31 / 69
30
しおりを挟むついに私の番が回ってきた。
そのためワームを10体ほど残し残りの30体程呼び寄せてみた。
すると、地の底からうじゃうじゃと出てきて気持ち悪く多少、後悔をしたもののすぐに作業へと取り掛かる。
これくらいの数が多いだけの敵であれば魔法を使う必要はない。
そう判断し、剣のみで黙々と討伐を続けていく。
そして半分程倒した辺りでトール先輩から声がかけられる。
「アメリアさん、出来たら何か魔法使ってください!
魔法の精度も確認したいので…」
「分かりましたわ!
少し離れていてくださるとありがたいのですが……!」
私は声を上げるとワームから剣を抜き、バックステップで後ろへと下がる。
そして、剣を仕舞うと私は魔法を唱えた。
『属性魔法-風-水-剣-舞え』
風と水による剣がいくつも形成されそのままワームの群へと舞うように飛んでいく。
そして、全て倒し終わったところで魔法は解除されワームの死体だけが地に残った。
「この様な感じで宜しいでしょうか?」
「……魔力は大丈夫なのか?」
重そうな口を開いたのはロイド先輩だった。
あまりロイド先輩とは話していなかったので少しだけ驚いたがすぐに気持ちを切り替え笑顔になった。
「御心配ありがとうございます、ロイド先輩。
ですが、問題ありませんわ。
魔力の消費を抑えるために威力も規模も下げましたので」
「……………あれで?」
何故か驚かれているようだ。
……2属性を使ったからだろうか?
そんな先輩達を置いてレオニード様は私に問いかけてきた。
「アメリア、どうせ他にも残しているんだろう?」
「勿論ですわ。
残り10匹程…いえ、正確には17匹ですが…呼び寄せますの?」
私は魔法を弄りながら問い返すとロイド先輩は少しうんざりした様子で呟いた。
「…まだいたのか……」
「トール、どうする?」
戦術科のトール先輩に指示を仰ぐことにしたようだ。
ラン先輩もラナス先輩も先輩後輩関係なく考える人だからこそだろう。
トール先輩は少し考えてから指示を出した。
「……当初の目的であった連携の練習を少しやってみます。
前衛は、ロイ、アメリアさん、ラン先輩がお願いします。
中衛にはレオニードさんと僕が。
後衛はラナス先輩の担当にします。
レオニードさんは魔法で援護しつつ、もらしがあれば対処をしてください。
ラナス先輩は遠距離からの援護をお願いします。
前衛の3人ですが…基本はラン先輩とアメリアさんに戦って貰うことになります。
ロイは緊急時の対応という事で体力を残しておいて貰いたいので」
私達は自分の役割を理解すると、頷き、ワームの群の到着を待つ。
だが、私はチラッと片手に握った剣を見た。
今の剣は安物のためだ。
前に使っていた剣は修理とメンテナンスのため手元に無かったので仕方なく代わりとなる剣を購入したのだが……そろそろ限界が近いらしく軋んでいる様な感じがするのだ。
補強も既にかけてあるためこれ以上の魔法はかけられない。
かけられても時間がかかりすぎるため私は諦めワームの群の到着を待つ。
それから少ししてワームの群が到着した。
土から頭だか尻尾だかをだし蛇の大軍のようにしているその姿は何度見ても気持ち悪い。
そんな感情を押し殺し援護を受けつつラン先輩と共にワーム達を切り捨て、薙ぎ払っていく。
全て倒し終わった、そう思った時だった。
先程切り捨てたはずのワームの何匹かが異様な回復を見せた。
「なっ……!?」
ラン先輩の驚いた声が聞こえる。
そしてその回復力を見たエデンが叫ぶ。
「……主!
