竜使いの伯爵令嬢は婚約破棄して冒険者として暮らしたい

紗砂

文字の大きさ
30 / 69

29

しおりを挟む


王都の外へ出るといつもの様にエデンとリアンにもとの姿へと戻ってもらう。
すると、レオニード様も含め、全員がその大きさに感嘆した。
そんな私達にリアンとエデンは乗れという様にしゃがみこんだ。
私はそれに頷くとエデンの背に飛び乗り先輩達を促す。


全員が乗ったのを確認してから私は2頭へと合図を出し、目的の砂漠へと進み出した。


「アメリア、お前異常だな…」


ラン先輩にいきなり失礼な事を言われた。


「……私は普通ですわよ?」


そう答えるものの次には断言された。
「いや、お前は完っ全に!
異常だ!」
と。


「普通なら、その歳でSランクにはならねぇし、竜種との契約も結んでねぇよ!
しかも2頭の、古竜や銀竜とは!」

「それは……勝手に契約されていたんですわ……」

「いや、もうその時点で普通じゃねぇだろ」


普通ではない、その言葉に私は何も言えなくなる。
だが、すぐに考えを改めた。

……普通ではないのだからこそ、SSランクになれるのではないか、と。
ならば褒め言葉ではないか、と逆に機嫌が良くなった私だった。

………何事もポジティブに考えるのはいいことだよね?


『主よ、そろそろだ。
準備はよいな?』

「えぇ」


そして、エデンは急降下を始めた。


「エ、エデン!?
もっと緩やかに降下して欲しいのですが…っ!?」

『む……?
何故だ。
この方が面白いではないか』


そのエデンの声はいつもよりも浮かれているという事が分かる声であった。
その声に私は理解する。
即ち


『あぁ、これ何を言っても無駄ですわ…』


と。
私は半場諦めてその風景を楽しむ事にした。


「アメリアァァァ!?」

「ヒャッホーイ!!」


前者はレオニード様、後者はラン先輩だ。
ラン先輩が異様にテンションが高いのはエデンの同類だからなのだろう。

そしてようやく地に降りると私はホッとため息をつく。
そして帰ったらエデンにきつくいわなければいけないな、と思うと依頼へと集中した。


「トール、頼むぜ」

「はい、頑張らせてもらいます。
最初に、ですが…個人の力の確認をしておきたいので最初は1人1匹ずつ、順番にしてください
危険そうなら他の人が助けに入るという感じでお願いします」

「おう!
じゃあ、トール、レオニード、ラナス、ロイド、俺、アメリアの順でやるぞ!
トールの補佐はラナスに頼むぜ」


私達はそれぞれ返事を返すとワームの発現場所に向かって移動を始めた。


「…斜め右、推定1km先にワームの群がありますわ。
数は……約40、でしょうか?
1体おびき寄せせますわ」

「……何で分かるんだよ…」


私は首を傾げ、その方法を答える。


「魔力を広げているだけですから意外と簡単に出来ますわよ?」

「出来ねぇよ!?」「出来ないからな!」「アメリアがおかしいだけだ!」
「…………無理」「出来ません」


すると、全員一致で否定された。
おかしいのは私ではなく皆の方だと思うのだが……と思う。
何故ならお母様もお父様も普通に使っていたからだ。
少なくともトール先輩も覚えた方がいいと思うが。
便利だし……。


「あら……申し訳ありませんが、2体きてしまったようですわ」


私がそう口にした瞬間、地の底からワームが2体、飛び出してくる。


「……………1体は、やる……」


ラナス先輩はすぐに弓を構えて、ワームの脳天に向けて放った。
ラナス先輩の放った矢は見事、ワームの頭に刺さり、そのまま1体は倒れてしまう。
そしてトール先輩はというと……。

