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しおりを挟む「アメリア、頼む」
「もうやっていますわ」
私とレオニード様はいつも通りの会話をする。
今までのお母様のメニューの中には山で魔物を狩る、食料を取るといった事もあったのだ。
それに山篭りなども……。
……まぁ、偶にではあったが。
とまぁ、そんなわけで大分手慣れているのだ。
「アメリア、レオニードさっさと行くぞ~!」
ラン先輩から注意をされるのだが私は目を瞑ったままそこから動かない。
今動いてしまったら魔力が乱れてしまうからだ。
「レオニード様、明後日の方向に2体、この反応はダークウルフですわね」
「了解」
レオニード様が矢を放ちそれが2体を貫いたことを私は魔力の動きで確認しながら他の獲物を探す。
この時、私はダークウルフが食料とならない事を予感していた。
「あ……」
「どうした、アメリア?」
私は1つ大切な木を見つけた。
「アグルの実!」
「……アメリア」
アグルの実は私の大好物なのだ。
そしてそんな私を、レオニード様が咎めるように名前を呼んだ。
「アメリア、アグルの実が本当に好きですよね~」
サニアさんがのほほんとした口調で口にする。
そして私はそんなサニアさんの言葉を聞きながら魔力を収縮させた。
これはあまり使いたくはないのだが…仕方ないだろう。
そうでなければアグルの実が取れないのだから。
『属性魔法-風-器』
私は私から離れた魔力を2つにわけ、片方を風の器にした。
そしてもう片方は……。
『属性魔法-風-刃』
刃の形にしアグルの実を刈り取った。
それを上手く器で受け止めていく。
そして最後に、受け止めたアグルの実を器ごと引き寄せていく。
「ふふっ、大量に取れましたわ!」
「……煉獄の悪い部分だけ引き継いでないか?」
ルガートさんが呟いた言葉は私の耳には離さにった。
何故ならば私は手元にあるアグルの実で夢中だったから。
「アメリア可愛い……!
リーダー!
やっぱりアメリア連れて帰りたいです!
連れて帰りましょう!」
「煉獄に殺されるからな!?」
勿論そんな会話があったことなど私が知る由もない。
「あら……ムーンラビットもいますわね」
「何処だ」
レオニード様は素早く弓を構えた。
レオニード様はムーンラビットの肉が好きなのだ。
そのため変わり身も素早い。
「東、2km先ですわ。
このくらいでしたら肉眼でも見えますわよ」
「了解……あれか」
レオニード様は3本矢を放つと今にでも走り出したい様でうずうずしていた。
キラキラした目で先輩達を見ていたせいか先輩達も諦めたように向かう事にした様だ。
「……マジでいたよ…。
しかも3本とも同じ位置……。
有り得ねぇくらいの精度だな…。
これで少々って…剣はどんだけなんだよ…」
感動した様子のラン先輩には申し訳ないのだが……。
レオニード様の矢の精度はかなり酷い。
何故なら……。
「ムーンラビットに限りますが…」
「は?」
「レオニード様のこの矢の精度は、残念な事にムーンラビットのみですわ……。
ダークウルフを見れば分かると思いますの……」
レオニード様はムーンラビットを3匹とも縛り担ぐと戻ってきた。
ホクホク顔で……。
「……見に行くか…」
そして、ダークウルフの元へいくと残念な事に先程見せた矢の精度は嘘だろうと言いたい程に下手な者が放ち、たまたま当たったような場所へと当たっていた。
………しかも、そこには大きな風穴の空いた2体のダークウルフだったものがいた。
「………食うとこ無くね?」
「レオニード様ですもの」
「答えになっていないと思いますが……」
ラン先輩とトール先輩が顔を引き攣らせていた。
まぁ、気持ちは分からなくもない。
「……………次」
「あぁ、そうだな…。
アメリア、次からはラナス伝えてくれ」
「分かりましたわ。
……では周りを探してみます」
私は再び魔力を広げ反応を確かめていく。
……途中、オークの群れらしきものがいたがそれは無視しておく。
オークの肉はあまり好きではないのだ。
次に見つけた反応はゴーレムのものだった。
食べる部分がないのでこれもスルー。
「やっぱ時間かかるな……」
「いえ、これは……。
アメリア、自分の嫌いなものを除外しているだろう?」
私はそのレオニード様の声にビクッと震えた。
まさかバレるとは思ってもいなかったのだ。
「……オークは食べる気になれませんもの。
それに、ゴーレムの反応もありましたが食料にはなりませんし……」
「嫌いなのは分かっているがこの状況だ、我慢しろ」
「時間がかかりますわ。
ジェネラルやキング、プリーストもいますわね。
それと…キング以上の反応もありますし…。
ユニークもいるようですわ」
私は事実のみを淡々と話していくとルガートさんが呟いた。
「いやそれ災害級……」
確かに災害級ではあるがこの程度ならば何度かお母様と共に討伐した事があった。
お母様がいないのは少し不安ではあるがその程度で竦む様ではSランクとは言えないだろう。
「一旦戻りましょう」
トール先輩の判断に誰も反対する者はこの場にいなかった。
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