分かってはいると思うが……」
「ウィルム、でしょう?」
「うむ」
ウィルムはワームの上位種と言われてはいる魔物だ。
外見はワームと同じようにしか見えないのだが、その驚異的なまでの回復力から冒険者の間では恐れられている。
ある意味ではゾンビやグールよりも厄介だと言われている程だ。
その回復力からワームが通常、個体ではC~Bランクなのに対し、ウィルムはAランク以上、Sランク以下と言われている。
そしてそんな奴が2体。
「アメリア、俺が左の奴をやる!
お前は右をやれ!」
「はい!」
元気よく返事をしたものの私は正直、分が悪いと感じていた。
以前ならば喜んで行っただろうが今は剣が使えない状態になっていて、 しかも本調子ではない。
危険だった。
だが、ここで諦める訳にはいかない、その一心で私はウィルムに切りかかる。
「っ……硬くなっていますわ…!」
その皮膚は先程切り捨てた時よりも数倍硬くなっていて私の剣があまり効いていないように感じた。
グルガァァ!
ウィルムが襲いかかり、私がその攻撃を剣で弾いた時だった。
剣が、ポキリと、いとも容易く折れてしまった。
宙に舞う折れた剣の片割れが落ちていくのが不自然なまでにゆっくりに感じた。
次の瞬間、わたしの口元には笑みがうかんでいた。
「ふ、ふふっ……ふふふっ……。
いいですわ。
私の剣を折った事、後悔させて差し上げますの」
私は俯きながらも力強く、怒りのこもった声を出した。
『オリジナル魔法-銀-結晶型-発動』
結晶型。
それは、私のオリジナル魔法、銀魔法で1番凶悪であり、1番、使うことのない魔法であった。
そんな魔法を何故、今使ったのか。
それは、私が軽くキレていたからだ。
そしてこの魔法の嫌なところはじわじわと銀がまとわりつき、固まっていくところ。
銀による結晶化。
それがこの魔法だ。
何より、この魔法ではかけられた者の自我が残る。
そして緩やかに死を迎えていく。
だが、この結晶が剥がれる事は私がこの魔法を解除しない限り決してない。
つまり、だ。
自分の身体が段々と結晶と化していくのを見ながらも決して逃げられず、簡単に死ぬ事も許されない。
ウィルムという魔物であれば長い時間をこの結晶の中で過ごしていく事になるのだ。
だが、私にも慈悲はある。
今回はちゃんと臓器まで結晶になるようにしてあげた。
そうすることにより早く死を迎えることが出来るのだ。
「ふふっ……私の剣を折った罰ですわ。
そこで一生、反省していなさい」
0
あなたにおすすめの小説
「お前を愛することはない」と言われたお飾りの妻ですが、何か?
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することはない!」「そんな事を言うために女性の寝室に押し入ったのですか? もう寝るつもりで化粧を落として髪をほどいて寝着に着替えてるのに! 最っ低!」
仕事大好き女が「お飾りの妻最高!」と恋愛感情無しで結婚したらこうなるよね、というお話。
王太子に理不尽に婚約破棄されたので辺境を改革したら、王都に戻ってきてくれと言われました
水上
恋愛
【全18話完結】
「君は中身まで腐っている」と婚約破棄されたエリアナ。
そんな彼女は成り行きで辺境へ嫁ぐことに。
自身の知識と技術で辺境を改革するエリアナ。
そんな彼女を、白い結婚のはずなのに「膝枕は合理的だ」と甘やかす夫。
一方、エリアナを追放した王都では、彼女の不在の影響が出始めて……。
「不吉な黒」と捨てられた令嬢、漆黒の竜を「痛いの飛んでいけー!」で完治させてしまう
ムラサメ
恋愛
漆黒の髪と瞳。ただそれだけの理由で「不吉なゴミ」と虐げられてきた公爵令嬢ミア。
死の森に捨てられた彼女が出会ったのは、呪いに侵され、最期を待つ最強の黒竜と、その相棒である隣国の竜騎士ゼノだった。
しかし、ミアが無邪気に放った「おまじない」は、伝説の浄化魔法となって世界を塗り替える。
向こう見ずな天才騎士に拾われたミアは、隣国で「女神」として崇められ、徹底的に甘やかされることに。
一方、浄化の源を失った王国は、みるみるうちに泥沼へと沈んでいき……?