一本のナイフを構えていた。


『オリジナル魔法-拡大魔法-延長-待機』


どうやらトール先輩もオリジナル魔法を持っているようだ。
そして、トール先輩はそのまま駆け出すとワームの5m程前で飛び上がった。


『待機解除-発動』


ナイフはみるみるうちに伸び、ワームの頭上まで伸びたところで止まる。
そして、トール先輩は大剣となったナイフを振り上げた。
そこでワームが真っ二つに切り裂かれ終了した。
……何とも呆気ない戦いだった。


「……普通の強くねぇか?」

「そうでもありません。
拡大魔法は結構魔力を使う事になるのでそうそう使えるものでもないので……」


トール先輩は苦笑しながら欠点を口にするとラン先輩は納得したように次の獲物を探し始めた。
だが、その頃には既に魔法を使い1体ずつ隔離しているため私はワームを1体放出する。


「次、来ます」

「おう!
んじゃ、次はレオニードだな。
頑張れよ!」

「はい、出来る範囲でやってみます…!」


レオニード様はワームが下にいる事に気づいたのかその場から離れた。
そしてその瞬間、ワームはレオニード様のいた場所から出てくる。
だがレオニード様もBランクだ。
慌てずに対処し、簡単に倒してしまった。
そしてそれからラナス先輩は先程やったため飛ばしてロイド先輩、ラン先輩が倒し終わり私の番になった。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

答えられません、国家機密ですから

ととせ
恋愛
フェルディ男爵は「国家機密」を継承する特別な家だ。その後継であるジェシカは、伯爵邸のガゼボで令息セイルと向き合っていた。彼はジェシカを愛してると言うが、本当に欲しているのは「国家機密」であるのは明白。全てに疲れ果てていたジェシカは、一つの決断を彼に迫る。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

敗戦国の元王子へ 〜私を追放したせいで貴国は我が帝国に負けました。私はもう「敵国の皇后」ですので、頭が高いのではないでしょうか?〜

六角
恋愛
「可愛げがないから婚約破棄だ」 王国の公爵令嬢コーデリアは、その有能さゆえに「鉄の女」と疎まれ、無邪気な聖女を選んだ王太子によって国外追放された。 極寒の国境で凍える彼女を拾ったのは、敵対する帝国の「氷の皇帝」ジークハルト。 「私が求めていたのは、その頭脳だ」 皇帝は彼女の才能を高く評価し、なんと皇后として迎え入れた! コーデリアは得意の「物流管理」と「実務能力」で帝国を黄金時代へと導き、氷の皇帝から極上の溺愛を受けることに。 一方、彼女を失った王国はインフラが崩壊し、経済が破綻。焦った元婚約者は戦争を仕掛けてくるが、コーデリアの完璧な策の前に為す術なく敗北する。 和平交渉の席、泥まみれで土下座する元王子に対し、美しき皇后は冷ややかに言い放つ。 「頭が高いのではないでしょうか? 私はもう、貴国を支配する帝国の皇后ですので」 これは、捨てられた有能令嬢が、最強のパートナーと共に元祖国を「実務」で叩き潰し、世界一幸せになるまでの爽快な大逆転劇。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

放蕩な血

イシュタル
恋愛
王の婚約者として、華やかな未来を約束されていたシンシア・エルノワール侯爵令嬢。 だが、婚約破棄、娼館への転落、そして愛妾としての復帰──彼女の人生は、王の陰謀と愛に翻弄され続けた。 冷徹と名高い若き王、クラウド・ヴァルレイン。 その胸に秘められていたのは、ただ1人の女性への執着と、誰にも明かせぬ深い孤独。 「君が僕を“愛してる”と一言くれれば、この世のすべてが手に入る」 過去の罪、失われた記憶、そして命を懸けた選択。 光る蝶が導く真実の先で、ふたりが選んだのは、傷を抱えたまま愛し合う未来だった。 ⚠️この物語はフィクションです。やや強引なシーンがあります。本作はAIの生成した文章を一部使用しています。

処理中です...