36 / 69
35
しおりを挟む「教官、これでよろしいでしょうか?」
私は思い出したかの様に振り向き尋ねると教官は顔を引き攣らせながらも頷いた。
「エデン、リアン、ありがとうございますわ」
『ガァ!』
『主の望みだからな』
リアンはさも当然だという様に鳴いたが、エデンは素直ではなく照れくさそうに顔を背けた。
そんなエデンに思わず笑を浮かべる。
「…次は食料の調達だ。
グループで協力し、言ってこい。
念の為冒険者を付けておく」
そう言われ、私達は教官のあとに続き緑のテントに行く。
そして教官はそのまま中に入る。
私達も一緒に入ると結構な数の冒険者がいた。
下のクラスは他の場所での強化合宿のためここには60人くらいだろう。
そしてその中には運良く…というかマスターが仕組んだのだろうが知り合いもいた。
そしてその中の1人が私に飛びついてくる。
避けようとも思ったが後ろにはレオニード様、隣にはエデンと先輩がいるため避けようにも場所がなかった。
「アメリア!
あぁ、もう可愛い!!
連れ帰りたい!
ね、ね、リーダーいいですよね!?」
言わずともかな…サニアだった。
そしてそんなサニアを私から引き離してくれたのはルガートさんだった。
「サニアが済まねぇな……。
アメリア病なんだ……」
「……大丈夫ですわ。
ただ、突然飛びかかるのはやめていただけると……」
「リーダー!
何するんですか!
折角、アメリア成分を補給していたのに……!!」
……私の話は全く聞いていなかったらしく、私とルガートさんは無言になった。
「……アメリア!
重ね重ね済まねぇ!」
「ルガートさん!?
だ、大丈夫ですから…!!」
ルガートさんが頭を下げたため私は大慌てで頭を上げさせる。
「まぁ、それは置いとくとしよう」
ルガートさんの言葉に私は頷くと教官が呆れたように入ってきた。
「…知り合いか。
本来ならば変えるのだが…ギルドからの条件だ。
ラナス・ラングループに着く冒険者は…」
「俺らだな。
マスターに呼び出された時はほんとビビったぜ?
ま、用件はこの依頼についてだったがな」
なんとルガートさんのパーティだった。
「アメリアは私が守りますから!」
「さ、サニアさん?
それは……」
私が断ろうとすると何故かサニアさんに抱きつかれる。
……色々と納得がいかないのだが……。
「まぁ、依頼っつってもアメリアの監視だかんな……」
「監視…ですの?」
私の監視らしいがそんなことをされる覚えなどあるはずもなく……。
「……マスターが、『アメリアはやりすぎるとアレだから』ってな。
お前1度、ギルドを覆ったことがあっただろう…。
それのせいじゃねぇか?」
「うっ……あ、あれは少し失敗しただけですわ。
それに、その話は6年前の事じゃないですの!」
6年前、手合わせで魔法を使った時に失敗して広がり過ぎたのだがその時、ギルド全体を銀で覆われるという事態になってしまったのだ。
……小さかったから少し失敗しただけなのだ。
そんな6年前の事を出すなど酷いのではないだろうか?
「6年前であんな事が出来んのが異常なんだよ……。
それに契約獣も竜種だろうが…。
それだけでも監視対象になるには充分だっての」
「それは、知らずに契約されていたものと勝手に契約されたものではありませんの!」
「……その時点で駄目じゃないのか?」
レオニード様は黙っていて欲しい。
というか、勝手に契約されたのと知らずのうちに契約されていたもの……。
何故だろうか?
私の周りには強引な人(?)が多いのではないだろうか?
「マスターからの伝言もあるぜ。
『アメリア、ワーム』」
「分かりましたわ。
仕方ありませんもの。
先輩方も申し訳ありませんわ。
さぁ、行きましょう?」
ワーム……きっと銀魔法だろう。
やりすぎた事を伝えたいのだろう。
そしてそれをお母様に伝えると……。
それでは従うしかない。
訓練メニューがより鬼畜になるなど何の冗談だろうか?
「ダリウス!
レンファ!