前世で追放された王女は、腹黒幼馴染王子から逃げられない
ria_alphapolis
恋愛
前世、王宮を追放された王女エリシアは、
幼馴染である王太子ルシアンに見捨てられた――
そう思ったまま、静かに命を落とした。
そして目を覚ますと、なぜか追放される前の日。
人生、まさかの二周目である。
「今度こそ関わらない。目立たず、静かに生きる」
そう決意したはずなのに、前世では冷酷無比だった幼馴染王子の様子がおかしい。
距離、近い。
護衛、多い。
視線、重い。
挙げ句の果てに告げられたのは、彼との政略結婚。
しかもそれが――彼自身の手で仕組まれたものだと知ってしまう。
どうやらこの幼馴染王子、
前世で何かを盛大に後悔したらしく、
二度目の人生では王女を逃がす気が一切ない。
「愛されていなかった」と思い込む王女と、
「二度と手放さない」と決めた腹黒王子の、
少し物騒で、わりと甘い執着政略結婚ラブストーリー。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
「無能」と捨てられた少女は、神の愛し子だった――。 凍てつく北の地で始まる、聖獣たちと冷徹公爵による「世界一過保護な」逆転生活。
秦江湖
恋愛
魔法適性「鑑定」がすべてを決める、黄金の国ルミナリス。 名門ベルグラード公爵家の末娘アデリーンは、十五歳の鑑定式で、前代未聞の『鑑定不能(黒の沈黙)』を叩き出してしまう。
「我が家の恥さらしめ。二度とその顔を見せるな」
第一王子からは婚約破棄を突きつけられ、最愛の三人の兄たちからも冷酷な言葉とともに、極寒の地「ノースガル公国」へ追放を言い渡されたアデリーン。
着の身着のままで雪原に放り出された彼女が出会ったのは、一匹の衰弱した仔狼――それは、人間には決して懐かないはずの『伝説の聖獣』だった。
「鑑定不能」の正体は、魔力ゼロなどではなく、聖獣と心を通わせる唯一の力『調律師』の証。
行き倒れたアデリーンを救ったのは、誰もが恐れる氷の公爵ゼノスで……。
「こんなに尊い存在を捨てるとは、黄金の国の連中は正気か?」
「聖獣も、私も……お前を離すつもりはない」
氷の公爵に拾われ、聖獣たちに囲まれ、これまでの不遇が嘘のような「極上溺愛」を享受するアデリーン。
一方で、彼女を捨てた黄金の国は、聖獣の加護を失い崩壊の危機に直面していた。
慌ててアデリーンを連れ戻そうとする身勝手な王族たち。
しかし、彼らの前には「復讐」の準備を終えたアデリーンの兄たちが立ちはだかる。
「遅いよ。僕らのかわいい妹を泣かせた罪、一生かけて償ってもらうからね」
これは、すべてを失った少女が、真の居場所と愛を見つけるまでの物語。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
偽りの婚約者だった公爵令嬢、婚約破棄されてから本物の溺愛をされるまで
nacat
恋愛
平民出身ながら伯爵家に養子に入ったリリアーナは、王太子の婚約者“代役”として選ばれた。
王家の都合で結ばれたその関係に、彼女は決して本気にならないはずだった。
だが、王太子が本命の公爵令嬢を選んで婚約破棄を告げた瞬間、リリアーナは静かに微笑んだ――。
「お幸せに。でも、“代役”の私を侮ったこと、きっと後悔させてあげますわ」
婚約破棄後、彼女は外交の任務で隣国へ。
そこで出会った冷徹な将軍との出会いが、すべてを変えていく。
“ざまぁ”と“溺愛”がスパイラルのように絡み合う、痛快で甘くて尊い恋愛劇。
///////
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる