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しおりを挟む私はリーシャと手を繋ぎ赤のテントへ向かう。
テントの前で名乗り、入れという指示が届いてから私はテントの中へと入る。
「教官、オークの群れとの戦闘についてご報告致します。
中型から大型へのなりかけの群れであり、ノーマルが約50、ジェネラル2、キング、ユニークがそれぞれ1体ずつ混じっていました。
ユニークとは意思疎通は可能でしたがどの様なタイプかまでは判断出来ません。
その際、リーシャを保護致しましたが両親は既に……。
そのため、新たな家族が決まるまでの間、私が育てようと思い許可を頂きに来ました」
ヴェノムに仕える騎士達からの報告の様に言ったのだが間違っていたら不味い。
そう思いながら敬礼の形は崩さず、教官を見つめる。
教官は私の目をジッと、真意を確かめるように見てきたと思うとリーシャに目をやった。
「ひっ………」
リーシャは怖がってしまったようで教官の視線から逃げるように私の背に隠れてしまった。
教官はショックを受けたように固まっていたものの、コホン、と咳払いをしてから許可を出してくれた。
「ありがとうございます」
「だが……この合宿終了後にある大会で優勝又は準優勝すること。
それが条件だ。
学業を疎かにする事は許さん。
いいな」
「はい!」
私は教官の言葉に頷き、一礼してから退室した。
「リーシャ、悪いのだけれど……しばらく街へは戻らないのでテントで我慢してください」
「リアお姉ちゃんと一緒……?」
「えぇ、勿論ですわ」
「えへへ……リアお姉ちゃんと一緒だぁ……」
嬉しそうにリーシャが笑う姿を見て、心を許してくれた事に嬉しく感じながらリーシャだけは守ろうと心に決める。
「アメリア」
「あら…レオニード様?
どうかしたんですの?」
「どうかしたもなにも……お前の様子を見に来たんだよ…。
アメリアの事だからSランクのくせに守れなかった…なんて思っていそうだからな」
私は思わず視線を逸らし、唇を噛み締める。
それらは全て自分の至らなさからくる行動であった。
「……やっぱりな。
……アメリア、お前のせいじゃない。
それは、お前が抱えるべきものじゃない」
「……レオニード様には関係ありませんわ。
これは私の問題ですもの。
では、ご機嫌よう」
私は心配そうに見つめるリーシャに微笑むとその場をする後にした。
だが、その表情に陰りがあることに私は気付くことは無い。
「くそっ!」
私はアメリアの背が去っていくのを見てから木を殴りつける。
「いつもそうだ……。
お前は全部自分で抱えこんで…」
一年前の魔物大混乱でもそうだった。
あいつは最後、1人で全部抱え込み目を覚まさなかった。
その時になってようやく私は後悔をした。
私にもっと力があれば…。
私がもっと力に対し貪欲であれば…。
私に魔法が使えたのなら……。
あるいはアメリアがあんな事にならずに済んだかもしれなかった。
私はその時でさえ、知らなかったのだ。
アメリアが何故、スカーレット様の隣に立つ事を望んでいたのか。
ただの夢であり、そこに深い意味は無いと…そう思っていた。
なのに、それなのに……。
「……馬鹿だな、私は…」
私はその意味を思い出し自嘲した。
アメリアに課せられたものの意味を考えながら。
あの、髪と魔法を持つ者の辿る運命を。
何より…そんなアメリアがたまらなく愛おしいと、そう感じてしまう己自身に。
何も出来ずにただ見ている事しか出来ない非力な己に。
好きな者の助けにすらなる事も叶わない自分に…。
その全てに嫌悪を抱き、その場を後にする。
……必ず、必ずそこに立ってやるさ。
アメリア…お前を助ける為ならば何だろうとやってやるさ。
例え……
「例え、悪魔にこの魂を売ろうとも…お前1人を守るために……」
その言葉は誰にも届く事はなく、スっとその場に溶け込むのだった。
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