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レオニード様は奥から2振りの剣を持って戻ってきた。
「アメリア、ほら。
お前のために作られたんだ」
「……え?
レオニード様が……ですの…?
なぜ……」
その剣は白銀色に輝いており、柄には薔薇が精巧に彫られていた。
その美しさとレオニード様の言葉に私は戸惑っていた。
レオニード様はずっと私の事が嫌いだと思っていた。
なのに、私のためと言って剣を作らせるなど……これではまるで、レオニード様が私を………。
「…これでも婚約者だからな。
とにかく受け取れ」
「あ、ありがとうございます……」
私は恐る恐るレオニード様から剣を受け取るとその剣の重さに私は感動した。
「嬢ちゃん、そっちの薔薇が彫ってある剣が『白空』でもう片方が『白夜』だ。
白夜の方は銀で出来てるぜ」
私はその言葉にハッとレオニード様を見た。
すると、レオニード様は優しく微笑んだ。
「あ……剣を打っていただき、ありがとうございました」
私はレオニード様の視線に耐えられなくなり、話を変えようと試みた。
「おうよ!
だが、嬢ちゃんが剣って……飾っておくとか言わねぇよな?」
その声は少し棘の混じったように感じた。
だが、それも仕方ないだろう。
職人にとって、自分の作った武器を使われるというのは誇りなのだから。
「いえ、そのような事は……。
明日から強化合宿もありますし、赤い依頼も受けなければなりませんもの。
こんなにも素晴らしい剣を飾っておくだなんて出来ませんわ」
私が肩を竦め、冗談交じりに言うとターナイトは口元を引き上げた。
「嬢ちゃん、分かってんじゃねぇか。
白空と白夜を大切にしてやってくれよ?
それと…強化合宿って…嬢ちゃんは戦闘科なのか?
しかも赤い依頼っつぅんだったらAランク以上の冒険者だろ?」
「えぇ、まぁ……」
正直に言うのは何処か気恥しくて私はあやふやな返事を返す。
ターナイトは私の手にある剣の片方を見て話し出した。
「そいつ…白夜は元々、白銀騎士に渡すために作った剣なんだよ」
その言葉に私の目は見開かれた。
白銀騎士、それは私の二つ名であり、他にもいるのか、という疑問。
それとも、元々私に渡すつもりだったのか、という驚きからだった。
「俺は、一年前、魔物大混乱の時、あの地に、ラインベルトにいたんだ」
ラインベルトはヴェノム伯爵領の治める街であり、ヴェノム伯爵領の中では1番賑やかで活気のある街だ。
……そして、一年前、私とお母様が戦った地だ。
「俺はあの時、白銀に助けられたんだ。
だからそのお礼として白夜を渡すつもりだったんだ…。
だが、白銀はヴェノム伯爵のご令嬢だった。
貴族なんだ、俺が相手にされるはずがねぇ。
だから…嬢ちゃんが使ってくれ」
「……ありがとうございます。
私のために打ってくださったんですのね」
戸惑うターナイトにレオニード様は苦笑をもらした。
「……アメリア、名前」
レオニード様の一言で私は家名を名乗っていないことを思い出す。
「あら……失礼致しましたわ。
では、改めまして……。
アメリア・ヴェノムと申します」
「は……?
え……?
ヴェノム……?
は、白銀……?
ま、マジか……」
その戸惑い様が面白く、ついつい笑ってしまう。
そしてターナイトは急にかしこまったような口調になった。
「あ、ありがとうございます!
命を助けていただいた事……」
「普通に話してください。
それに私はお母様についていただけですもの。
それも私は貴族ですから務めの一環でもありますわ」
「それでも、白銀が救った事には変わりねぇ…」
ターナイトは随分と強情な様でどうしても譲る気はないようだ。
だが、認められている様な気がして少し嬉しくもある。
「主、時間だ」
「あら……もうそんな時間ですの……?」
「んぁ?
どうかしたのか?」
「あぁ、これから学園に集合となっているんだ」
説明して失礼することにするとエデンがふむ……と口を挟んできた。
「主よ、時間まであと10分程度だぞ」
「はい!?」
「は!?」
私達は驚いてエデンを見るが当の本人は澄ました顔をしている。
そんなエデンに私は頭を抱えたくなるのをグッとこらえて相談…いや、決定事項を告げた。
「レオニード様、緊急事態ですわ。
私が銀で強化を施しますわ」
「あぁ、さすがに遅れるわけにはいかないからな……」
さすがのレオニード様も了承をしてくれたので私は魔力を練り始める。
『オリジナル魔法-銀-脚力強化-発動』
私とレオニード様に魔法をかけるとそのまま剣を持ち、ターナイトにお礼を告げてから店を飛び出し、屋根の上から全速力で寮へと戻るのであった。
「アメリア、ほら。
お前のために作られたんだ」
「……え?