行くぞ!」
「承知」
「あぁ、分かっているさ。
マスター?」
ダリウスは大剣を背負い、レンファはレイピアを持ち、こちらにきた。
久しぶりに会った二人は変わらず、ダリウスは厳つく子供に泣かれそうな様子であり、レンファは妖艶な感じがする。
二人とも私を可愛がってくれた人物だった。
そんな4人を含めた10人で食料を探すために森へと入っていく。
0
あなたにおすすめの小説
妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――
夫に捨てられた私は冷酷公爵と再婚しました
香木陽灯
恋愛
伯爵夫人のマリアーヌは「夜を共に過ごす気にならない」と突然夫に告げられ、わずか五ヶ月で離縁することとなる。
これまで女癖の悪い夫に何度も不倫されても、役立たずと貶されても、文句ひとつ言わず彼を支えてきた。だがその苦労は報われることはなかった。
実家に帰っても父から不当な扱いを受けるマリアーヌ。気分転換に繰り出した街で倒れていた貴族の男性と出会い、彼を助ける。
「離縁したばかり? それは相手の見る目がなかっただけだ。良かったじゃないか。君はもう自由だ」
「自由……」
もう自由なのだとマリアーヌが気づいた矢先、両親と元夫の策略によって再婚を強いられる。相手は婚約者が逃げ出すことで有名な冷酷公爵だった。
ところが冷酷公爵と会ってみると、以前助けた男性だったのだ。
再婚を受け入れたマリアーヌは、公爵と少しずつ仲良くなっていく。
ところが公爵は王命を受け内密に仕事をしているようで……。
一方の元夫は、財政難に陥っていた。
「頼む、助けてくれ! お前は俺に恩があるだろう?」
元夫の悲痛な叫びに、マリアーヌはにっこりと微笑んだ。
「なぜかしら? 貴方を助ける気になりませんの」
※ふんわり設定です
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
母が病気で亡くなり父と継母と義姉に虐げられる。幼馴染の王子に溺愛され結婚相手に選ばれたら家族の態度が変わった。
佐藤 美奈
恋愛
最愛の母モニカかが病気で生涯を終える。娘の公爵令嬢アイシャは母との約束を守り、あたたかい思いやりの心を持つ子に育った。
そんな中、父ジェラールが再婚する。継母のバーバラは美しい顔をしていますが性格は悪く、娘のルージュも見た目は可愛いですが性格はひどいものでした。
バーバラと義姉は意地のわるそうな薄笑いを浮かべて、アイシャを虐げるようになる。肉親の父も助けてくれなくて実子のアイシャに冷たい視線を向け始める。
逆に継母の連れ子には甘い顔を見せて溺愛ぶりは常軌を逸していた。
姉の婚約者と結婚しました。
黒蜜きな粉
恋愛
花嫁が結婚式の当日に逃亡した。
式場には両家の関係者だけではなく、すでに来賓がやってきている。
今さら式を中止にするとは言えない。
そうだ、花嫁の姉の代わりに妹を結婚させてしまえばいいじゃないか!
姉の代わりに辺境伯家に嫁がされることになったソフィア。
これも貴族として生まれてきた者の務めと割り切って嫁いだが、辺境伯はソフィアに興味を示さない。
それどころか指一本触れてこない。
「嫁いだ以上はなんとしても後継ぎを生まなければ!」
ソフィアは辺境伯に振りむいて貰おうと奮闘する。
2022/4/8
番外編完結
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
裏庭係の私、いつの間にか偉い人に気に入られていたようです
ルーシャオ
恋愛
宮廷メイドのエイダは、先輩メイドに頼まれ王城裏庭を掃除した——のだが、それが悪かった。「一体全体何をしているのだ! お前はクビだ!」「すみません、すみません!」なんと貴重な薬草や香木があることを知らず、草むしりや剪定をしてしまったのだ。そこへ、薬師のデ・ヴァレスの取りなしのおかげで何とか「裏庭の管理人」として首が繋がった。そこからエイダは学び始め、薬草の知識を増やしていく。その真面目さを買われて、薬師のデ・ヴァレスを通じてリュドミラ王太后に面会することに。そして、お見合いを勧められるのである。一方で、エイダを嵌めた先輩メイドたちは——?
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる