私は青ざめた。
お母様に知られれば……と考えたのだ。
お母様は赤い依頼があれば出来るだけ受けろ、と言っていた。
それが自分より上のランク推奨でなければ。
赤い依頼はそれだけ困難であり、被害を出すものだから、と。
それを受けていないと知られたら私はきっとお母様に怒られるだろう。
それはもう、酷く……。
そして、自分がやる、と言い出すだろう。
「お母様に知られたらどうなるか……。
絶対に無理ですわ……。
あのお母様を……だなんて。
私の身が……命が持ちませんもの……」
私がガクガクと震えているとグループの先輩方が顔を引き攣らせた。
『Sランクのアメリアでさえ、こんな怯えるなんて一体どんな人なんだ……』
と。
無駄に恐怖心を埋め込む事になったのだった。
「アメリア?
どうしたんだ?
そんなに怯えるなんて……。
いつもなら喜ぶだろうに……」
「…レオニード様、考えても見てください。
お母様が一緒にいるだけで英雄扱いですわよ?
それに、騎士団への勧誘や他の貴族の方からもお誘いが……。
もしくは、お母様が邪魔だからと言って暗殺者や闇ギルドの者まで仕向けられたりと……。
その全てを片付けるために私とお母様、お父様の3人で片っ端から証拠を集め、騎士団に突き出さないといけないのですよ?
…前回、夜会に参加するために訪れた時など.観光の時間は全て裁判と証拠集めで終わりましたわ。
それがまたあるとなると……」
あの時は大変だった。
夜会ではお母様は武芸の関係者に師になって欲しいと頼まれそれを片っ端から断り…それを不相応にも恨み刺客を放ってきたり……。
その証拠を集めるために王都内を走り回ったり……。
また他の夜会では陛下に挨拶した際、騎士へと勧誘されその余りのウザさにお母様の機嫌が悪くなり夜から魔物討伐へ向かったり……。
また連日の夜会でのストレス発散も兼ねギルドに溜まった赤い依頼を全て消費したり……。
「…あぁ……確かにそれは……」
「赤い依頼の事も伝えられるとなるとお母様と合同で受ける事になりますが…大抵の場合、騎士団からの勧誘で足止めをくらいお母様の機嫌が悪くなりやりすぎますのよ……。
それで何度周りの建物を壊し、穴を作ったことか……」
昔.1度だけあったがお母様の機嫌が急激に悪くなり周りの温度まで下がったのを私は決して忘れないだろう。
あの時の恐怖といったら……。
「……何となく分かる気がする……」
「アメリアさん!
マスターからアメリアさんが来たら通すようにと…」
「……強化合宿から戻り次第また来ますので今回は見逃していただけませんか?」
私は笑顔で受付嬢に頼みこむ。
だが、当の受付嬢は困ったように表情を歪めるだけであった。
「……聞こえてるんだけどな、アメリア?」
「…先輩、どの依頼を受けるのでしょうか?」
私は受付嬢から離れ、マスターの声も聞かなかった事にして先輩達の方へと戻る。
だが、ガシッとマスターに肩を掴まれてしまった。
「……アメリア?
ちょっと、個室に移動しようか?」
「丁重にお断りさせて頂きますわ。
マスターのお誘いはろくなことになりませんもの」
私は笑顔で断るがどんどんマスターの力が強くなっていく。
私もマスターも、それぞれ一歩も引かずに笑顔で応対する。
「…その制服、戦闘科の生徒だね?
君達もアメリアと一緒に来てくれるかい?」
「あ、あぁ……」
ラン先輩が頷いてしまった事で私を含め、全員が個室へと通される。
とてつもない敗北感を感じながらも渋々椅子へと座る。
「さて……アメリア。
いきなり本題に入るけど……もう一つ、赤い依頼を受けてくれないかな?」
「お断りさせて頂きます」
私の決断は早かった。
いつもならば内容にもよるというのだが今回は別だ。
マスターから直々になど…嫌な予感しかしない。
「……これともう1つ別の赤い依頼を受けてくれるなら私からも昇格試験の推薦をしよう。
今、ここにスカーレットからの推薦はある。
つまり、だ」
この依頼ともう1つの赤い依頼を受ければSSランクになれる……?