レオニード様が……ですの…?
なぜ……」
その剣は白銀色に輝いており、柄には薔薇が精巧に彫られていた。
その美しさとレオニード様の言葉に私は戸惑っていた。
レオニード様はずっと私の事が嫌いだと思っていた。
なのに、私のためと言って剣を作らせるなど……これではまるで、レオニード様が私を………。
「…これでも婚約者だからな。
とにかく受け取れ」
「あ、ありがとうございます……」
私は恐る恐るレオニード様から剣を受け取るとその剣の重さに私は感動した。
「嬢ちゃん、そっちの薔薇が彫ってある剣が『白空』でもう片方が『白夜』だ。
白夜の方は銀で出来てるぜ」
私はその言葉にハッとレオニード様を見た。
すると、レオニード様は優しく微笑んだ。
「あ……剣を打っていただき、ありがとうございました」
私はレオニード様の視線に耐えられなくなり、話を変えようと試みた。
「おうよ!
だが、嬢ちゃんが剣って……飾っておくとか言わねぇよな?」
その声は少し棘の混じったように感じた。
だが、それも仕方ないだろう。
職人にとって、自分の作った武器を使われるというのは誇りなのだから。
「いえ、そのような事は……。
明日から強化合宿もありますし、赤い依頼も受けなければなりませんもの。
こんなにも素晴らしい剣を飾っておくだなんて出来ませんわ」
私が肩を竦め、冗談交じりに言うとターナイトは口元を引き上げた。
「嬢ちゃん、分かってんじゃねぇか。
白空と白夜を大切にしてやってくれよ?
それと…強化合宿って…嬢ちゃんは戦闘科なのか?
しかも赤い依頼っつぅんだったらAランク以上の冒険者だろ?」
「えぇ、まぁ……」
正直に言うのは何処か気恥しくて私はあやふやな返事を返す。
ターナイトは私の手にある剣の片方を見て話し出した。
「そいつ…白夜は元々、白銀騎士に渡すために作った剣なんだよ」
その言葉に私の目は見開かれた。
白銀騎士、それは私の二つ名であり、他にもいるのか、という疑問。
それとも、元々私に渡すつもりだったのか、という驚きからだった。
「俺は、一年前、魔物大混乱の時、あの地に、ラインベルトにいたんだ」
ラインベルトはヴェノム伯爵領の治める街であり、ヴェノム伯爵領の中では1番賑やかで活気のある街だ。
……そして、一年前、私とお母様が戦った地だ。
「俺はあの時、白銀に助けられたんだ。
だからそのお礼として白夜を渡すつもりだったんだ…。
だが、白銀はヴェノム伯爵のご令嬢だった。
貴族なんだ、俺が相手にされるはずがねぇ。
だから…嬢ちゃんが使ってくれ」
「……ありがとうございます。
私のために打ってくださったんですのね」
戸惑うターナイトにレオニード様は苦笑をもらした。
「……アメリア、名前」
レオニード様の一言で私は家名を名乗っていないことを思い出す。
「あら……失礼致しましたわ。
では、改めまして……。
アメリア・ヴェノムと申します」
「は……?
え……?
ヴェノム……?
は、白銀……?
ま、マジか……」
その戸惑い様が面白く、ついつい笑ってしまう。
そしてターナイトは急にかしこまったような口調になった。
「あ、ありがとうございます!
命を助けていただいた事……」
「普通に話してください。
それに私はお母様についていただけですもの。
それも私は貴族ですから務めの一環でもありますわ」
「それでも、白銀が救った事には変わりねぇ…」
ターナイトは随分と強情な様でどうしても譲る気はないようだ。
だが、認められている様な気がして少し嬉しくもある。
「主、時間だ」
「あら……もうそんな時間ですの……?」
「んぁ?
どうかしたのか?」
「あぁ、これから学園に集合となっているんだ」
説明して失礼することにするとエデンがふむ……と口を挟んできた。
「主よ、時間まであと10分程度だぞ」
「はい!?」
「は!?」
私達は驚いてエデンを見るが当の本人は澄ました顔をしている。
そんなエデンに私は頭を抱えたくなるのをグッとこらえて相談…いや、決定事項を告げた。
「レオニード様、緊急事態ですわ。
私が銀で強化を施しますわ」
「あぁ、さすがに遅れるわけにはいかないからな……」
さすがのレオニード様も了承をしてくれたので私は魔力を練り始める。
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私とレオニード様に魔法をかけるとそのまま剣を持ち、ターナイトにお礼を告げてから店を飛び出し、屋根の上から全速力で寮へと戻るのであった。
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