だが何故……。
SSランクになるにはもっと功績が必要なはずだ。
なのに何故、こうも簡単に……。
「一年前…。
その功績はそれほどまでに大きいという事だよ」
「……あれは、私だけではありませんわ。
お母様が殆ど倒していたからこそですもの。
それなのにこのような事は……」
「アメリア、これは君に対してのギルドからのお詫びでもあるんだ。
私からも謝罪させて欲しい。
……アメリア、君の大切な1年を奪ってしまう結果になったこと、申し訳なかった」
私はそんなマスターの謝罪に思わず顔を歪めた。
私は、謝罪なんてして欲しいなどと微塵も思っていなかったから。
ただ、守りたかったというだけだったのだから。
私の力不足のせいでお母様も傷つき、みすみす街を危険に晒してしまったのだから。
「あれは、マスターに謝罪されるような事ではありませんわ。
全ては私の力不足が招いた結果ですもの」
だからこそ私は、以前よりも強くなる事に対して執着が強くなったのだ。
私は、お母様の隣に立って戦いたい。
そうなれば…きっとお母様が傷つけずに済むから。
そうすればきっと、領民を守れるから。
それが私達貴族の役目でもあるのだから。
「兎に角…私は赤い依頼を受けるつもりはありませんわ。
今の私には力不足ですもの。
…マスター、申し訳ありませんわ。
まだ、ちゃんと感覚を取り戻せていないようですし」
「……うん?
え、待って。
え、え?
感覚取り戻してない君に負けたの、僕?」
私はそんなマスターの問いに視線を逸らした。
……マスターは私と同じSランクなのだ。
そんなマスターが私をありえないといったような視線で見つめてくる。
それに、グループの先輩からも同じ視線を投げかけられる。
「アメリアさん、何ランク……?」
「強いとは思っていたが……」
「………あれで、まだ上が?」
わたしが答えないでいるとマスターがおもむろに口を開いた。
「アメリアは僕と同じSランクさ。
それも、現時点で1番SSランクに近い、ね」
折角言わないでおいた事を言われてしまった。
レオニード様はやはり溜息をつくだけであったが他の先輩は絶句していた。
「あぁ、そうだ。
アメリア、来月辺りにスカーレットが王都に滞在するようだよ?
スカーレットにアメリアの事をついうっかり言っちゃうかもしれないな~。
赤い依頼を受けてくれないって口が滑って言っちゃうかもな~」
ニヤニヤしながら口にするマスターに私は青ざめた。
お母様に知られれば……と考えたのだ。
お母様は赤い依頼があれば出来るだけ受けろ、と言っていた。
それが自分より上のランク推奨でなければ。
赤い依頼はそれだけ困難であり、被害を出すものだから、と。
それを受けていないと知られたら私はきっとお母様に怒られるだろう。
それはもう、酷く……。
そして、自分がやる、と言い出すだろう。
「お母様に知られたらどうなるか……。
絶対に無理ですわ……。
あのお母様を……だなんて。
私の身が……命が持ちませんもの……」
私がガクガクと震えているとグループの先輩方が顔を引き攣らせた。
『Sランクのアメリアでさえ、こんな怯えるなんて一体どんな人なんだ……』
と。
無駄に恐怖心を埋め込む事になったのだった。
「アメリア?
どうしたんだ?
そんなに怯えるなんて……。
いつもなら喜ぶだろうに……」
「…レオニード様、考えても見てください。
お母様が一緒にいるだけで英雄扱いですわよ?
それに、騎士団への勧誘や他の貴族の方からもお誘いが……。
もしくは、お母様が邪魔だからと言って暗殺者や闇ギルドの者まで仕向けられたりと……。
その全てを片付けるために私とお母様、お父様の3人で片っ端から証拠を集め、騎士団に突き出さないといけないのですよ?
…前回、夜会に参加するために訪れた時など.観光の時間は全て裁判と証拠集めで終わりましたわ。
それがまたあるとなると……」
あの時は大変だった。
夜会ではお母様は武芸の関係者に師になって欲しいと頼まれそれを片っ端から断り…それを不相応にも恨み刺客を放ってきたり……。
その証拠を集めるために王都内を走り回ったり……。
また他の夜会では陛下に挨拶した際、騎士へと勧誘されその余りのウザさにお母様の機嫌が悪くなり夜から魔物討伐へ向かったり……。
また連日の夜会でのストレス発散も兼ねギルドに溜まった赤い依頼を全て消費したり……。
「…あぁ……確かにそれは……」
「赤い依頼の事も伝えられるとなるとお母様と合同で受ける事になりますが…大抵の場合、騎士団からの勧誘で足止めをくらいお母様の機嫌が悪くなりやりすぎますのよ……。
それで何度周りの建物を壊し、穴を作ったことか……」
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